印刷業界におけるブリードとは?
印刷業界における「ブリード」(ふりがな:ぶりーど、英:Bleed、仏:Fond Perdu)とは、印刷物の仕上がりサイズよりも外側に余分な印刷領域を設けることを指します。ブリードは、断裁時にデザインが途切れるのを防ぐために重要です。印刷後に仕上がりサイズに裁断する際、わずかなずれが生じても白い縁が残らないようにするための対策として、ブリード設定が使用されます。
ブリードの概要
ブリードとは、印刷物のデザインが仕上がりサイズ(トリムサイズ)を超えて、周囲に数ミリ拡張されている領域のことです。通常、ブリードの設定は3mm程度が一般的ですが、印刷物の種類や仕様によって異なる場合もあります。ブリードを設定することで、断裁時にわずかなズレが発生しても、デザインが途切れたり、用紙の白地が露出したりすることを防ぎます。
例えば、ポスターやチラシ、パンフレットなど、ページ全体に色や画像が広がるデザインでは、ブリードの設定が不可欠です。印刷後に裁断して仕上がりサイズに合わせる際、機械の微妙なズレが生じることがあるため、あらかじめ余裕を持たせたブリード領域を確保しておくことで、完成度の高い仕上がりを実現できます。
ブリードの歴史と由来
ブリードの概念は、印刷技術が進化する中で生まれました。特に大量印刷が普及した20世紀初頭、断裁時の精度が課題となっていました。初期の印刷技術では、裁断の精度が低く、わずかなズレが生じることが多かったため、仕上がりが不均一になりがちでした。
そのため、デザイナーや印刷技術者たちは、断裁時のズレを考慮してデザインに余裕を持たせる「ブリード」という技法を取り入れるようになりました。これにより、印刷物の外周に白い縁が残る問題が解消され、商業印刷物の品質向上に寄与しました。現在では、DTP(デスクトップパブリッシング)ソフトウェアにブリード設定機能が標準装備されており、デジタル印刷の普及とともに広く使用されています。
ブリードの現在の使われ方
ブリードは、以下のような印刷物で広く使用されています:
- ポスターやチラシ:全面に色や画像を使用するデザインでは、ブリードを設定することで断裁時のズレを吸収し、仕上がりを美しく保ちます。
- パンフレットやカタログ:ページ全体に背景色や画像を敷くデザインの場合、ブリードがないと白い縁が残ってしまうことがあります。
- 名刺やカード:デザインがエッジまで広がっている場合、ブリードが必要です。特に高級感を求める印刷物では重要です。
- 製本物:冊子や書籍では、ページ端までデザインが広がる場合、断裁ズレを考慮してブリードが設定されます。
現在では、Adobe IllustratorやInDesignなどのDTPソフトで簡単にブリードの設定が可能です。これにより、印刷物の品質を確保し、印刷後のトラブルを防ぐことができます。さらに、印刷会社によっては、特定のブリードサイズを推奨しているため、事前に確認して設定することが重要です。
ブリードの利点と注意点
ブリードを設定することで、以下の利点があります:
- 印刷品質の向上:断裁時のズレを考慮したデザインが可能になり、仕上がりが美しくなります。
- トラブルの回避:裁断時に白い縁が出ることを防ぎ、顧客満足度を高めます。
- プロフェッショナルな印象:ブリードが適切に設定された印刷物は、見た目が洗練され、プロフェッショナルな印象を与えます。
一方で、以下の点に注意が必要です:
- 正確な設定が必要:ブリードを設定し忘れると、仕上がりに影響が出るため、デザイン作成時に必ず確認が必要です。
- 余白の取り過ぎ:ブリードを過剰に設定すると、印刷コストが増加することがあります。適切なサイズ設定が求められます。
- 印刷会社の仕様確認:印刷会社ごとに推奨するブリードの幅が異なるため、事前に確認することが重要です。
まとめ
ブリードは、印刷物の品質を向上させ、仕上がりを美しくするための重要な技術です。断裁時のズレを吸収し、デザインが途切れないようにすることで、プロフェッショナルな仕上がりを実現します。印刷業界においては、ブリードの設定が標準となっており、デザイン作成時に必ず考慮すべき要素です。これからも、印刷物の品質を向上させるために、ブリードの重要性は変わらないでしょう。