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美術におけるストリートアートとは?

美術の分野におけるストリートアート(street art)は、都市空間や公共の場を舞台に展開される、多様な視覚表現の総称です。グラフィティ(落書き)から発展し、現代美術において重要な位置を占める芸術ジャンルです。



ストリートアートの歴史と発展

ストリートアートの起源は、1970年代のニューヨークに遡ります。サウスブロンクス地区の若者たちが、自己表現の手段として、壁や電車に名前やメッセージを描き始めたことが始まりです。当初は違法な行為とみなされていましたが、1980年代に入ると、キース・へリングやジャン=ミシェル・バスキアなど、グラフィティ出身のアーティストが活躍し、アートとして認識され始めました。

1990年代以降は、ステンシルアートやポスターアートなど、多様な表現が登場し、ストリートアートは世界各地に広がりを見せました。地域ごとの独自のスタイルが生まれ、ストリートアートは、都市の文化や社会状況を反映する芸術として発展しました。近年では、デジタル技術と融合した新しい表現も登場し、ストリートアートの可能性はさらに広がっています。

ストリートアートは、都市の風景を彩るだけでなく、社会的なメッセージを発信する手段としても注目されています。



ストリートアートの多様な表現

ストリートアートは、以下のような多様な表現を含みます。

グラフィティ:スプレー缶やマーカーを用い、壁や電車などに描かれる文字や絵。タグ、スローアップ、ピースなど、多様なスタイルが存在します。
ステンシルアート:型紙を用いてスプレーで描かれる絵。バンクシーなどのアーティストが有名です。
ポスターアート:ポスターを壁に貼り付ける表現。政治的なメッセージや社会風刺を含む作品が多いです。
ステッカーアート:ステッカーを壁や公共物に貼り付ける表現。手軽にできるため、世界中で広まっています。
ストリートインスタレーション:公共空間に立体的な作品を設置する表現。空間全体を作品として捉えます。

これらの表現は、都市空間を舞台に、多様なメッセージを発信し、人々の視覚に訴えかけます。



ストリートアートの現代における評価と課題

ストリートアートは、現代美術において重要な位置を占めています。社会的なメッセージを発信する手段として、都市の活性化に貢献する芸術として、アートの民主化を推進する芸術として、高い評価を受けています。

一方で、ストリートアートには、違法性、商業化、都市の美観などの課題も存在します。所有者の許可なく描かれた作品は、器物損壊罪に問われる可能性があります。一部の作品が高額で取引され、アートとしての純粋性が失われるという批判もあります。また、落書きとアートの線引きは曖昧であり、都市の美観を損ねるという意見もあります。

ストリートアートは、都市空間を舞台に、多様な表現とメッセージを発信する、現代美術の重要なジャンルです。その評価と課題は、今後のストリートアートの発展を考える上で、重要な要素となります。



まとめ

ストリートアートは、都市空間を舞台に展開される多様な視覚表現であり、現代美術において重要な位置を占める芸術ジャンルです。

ストリートアートは、都市の風景を彩り、社会的なメッセージを発信する手段として、今後も進化し続けるでしょう。


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