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印刷業界におけるミズノプリンティングミュージアムとは?

ミズノプリンティングミュージアム(みずのぷりんてぃんぐみゅーじあむ、Mizuno Printing Museum / Musée d'Impression Mizuno)は、東京都中央区入船に位置する私設の博物館で、印刷の歴史と文化を伝える施設です。紀元前のメソポタミア時代の「円筒印章」から、近代日本の印刷機や貴重な書籍まで、多彩なコレクションを展示しています。特に、世界三大美書と称されるケルムスコット・プレス版『チョーサー著作集』などの貴重書を所蔵し、印刷技術の発展とその文化的意義を学ぶ場として、専門家や一般の来館者に広く親しまれています。


ミズノプリンティングミュージアムの歴史と設立背景

ミズノプリンティングミュージアムは、印刷業界で長年にわたり活躍してきたミズノプリテック株式会社の会長であり、同ミュージアムの館長でもある水野雅生氏の情熱と尽力により設立されました。水野氏は、ドイツのミュンヘン工芸大学で印刷を学んでいた際、ケンブリッジ大学の図書館で世界最古の現存印刷物が日本の『百万塔陀羅尼経』であることを知り、これを契機に印刷の歴史に深い関心を抱くようになりました。その後、長年にわたり貴重な印刷物や機器の収集を続け、これらのコレクションを広く公開するためにミュージアムを開設しました。


主なコレクションと展示内容

ミズノプリンティングミュージアムのコレクションは、多岐にわたる時代と地域の印刷物や印刷機を網羅しています。主な展示内容は以下の通りです。

1. 古代の印刷物: 紀元前2000年頃のメソポタミアで使用された「円筒印章」など、古代の印刷技術を紹介しています。

2. 世界三大美書: ケルムスコット・プレス版『チョーサー著作集』、ダヴス・プレス版『欽定英訳聖書』、アシェンデン・プレス版『ダンテ著作集』など、世界的に評価される美しい書籍を所蔵しています。

3. 日本の近代印刷機: 日本初の国産活版印刷機である平野富二の活版印刷機を展示しており、これは日本の「機械遺産」にも選定されています。

4. 貴重書籍: 福沢諭吉の『学問のすゝめ』初版本や、江戸から明治にかけての地図や絵図など、歴史的価値の高い書籍を多数収蔵しています。


ミズノプリンティングミュージアムの役割と意義

ミズノプリンティングミュージアムは、印刷技術の発展とその文化的影響を広く伝える場として重要な役割を果たしています。特に、印刷物が情報伝達や文化の普及に果たしてきた役割を理解する上で、貴重な資料を提供しています。また、印刷業界の専門家だけでなく、一般の来館者にも印刷の歴史や技術を学ぶ機会を提供し、教育的な意義も高いと評価されています。


現在の利用方法とアクセス情報

ミズノプリンティングミュージアムは、完全予約制で一般公開されています。開館日は月曜日から金曜日(祝日・年末年始等を除く)で、開館時間は午前10時から12時、午後1時から4時までです。見学を希望する場合は、事前に電話での予約が必要です。

所在地は東京都中央区入船2丁目9-2 ミズノプリテックビル6階で、最寄り駅は東京メトロ有楽町線「新富町駅」7番出口から徒歩約5分、または東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」A2出口から徒歩約5分です。


今後の展望と課題

ミズノプリンティングミュージアムは、これまでの貴重なコレクションの展示に加え、デジタル技術の進展に伴う新たな印刷技術や、現代の印刷文化の動向にも対応した展示や企画を検討しています。また、若い世代への教育活動や、地域社会との連携を強化し、印刷文化の継承と発展に寄与することを目指しています。

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