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美術におけるシリンダーペインティングとは?

美術におけるシリンダーペインティング(Cylinder Painting)は、円筒形のキャンバスに描かれる特殊な絵画形式です。

その立体的な形状を活かし、従来の平面絵画とは異なる新しい視覚体験を提供します。

特に現代アートの実験的な表現として注目を集めています。



シリンダーペインティングの技術的特徴

シリンダーペインティングの最大の特徴は、360度連続した画面を実現する点です。鑑賞者が作品の周囲を移動することで、変化する構図を体験できます。この形式は、従来の絵画が持っていた「正面性」の概念を根本から問い直します。

制作には特殊な技術が要求され、曲面への絵具の定着や、連続性を保った構図設計が重要な課題となります。作家たちは、アクリル樹脂やエナメル塗料など、さまざまな素材を試行錯誤しています。



歴史的発展と代表作家

シリンダーペインティングの起源は、20世紀初頭の未来派バウハウスの実験に遡ります。特にモホリ=ナジ・ラースローは、光と運動の研究の中で円筒形の絵画を試みました。

現代では、アニッシュ・カプーアやオラファー・エリアソンらがこの形式を発展させています。日本の作家では、杉本博司が写真と組み合わせた独自のシリンダーペインティングを発表しています。



展示方法と鑑賞体験

シリンダーペインティングは、回転式展示台と組み合わせることが多く、観客は作品を全方位から鑑賞できます。一部の美術館では、自動回転システムを導入し、時間と共に変化する絵画を体験できるよう工夫しています。

この形式の最大の魅力は、鑑賞者の動きによって無限の視点が生まれる点です。伝統的な絵画の「一点透視図法」を超えた、新しい視覚表現として評価されています。



現代美術における意義

シリンダーペインティングは、デジタル時代における絵画の再定義を試みる表現です。VR技術やプロジェクションマッピングとの組み合わせにより、さらに発展する可能性を秘めています。

また、この形式は絵画と彫刻の境界を曖昧にし、ジャンル横断的な表現としても注目されています。現代美術の多様化の中で、ますます重要な位置を占めつつあります。



まとめ

シリンダーペインティングは絵画表現の新たな可能性を開きました。

その立体的な特性は、鑑賞者に独特の体験をもたらします。

今後の技術革新とともに、さらに進化していくことが期待されます。


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