ビジプリ > 舞台・演劇用語辞典 > 【コメディア・デラルテ】

演劇におけるコメディア・デラルテとは?

舞台・演劇におけるコメディア・デラルテ(Commedia dell'arte)は、16世紀のイタリアで発展した即興演劇のスタイルを指します。この形式の演劇は、観客との交流を重視し、身体的な表現や誇張されたキャラクターによって物語を展開します。演技者たちは、キャラクターごとに決められた「型」を演じながら即興で物語を進め、観客を楽しませるのが特徴です。



コメディア・デラルテの概要

コメディア・デラルテ(コメディア・デラルテ)は、イタリア語で「アートのコメディ」を意味し、特に即興演劇の形式として広く知られています。ルネサンス時代後期に生まれ、イタリアを中心に発展しました。この演劇形式は、予め決められた台詞ではなく、俳優の即興的な演技に依存し、特定のキャラクターたちが織り成す喜劇的な状況や物語を描きます。

その特徴的なスタイルは、誇張された身体表現と顔の動き、滑稽な仕草、そして豊かなジェスチャーにあります。また、コメディア・デラルテでは、プレースタイルやコスチューム(衣装)が非常に重要で、各キャラクターには典型的な衣装やマスクが用意されており、それによって登場人物の性格や役割が即座に観客に伝わります。

特にこのスタイルでは、特定のキャラクター archetype(アーキタイプ)を演じることが多く、例えば「アルレッキーノ」や「イッペリウス」などが有名です。これらのキャラクターは、行動や台詞を通じて、社会的なステータスや性格を誇張して表現します。



コメディア・デラルテの歴史と発展

コメディア・デラルテは、16世紀のイタリアにおいて起源を持つ即興演劇です。初めは街頭や広場で行われ、特に市民や庶民の間で人気を博しました。その後、17世紀にはフランスや他のヨーロッパ諸国にも広まり、演劇の形式として根付いていきました。

コメディア・デラルテの特徴は、即興的な要素が強いことです。役者たちは、脚本に沿って演じるのではなく、基本的なストーリーラインとキャラクターの特徴だけが決まっており、あとは俳優たちが自分のキャラクターに基づいて自由に演技を展開します。この自由さは、観客とのインタラクションを楽しむ要素として大きな役割を果たしていました。

また、コメディア・デラルテは、俳優たちが決まったキャラクターの型を演じることが多く、例えば「パンタロン」や「ドットーレ」などのキャラクターが有名です。これらのキャラクターは、当時の社会における典型的な人物像を誇張して演じることで、観客に笑いを提供しました。

その後、19世紀に入ると、コメディア・デラルテは商業演劇やオペラに取り入れられることが多くなり、演劇の中で即興や身体表現を強調する要素が減少しました。しかし、20世紀には再評価され、現代の演劇やパフォーマンスアートにおいてもその影響を見ることができます。



コメディア・デラルテの現代的な使われ方

現代においても、コメディア・デラルテは演劇の手法として広く利用されています。特に即興演技や物理的なコメディ、観客との双方向的な関わりを重視する作品において、その影響は顕著です。コメディア・デラルテの基本的な要素であるキャラクターの型、即興演技、ジェスチャーや身体表現を取り入れた演技スタイルは、現代演劇にも多くのインスピレーションを与えています。

さらに、コメディア・デラルテは、時には教育的な目的や社会的なメッセージを伝える手段としても使用されることがあります。例えば、社会問題を取り上げたり、現代の政治や文化に対する風刺を行ったりする場合でも、そのユーモアや誇張された表現方法が効果的に用いられています。

また、コミュニティや地域社会と連携して行う「参加型演劇」の形式にも、このスタイルは適しています。現代の演劇作品では、観客とのインタラクションを重要視することが増えており、コメディア・デラルテはその実践の手本となっていると言えるでしょう。

このように、コメディア・デラルテは単なる歴史的な演劇形式にとどまらず、現代の演劇やパフォーマンスアートにおいても重要な影響を与え続けているのです。



まとめ

コメディア・デラルテは、16世紀のイタリアで誕生した即興演劇の一形態で、誇張されたキャラクターと身体表現、観客との双方向的な交流を重視するスタイルが特徴です。その影響は、現代の演劇やパフォーマンスアートにおいても強く見られ、即興演技やユーモアを交えた社会的・政治的なメッセージを伝える手段として重要な役割を果たしています。

その歴史的背景と、現在の演劇における応用を通じて、コメディア・デラルテは今日でも演劇表現に多大な影響を与えており、観客との関わりを深めるための貴重な手法として広く活用されています。

▶舞台・演劇用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス