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美術におけるシステマティックデザインとは?

美術の分野におけるシステマティックデザイン(しすてまてぃっくでざいん、Systematic Design、Design Systématique)は、あらかじめ設計されたルールや構造に基づいて視覚表現を構築する方法論を指します。計画的なプロセスにより、整合性と再現性のあるデザインを実現する手法です。



システマティックデザインの定義と背景

システマティックデザインとは、偶然や感覚に頼るのではなく、明確なルールや枠組みに従って視覚表現を構成するデザインの考え方です。これは1960年代以降、特にスイス・インターナショナルスタイルの影響を受けながら発展し、秩序、明確性、機能性を重視するモダンデザインの文脈で注目されてきました。

グリッドシステム、タイポグラフィ、カラーシステムなどを論理的に配置・運用することで、一貫した視覚言語を実現するのが特徴であり、情報を整理して伝える力に優れています。



応用分野と機能性

このデザイン手法は、公共サイン、出版物、企業ロゴ、UI設計など、さまざまな分野で活用されています。特にブランドデザインでは、色・書体・レイアウトに一貫性を持たせることで、企業や製品の視覚的アイデンティティを確立するために欠かせないものとなっています。

また、システマティックな手法を導入することで、複数人のチームによるデザイン制作においてもルールを共有しやすくなり、品質の均一化や制作効率の向上にもつながります。



美術と造形への影響

美術の分野でも、コンセプチュアルアートミニマルアートといったジャンルにおいて、システマティックデザインの思考は重要な影響を与えてきました。たとえば、ソル・ルウィットの作品は、あらかじめ定義された手順やルールに基づき形態が決定されるもので、プロセスそのものが美術表現となる点が特徴です。

このように、システムを美的対象とする姿勢は、視覚の直感的な快感だけでなく、構造的な思考や数学的感覚を鑑賞者に提示するという知的な要素を内包しています。



教育や現代デザインにおける位置づけ

デザイン教育においても、システマティックデザインは構成力や論理性を養うための教材として扱われます。視覚要素を感覚的に扱うだけでなく、再現可能なルールに落とし込む練習を通して、学生は客観的な設計思考を身につけます。

一方で、近年のデジタル環境においては、WebデザインやアプリのUI設計において、この手法がますます重要になっています。情報過多な現代において、整然とした情報整理とユーザーの理解促進が求められる中、システマティックデザインの価値は今後も高まり続けると考えられます。



まとめ

システマティックデザインは、論理性と一貫性に基づいた視覚表現を追求する手法であり、機能美と効率性を両立させる現代的なデザイン思想です。

多様な分野への応用と教育的価値を兼ね備えたこの方法は、美術とデザインを架橋する重要なアプローチとして、今後ますます注目されていくでしょう。


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