ビジプリ > 美術用語辞典 > 【パンテオン神殿】

美術におけるパンテオン神殿とは?

美術の分野におけるパンテオン神殿(ぱんておんしんでん、Pantheon)は、古代ローマの建築の代表作で、最も優れた建物の一つとして広く認識されています。紀元前27年にアグリッパによって最初に建設され、その後、ハドリアヌス帝の時代に再建され、現代に残る建築の中でも最もよく保存されています。パンテオン神殿は、神々を祀る神殿として始まりましたが、後にキリスト教の教会に転用されました。



パンテオン神殿の特徴

パンテオン神殿は、ローマ建築の傑作であり、その巨大なドームと、建築技術の革新で知られています。神殿の特徴的な構造は、巨大な円形ドームを持つことです。ドームの中央には直径約9メートルの開口部(オキュラス)があり、これが神殿内部に光を取り入れる役割を果たしています。

パンテオンのドームは、古代ローマ建築の技術的な偉業の一つとされ、最も大きな未補強のコンクリートドームとして現存しています。ドームの中央の開口部は、空に向かって開かれており、天の神々と人々を結びつける象徴的な役割を持っています。また、ドームの構造は、特に空間の広がりを強調し、内部に圧倒的な広さと光の効果を生み出します。



パンテオンの建築技術と影響

パンテオン神殿の建築における最も革新的な部分は、そのドームの設計です。ローマ人はコンクリートの使用を工夫し、ドームに使われるコンクリートの密度を頂点に向かって減らすことで、重さを軽減し、構造的な強度を保ちながら、巨大な空間を実現しました。この技術は、後の建築に多大な影響を与えました。

また、パンテオンは、円形のドームを支えるために非常に洗練された技術を駆使しており、アーチやヴォールト(アーチ型の天井)の技術が極めて高いレベルで使用されています。これらの技術は、後の建築物、特にルネサンス時代やバロック時代の建築に多大な影響を与えました。



パンテオン神殿の歴史と役割

パンテオンは、最初は古代ローマの神々を祀るための神殿として建設されましたが、後にキリスト教の教会として転用され、現在でも「聖マリア・アド・マルティレス教会」として使用されています。キリスト教への転用は、ローマ帝国がキリスト教を公式に認めるようになった4世紀頃に行われました。

パンテオンは、ローマ市内でも最も保存状態の良い古代建築物の一つであり、長い歴史を持つ建物です。その後、ルネサンス時代の建築家たちにも影響を与え、特にミケランジェロはそのドームに感銘を受け、パンテオンに触発されたデザインをいくつか手掛けました。



パンテオン神殿の美術的価値と影響

パンテオンは、単なる建築物としてだけでなく、美術的にも非常に重要な価値を持っています。神殿内部には、古代ローマの彫刻や装飾が施され、彫刻の配置や装飾品が空間に与える影響は、建物全体の美学において重要な要素となっています。

さらに、パンテオンの正面には、古代ローマの神殿建築に見られる柱が並んでおり、その壮麗な外観が訪れる者に強い印象を与えます。この正面部分のデザインは、ローマの神殿建築の伝統を守りながらも、ドームという革新的な要素を取り入れることで、新しい美的基準を生み出しました。



まとめ

パンテオン神殿は、古代ローマ建築の頂点を示す建物であり、その革新的なドーム構造と建築技術は、後の建築に大きな影響を与えました。現在もその美しさと技術の高さから、多くの人々に感銘を与え続けています。

また、パンテオンの宗教的な転用と長い歴史を通じて、古代ローマから現代に至るまでの文化的な変遷を象徴する建物としても重要な意味を持ちます。


▶美術用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス