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舞台・演劇におけるオンブロードウェイとは?

美術の分野におけるオンブロードウェイ(おんぶろーどうぇい、On Broadway、Sur Broadway)は、アメリカ合衆国・ニューヨークのマンハッタン地区にあるブロードウェイ通りおよびその周辺に位置する劇場で上演される、主に商業演劇の形式を指します。特に、500席以上の収容人数を持つ劇場で上演される舞台作品が「オンブロードウェイ」と分類され、アメリカ演劇界において最も権威ある舞台空間とされています。

この用語は、単なる地理的な位置を表すだけでなく、商業的成功、芸術的評価、そして演劇界における最高峰の象徴としても理解されます。英語での表記は「On Broadway」、フランス語では「Sur Broadway(シュール・ブロードウェイ)」と訳され、世界中で名声を博している言葉でもあります。

「オンブロードウェイ」に属する作品は、長期にわたる公演が可能な資金力と人材を背景に、洗練された演出・装置・照明・音響・パフォーマンスが結集した高品質なプロダクションとして知られています。また、トニー賞(Tony Awards)をはじめとする演劇賞の対象となる点でも、重要な意味を持っています。

そのため「オンブロードウェイ」は、舞台芸術の最高峰に位置付けられると同時に、世界中の俳優・演出家・制作関係者にとって、夢の舞台として目標とされる存在でもあります。



オンブロードウェイの歴史と発展

オンブロードウェイの起源は19世紀後半にまで遡ります。ニューヨークのブロードウェイ通り周辺には、当時から多くの劇場が集まり、芝居やオペラ、音楽ショーが上演されていました。

20世紀初頭、交通の利便性と人口集中の恩恵を受け、次第に商業演劇の中心地として機能し始めたこの地区では、大規模な劇場が次々に建設され、観客動員力と制作規模で他の地域を圧倒するようになります。

1913年にアメリカ演劇の職能団体であるブロードウェイ・リーグ(The Broadway League)が設立され、1927年には「ブロードウェイ劇場とは、マンハッタンのシアター・ディストリクトにある500席以上の劇場」と定義されました。この定義は今日まで引き継がれており、「オンブロードウェイ」の公式な区分として認識されています。

代表的な劇場には、マジェスティック・シアター、ガーシュウィン・シアター、リンカーン・センター内のヴィヴィアン・ボーモント・シアターなどがあります。これらの劇場では、『オペラ座の怪人』、『ライオン・キング』、『ウィキッド』など世界的にヒットしたミュージカルが数年、時に10年以上のロングランを果たしています。

このように、「オンブロードウェイ」は単なる地域ではなく、世界最高水準の舞台芸術が集う象徴的存在として発展してきました。



オンブロードウェイの定義と特徴

「オンブロードウェイ」とは何かを理解するには、以下の要素が重要です:

  • 座席数:500席以上の劇場が条件。
  • 立地条件:マンハッタン島の42丁目から54丁目、6番街から8番街の間に位置することが基本(例外あり)。
  • 演劇内容:大規模な商業演劇、主にミュージカルが中心であるが、ストレートプレイも一定数存在。
  • プロダクション規模:予算・スタッフ・演出・俳優のレベルが極めて高い
  • トニー賞の対象:ブロードウェイ作品のみがノミネート対象。

また、オフ・ブロードウェイ(100~499席)オフ・オフ・ブロードウェイ(99席以下)との対比において、「オンブロードウェイ」は最大規模・最高格付けの劇場ジャンルであると位置づけられています。

一方で近年は、多様性の推進や新しい才能の発掘を目的に、オフ・ブロードウェイ作品が成功してオンブロードウェイに昇格するケースも増えています(例:『レント』『ディア・エヴァン・ハンセン』など)。

このように「オンブロードウェイ」は、商業演劇の頂点であると同時に、演劇の進化と多様性を受け入れる柔軟性も備えた空間なのです。



現代のオンブロードウェイと世界的影響

現在、「オンブロードウェイ」は世界中の演劇人や観客にとっての聖地とされており、ニューヨーク観光の一大名所としても知られています。

特に以下の点において、世界演劇界に大きな影響を与えています:

  • 技術革新の発信地:舞台装置、照明、音響などの最先端技術が導入される場所。
  • 国際的な才能の登竜門:アメリカのみならず、世界各国の俳優・演出家が挑戦する舞台。
  • 文化輸出の媒体:成功作品は世界各国で翻訳・再演される(例:『ハミルトン』『レ・ミゼラブル』など)。
  • 多文化主義の象徴:多様な人種・ジェンダーの作家やキャストが登用され、社会問題を取り上げた作品も多い。

また、近年では新型コロナウイルスの影響により一時休止を余儀なくされた時期もありましたが、デジタル配信やライブストリーミングといった新たな試みも始まっており、「オンブロードウェイ」は今なお変化し続ける文化の中心地としての役割を果たしています。



まとめ

オンブロードウェイは、演劇・ミュージカルの本場ニューヨークにおける最高位の公演形式であり、その規模・芸術性・社会的影響力は世界中に広がっています。

単なる舞台ではなく、芸術・商業・文化・社会を巻き込む巨大なプラットフォームとして、世界の舞台芸術の指針となっているのです。

今後もその影響力は衰えることなく、演劇という芸術表現の多様な可能性を広げていく存在として、注目を集め続けるでしょう。


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