ビジプリ > 印刷用語辞典 > は行 > 【ポリエチレンフィルム】

印刷業界におけるポリエチレンフィルムとは?

印刷業界における ポリエチレンフィルム(ぽりえちれんふぃるむ、Polyethylene Film / Film en Polyéthylène)とは、ポリエチレン(PE)樹脂を原料とした薄いプラスチックフィルムを指します。このフィルムは耐水性、柔軟性、透明性に優れ、食品包装や産業用ラベル、広告バナーなど、幅広い用途で使用されています。特に印刷適性が高く、グラビア印刷やフレキソ印刷との相性が良いことから、多くの印刷プロセスで活用されています。


ポリエチレンフィルムの歴史と背景

ポリエチレンフィルムの起源は1930年代に遡ります。ポリエチレン樹脂が初めて合成されたのは1933年で、イギリスのICI(Imperial Chemical Industries)によるものでした。その後、加工技術が進化し、薄いフィルム状に成形できるようになったことで、包装材としての利用が始まりました。

1950年代以降、ポリエチレンフィルムは軽量で耐久性があり、加工が容易であることから、食品や医薬品の包装、建材用フィルムなど、多様な分野で需要が急増しました。印刷業界でも、包装デザインや広告の印刷基材としての利用が一般化しました。現在では、環境に配慮したリサイクル可能なポリエチレンフィルムの開発も進んでいます。

ポリエチレンフィルムの特性と種類

ポリエチレンフィルムの主な特性は以下の通りです:

  • 耐水性:水を通さず、湿気の影響を受けにくい。
  • 柔軟性:曲げや引っ張りに対する耐性が高く、扱いやすい。
  • 透明性と印刷適性:透明性が高く、インクの付着性が良いため、鮮明な印刷が可能。

ポリエチレンフィルムには、以下のような種類があります:

  • 低密度ポリエチレン(LDPE):柔らかく、透明性が高い。食品包装やショッピングバッグに利用される。
  • 高密度ポリエチレン(HDPE):強度が高く、耐薬品性に優れる。産業用包装やラベルに使用。
  • 線状低密度ポリエチレン(LLDPE):LDPEよりも強度と耐衝撃性に優れる。ラップフィルムやストレッチフィルムに適用。

これらの種類に応じて、印刷用としての加工性や仕上がりの特性が異なります。

現在のポリエチレンフィルムの使われ方

ポリエチレンフィルムは、印刷業界で以下の用途で広く利用されています:

  • 食品包装:お菓子や飲料のパッケージに使用。高いバリア性と印刷適性が求められる。
  • ラベル印刷:柔軟性と耐久性を活かし、ボトルや容器のラベルに活用。
  • 広告物:屋外バナーや看板など、耐久性が重要な用途。
  • 工業用用途:保護フィルムや梱包材として印刷機能を持たせた製品。

また、デジタル印刷技術との組み合わせにより、小ロットや多品種の印刷需要にも対応できるようになっています。

ポリエチレンフィルムの課題と未来展望

ポリエチレンフィルムには以下のような課題があります:

  • 環境負荷:使い捨てプラスチック問題への対応が求められている。
  • リサイクルの難しさ:多層構造や印刷インクの影響で再利用が難しい場合がある。
  • コスト:特に高性能なフィルムでは製造コストが高くなることがある。

これらの課題を解決するため、バイオプラスチックや分解性フィルムの研究が進められています。また、リサイクル技術の向上により、ポリエチレンフィルムの再利用率が高まることが期待されています。

ポリエチレンフィルムは、印刷業界における重要な基材として、多くの製品に不可欠な役割を果たしています。今後も技術革新により、その可能性はさらに広がるでしょう。

▶印刷用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの関連サービス