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美術におけるパステル画とは?

美術の分野におけるパステル画(ぱすてるが、Pastel Painting)は、パステルを使って描かれた絵画で、柔らかく鮮やかな色彩と独特の質感を持ちます。パステル画は、パステルという粉状の顔料を紙やキャンバスに擦り込むことで作られ、その発色の良さと、滑らかな仕上がりが特徴です。パステルの特性を生かして、微妙なグラデーションや繊細なディテールを描くことができ、絵画の表現において重要な役割を果たします。



パステル画の特徴

パステル画は、色鉛筆のように使用できる粉末状の絵具であるパステルを使って描かれます。パステルの粒子は非常に細かく、色が鮮やかに発色するため、非常に繊細な表現が可能です。パステルは、紙やキャンバスなどの表面に直接塗ることができ、指やツールを使ってぼかしたり混ぜたりすることができます。

パステル画の大きな特徴は、その滑らかで柔らかな質感です。色を重ねることでグラデーションや陰影を自然に表現でき、透明感のある光沢感が生まれるため、油絵や水彩画とはまた違った魅力を持っています。



パステル画の種類と技法

パステルにはいくつかの種類があり、それぞれの使用方法によって異なる効果を得ることができます。主にソフトパステル、ハードパステル、オイルパステルなどがあります。

  • ソフトパステルは、非常に柔らかく、色が鮮やかに発色するため、色の重ね合わせや混色に適しています。特に、大きな面積を塗りつぶすのに向いており、柔らかな表現が可能です。
  • ハードパステルは、ソフトパステルよりも硬く、細かい線を描いたり、ディテールを表現するのに適しています。
  • オイルパステルは、油分を含んでいるため、滑らかな質感が得られ、他のパステルよりも耐久性が高いです。

パステル画では、色を重ねていくことで深みや陰影を表現し、ぼかし技法や擦り込み技法を使うことで、滑らかなグラデーションや微細な表現が可能です。指で色をぼかすことによって、柔らかな質感や温かみを持たせることができます。



パステル画の利点と欠点

パステル画の利点としては、その鮮やかな色彩と、独特の質感が挙げられます。パステルは非常に発色が良く、他の絵具では再現が難しい微細なグラデーションを表現できるため、柔らかい光や影の表現に非常に適しています。また、色を重ねていくことで深みが出て、作品に立体感を持たせることができます。

一方で、パステル画の欠点は、完成後に固定しないと色が落ちやすいことです。そのため、完成した作品にはパステル専用の固定スプレーを使って、色を定着させる必要があります。また、パステル画は紙に塗るため、紙の質感や選ぶパステルによって仕上がりが大きく変わるため、材料選びが重要です。



パステル画の使用例

パステル画は、その柔らかさと発色の良さから、風景画や人物画、抽象画に広く使用されています。特に風景画では、空のグラデーションや雲の表現、また光の変化などを細やかに描くのに非常に適しています。

人物画においても、肌の質感や陰影を柔らかく表現するためにパステルが使われます。特に、顔の輪郭や影を自然に表現するために、パステルのぼかし技法が役立ちます。また、抽象画では、色彩の自由な表現や感情を強調するのに有効です。



まとめ

パステル画は、その鮮やかな色彩と滑らかな質感によって、非常に魅力的な表現方法です。色を重ねることで深みを持たせ、微細なグラデーションや陰影を表現することができます。パステルの特性を活かした技法を駆使すれば、柔らかく温かみのある作品を作り出すことができます。

その特性を理解し、適切な材料と技法を使うことで、パステル画ならではの美しい仕上がりを実現することができます。


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