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演劇におけるセットリストとは?

舞台・演劇の分野におけるセットリスト(せっとりすと、Setlist、Liste de scenes ou de morceaux)は、上演作品における演目や楽曲、場面の順番を一覧形式で記した構成リストを指す用語です。音楽ライブでよく用いられるこの用語は、近年では演劇・ミュージカル・レビュー・ショー形式の公演でも使用され、舞台進行の骨格を明文化した演出構成表としての機能を持っています。

「セットリスト」という言葉は英語の「Set list」から来ており、仏語では「Liste de morceaux(リスト・ド・モルソー)」や「Ordre des scenes(場面順)」などと表現されます。舞台の文脈では、演技・歌唱・ダンスなどのパートを順序立てて記録・共有することで、セットリストは出演者・演出スタッフ・音響・照明・舞台進行にとって極めて重要な資料となります。

特にミュージカルやレビュー形式の公演では、各ナンバーの配置や流れが作品全体のテンポ・感情・演出意図に大きく関わるため、セットリストの構成は演出家の美学や作品の世界観を具現化する鍵でもあります。稽古段階から随時更新される「生きたドキュメント」として運用され、最終形が決定稿として本番で使用されます。

また、観客側にとっても、SNSなどでセットリストが共有されることで作品の内容や演出の流れを把握する手段となっており、上演後の記録性・アーカイブ性にも寄与しています。

このように、舞台・演劇におけるセットリストは、創作・演出・進行管理・鑑賞といった多角的な観点から、演劇作品を支える構成要素として機能しています。



セットリストの歴史と用語の変遷

セットリストという用語が広く一般化したのは主に音楽ライブ業界においてであり、1970年代のロックバンドによるツアー記録から始まったとされています。

その後、コンサートの構成管理、演出設計、記録目的などに使用される中で、舞台芸術でも同様の構成管理手法として転用されるようになりました。特にミュージカルやレビュー公演など、複数の演目や楽曲が連続的に展開される形式では、「台本」や「スコア」だけでなく、簡易かつ一覧性に優れた構成表としてセットリストの導入が進みました。

演劇分野における使用例は比較的新しく、2000年代以降に2.5次元舞台やライブエンターテインメント的要素を持つ舞台の増加により、舞台制作側が観客との情報共有の手段としてセットリストを明示するケースが増えました。

また、SNSやWebメディアの普及により、上演終了後にファンが「今日のセットリスト」として情報を共有する文化が根付き、セットリストは記録的・アーカイブ的価値も持つようになりました。

現在では、舞台制作の現場で「稽古用セットリスト」「プレビュー版セットリスト」「最終版セットリスト」などとフェーズごとに使い分けられ、演出家・舞台監督・音響・照明・キャストの連携を支える要のドキュメントとして活用されています。



セットリストの構成と機能

セットリストの構成には、公演の種類や演出スタイルに応じていくつかのバリエーションがあります。主に以下のような情報が記載されます:

  • 場面番号・タイトル:シーン名や楽曲タイトル、演目の識別名称
  • 出演者:そのシーンまたは楽曲に参加するキャスト名
  • 演出補足:立ち位置・照明演出・舞台転換のタイミングなど
  • 時間配分:それぞれのシーンや楽曲の所要時間
  • 進行補助情報:音響キュー、照明キュー、MC・語りの挿入箇所など

このセットリストを通じて、公演全体のリズム感、テーマの起承転結、観客へのインパクト配分が設計されます。たとえば、冒頭に印象的な楽曲を配置して惹きつけ、中盤で抑揚をつけ、ラストで感動的なエンディングへと導くような構成は、セットリストならではの設計思想と言えます。

また、舞台裏では「セットリストを見ながら照明キューを操作する」「音響スタッフがタイミングを合わせて曲を出す」といった実務的な連携が行われるため、舞台進行の司令塔としての役割も担っています。

さらに、アドリブや即興が挿入される公演では、その変更が即座に反映される「更新型セットリスト」として使用され、演者やスタッフ間のリアルタイムな共有にも活用されています。



現代演劇における活用と展望

現代の舞台制作において、セットリストの役割は拡張されており、演出や記録にとどまらず観客との「共有メディア」としても利用されています。

特に2.5次元舞台、ミュージカルライブ、ダンスコンサート、バラエティステージなどでは、ファンによるSNSでの拡散が前提となっているため、セットリストは広報・マーケティングの一部としても機能します。

また、公演終了後に「記録としてのセットリスト」が劇場や劇団のWebサイトに掲載されることもあり、アーカイブ資料としての価値が高まっています。

さらに、テクノロジーの進化により、デジタルセットリストの導入も始まっており、タブレットやモバイルアプリを使ってリアルタイムに進行表を確認・修正する仕組みが導入されています。

将来的には、AIやクラウド連携によって、照明・音響・舞台機構と完全連動したインテリジェントセットリストが登場し、舞台進行のさらなる効率化・正確化が期待されています。

このように、セットリストは「舞台の見えない設計図」として、演劇芸術の創造と運営を支える中核的ツールとなっているのです。



まとめ

セットリストは、舞台・演劇におけるシーンや楽曲の順番を明示し、公演の構成・進行を支える重要なドキュメントです。

音楽ライブから演劇分野へと応用が広がる中で、演出計画、舞台進行、技術連携、観客との情報共有など多方面で活用されるようになりました。

今後は、テクノロジーとの融合を通じて、より柔軟でスマートな運用が進み、舞台芸術の創作と記録を支える柱としてその役割を広げていくことでしょう。

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