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美術におけるストップモーションアニメーションとは?

美術の分野におけるストップモーションアニメーション(stop motion animation)は、静止している物体を少しずつ動かしながら、1コマずつ撮影することで、あたかも物体が連続して動いているかのように見せる映像技法です。コマ撮りアニメーションとも呼ばれ、手作りの温かみと独特の質感を持つ映像表現として、映画、テレビ、CM、ミュージックビデオなど、幅広い分野で活用されています。



ストップモーションアニメーションの歴史と発展

ストップモーションアニメーションの起源は、映画の黎明期である19世紀末に遡ります。初期の映画制作者たちは、静止した物体をコマ撮りすることで、不思議な映像効果を生み出す実験を行いました。20世紀に入ると、特殊効果の技術として活用され、映画『キングコング』(1933年)などの特撮作品に用いられました。

アニメーション技法としては、1970年代に人形アニメーションの巨匠、レイ・ハリーハウゼンが、ダイナメーションと呼ばれる独自の技法を確立し、『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年)などの作品で、迫力ある映像表現を実現しました。1990年代には、クレイアニメーションの『ウォレスとグルミット、危機一髪!』(1995年)がアカデミー賞を受賞し、ストップモーションアニメーションの芸術性が高く評価されました。

近年では、デジタル技術の進化により、ストップモーションアニメーションの制作環境が大きく変化しています。デジタルカメラや編集ソフトの普及により、個人でも高品質な作品を制作できるようになり、インターネット上では、アマチュア作家による個性的な作品が数多く公開されています。



ストップモーションアニメーションの技法と種類

ストップモーションアニメーションの技法は、撮影対象となる物体によって、いくつかの種類に分けられます。

人形アニメーション:人形を少しずつ動かしながら撮影する技法。人形の関節を細かく動かすことで、滑らかな動きを表現できます。
クレイアニメーション:粘土を少しずつ変形させながら撮影する技法。粘土の柔らかい質感を活かした、独特の表現が可能です。
切り絵アニメーション:紙や布などを切り抜き、それを少しずつ動かしながら撮影する技法。平面的な素材を活かした、シンプルな表現が特徴です。
ピクシレーション:人間を撮影対象とする技法。人間をコマ撮りすることで、不思議な動きや現象を表現できます。
その他:レゴブロック、サンドアート、影絵など、様々な素材や技法を用いたストップモーションアニメーションが存在します。

ストップモーションアニメーションは、1コマずつ手作業で撮影するため、非常に時間と手間がかかります。しかし、その分、手作りの温かみと独特の質感を持つ映像表現が可能となります。



ストップモーションアニメーションの現代における評価と影響

ストップモーションアニメーションは、現代のアニメーション技術の中でも、独特の地位を確立しています。CGアニメーションが主流となる中で、ストップモーションアニメーションは、手作りの温かみと独特の質感を持つ映像表現として、根強い人気を誇っています。

ストップモーションアニメーションは、映画、テレビ、CM、ミュージックビデオなど、幅広い分野で活用されています。近年では、ウェス・アンダーソン監督の『ファンタスティックMr.FOX』(2009年)や、ティム・バートン監督の『コープスブライド』(2005年)など、ストップモーションアニメーションの長編映画も数多く制作されています。

ストップモーションアニメーションは、現代の映像表現に多様性をもたらし、多くのクリエイターにインスピレーションを与えています。



まとめ

ストップモーションアニメーションは、手作りの温かみと独特の質感を持つ映像技法であり、映画、テレビ、CMなど、幅広い分野で活用されています。

ストップモーションアニメーションは、CGアニメーションとは異なる魅力を持つ映像表現として、今後も多くの人々を魅了し続けるでしょう。


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