印刷業界における平版とは?

印刷業界における平版(へいはん、Planographic Printing / Impression planographique)とは、面が平らで、油と水が反発する性質を利用して印刷を行う技術を指します。平版は、リトグラフ(石版画)として始まり、現在のオフセット印刷の基盤となっています。高い生産性と精細な印刷品質を実現できるため、書籍や新聞、雑誌、広告など幅広い用途で使用されています。


平版の歴史と言葉の由来

平版の起源は18世紀末、ドイツのアロイス・ゼネフェルダーによるリトグラフ技術の発明に遡ります。ゼネフェルダーは、平らな石の表面に油性インク文字や絵を描き、水と油の反発を利用して印刷する方法を考案しました。これが平版印刷の原型となりました。

「平版」という言葉は、版面が平らであることに由来します。他の印刷方法(凸版凹版)とは異なり、印刷面と非印刷面が同じ平面上にあることが特徴です。20世紀初頭には、リトグラフから発展したオフセット印刷技術が登場し、現在の平版印刷の主流となりました。

平版の特徴と仕組み

平版印刷の特徴は以下の通りです。

1. 油と水の反発を利用: 油性インクが描画部分に付着し、水が非描画部分を保護する仕組みで印刷します。この原理により、精密で滑らかな印刷が可能です。

2. 高速で大量印刷が可能: 特にオフセット印刷では、一度に多くの部数を効率的に印刷できます。

3. 版の耐久性: 版面が直接用紙に触れないため、版が長持ちし、大量印刷に適しています。

平版印刷の仕組みは次の通りです。

1. 版面の準備: 画像や文字が描かれた版を用意します。この版には親油性の部分と親水性の部分があります。

2. 水とインクの供給: 版面に水を供給して非描画部分を保護し、その後インクを塗布して描画部分にのみインクが付着するようにします。

3. 転写: 印刷機で版面のインクをゴムブランケット(中間媒体)に転写し、そこから用紙に印刷します(オフセット方式)。

平版の使用例

平版印刷は以下のような分野で広く使用されています。

1. 書籍: 教科書や小説など、長期間保存される印刷物に適しています。

2. 新聞: 高速で大量印刷が必要な新聞印刷で広く活用されています。

3. 雑誌: カラフルで視覚的に魅力的なデザインを実現できるため、ファッション誌や娯楽誌にも利用されています。

4. 広告・ポスター: 高品質な画像再現が求められる広告やポスターの印刷にも適しています。

平版のメリットと課題

平版印刷には以下のようなメリットがあります。

1. 高品質な印刷: グラデーションや細かいディテールを美しく再現することが可能です。

2. コスト効率: 大量印刷では1部あたりのコストを低く抑えられます。

3. 柔軟な対応力: 写真やイラスト、文字など、さまざまなデザイン要素に対応できます。

一方で、以下の課題も存在します。

1. 初期費用の高さ: 版を作成するためのコストが高く、小ロット印刷には向きません。

2. 環境負荷: 水やインクの使用量が多いため、環境への配慮が求められます。

平版印刷の未来と展望

平版印刷は、デジタル技術の進化とともに新たな可能性を追求しています。特に、デジタルオフセット印刷の技術が進むことで、小ロットやパーソナライズド印刷への対応が進んでいます。

また、環境配慮型の印刷プロセスやインクの開発が進むことで、持続可能な印刷技術としての役割も注目されています。平版印刷は、高い品質と生産性を求める印刷業界で、これからも重要な位置を占め続けるでしょう。

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