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印刷業界における非可逆圧縮とは?

印刷業界における「非可逆圧縮」(ふりがな:ひかぎゃくあっしゅく、英:Lossy Compression、仏:Compression Avec Perte)は、データを圧縮する際に、元の情報の一部を削除することでファイルサイズを大幅に削減する技術を指します。この手法は、印刷物の制作において、画像や動画データを効率的に扱うために利用されますが、圧縮率が高すぎると品質が劣化するリスクも伴います。JPEG形式などが代表的な例で、適切なバランスが重要です。



非可逆圧縮の概要

非可逆圧縮は、圧縮後に元のデータを完全には復元できない形式の圧縮技術です。この手法では、人間の視覚や聴覚が認識しにくい情報を削除することでデータ量を減少させます。

主な特徴:

  • 高い圧縮率:ファイルサイズを大幅に削減できるため、保存や転送が効率化されます。
  • 不可逆性:圧縮したデータを元に戻すと、一部の情報が失われているため完全には復元できません。
  • 用途に応じた圧縮レベル:圧縮率を調整することで、品質とファイルサイズのバランスを選べます。

非可逆圧縮の代表例として、JPEG(画像)、MP3(音声)、H.264(動画)などが挙げられます。印刷業界では特に画像データで広く使用されます。

非可逆圧縮の歴史と由来

非可逆圧縮の起源は、20世紀後半のデータ通信やストレージ技術の進化に関連しています。1970年代から1980年代にかけて、データ量が増加する一方で、通信速度や記憶容量には限界があったため、効率的にデータを扱うための技術が求められました。

1980年代にJPEG(Joint Photographic Experts Group)が設立され、画像圧縮技術の標準化が進められました。1990年代にはJPEG形式が広く普及し、インターネットの普及とともに画像データの効率的な配信が可能になりました。

印刷業界でも、この技術はデジタル印刷やDTP(デスクトップパブリッシング)の普及により導入され、画像データの取り扱いを効率化する一助となりました。現在では、非可逆圧縮はさまざまなデジタルメディアで標準的な技術となっています。

現在の非可逆圧縮の使われ方

非可逆圧縮は、印刷業界において以下のような場面で利用されています:

  • 画像データの保存:パンフレットやポスターなどの印刷用データを軽量化する際に使用されます。
  • 電子校正:データ転送時にファイルサイズを抑えるため、圧縮画像を利用して校正作業を行います。
  • ウェブ用データ作成:印刷物と連動するオンラインコンテンツで使用される画像や動画に非可逆圧縮が適用されます。
  • プレビュー用データ:高解像度データを扱う前に、圧縮したプレビュー版で全体を確認します。

また、クラウドサービスやデジタルアーカイブでの利用が進み、保存領域を効率的に活用するためにも非可逆圧縮が用いられています。

非可逆圧縮の利点と課題

非可逆圧縮の利点は以下の通りです:

  • データ量の削減:ファイルサイズを小さくすることで、保存コストや転送時間を削減します。
  • 効率的なデータ管理:大容量データを扱うプロジェクトで、軽量化によりワークフローを円滑にします。
  • 多用途性:多くのデジタルメディアや印刷プロセスで使用される標準技術です。

一方で、以下の課題も挙げられます:

  • 画質劣化:高い圧縮率を設定すると、目視でも分かる画質の低下が生じる場合があります。
  • 印刷適性の制約:非可逆圧縮を適用したデータは、高品質な印刷には不向きな場合があります。
  • 復元不可能:一度削除されたデータは復元できないため、重要なデータの取り扱いには注意が必要です。

まとめ

非可逆圧縮は、データサイズ削減を目的とした効率的な技術であり、印刷業界においてもデジタル画像の保存や転送に広く利用されています。その歴史は1970年代に遡り、現在ではJPEGをはじめとする多くの形式が標準技術として活用されています。ただし、画質劣化のリスクを理解し、適切な圧縮率を選択することで、印刷物の品質を維持しながら効率的なデータ管理が可能となります。

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