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印刷業界における磁気記録とは?

印刷業界における磁気記録(じききろく、Magnetic Recording / Enregistrement magnétique)とは、磁性体を用いて情報を記録・保存する技術を指します。磁気記録は、銀行カード、交通カード、商品タグなど、情報を繰り返し記録・読み取る必要がある印刷物において広く利用されています。データセキュリティや利便性の向上を目的とした技術で、印刷工程と組み合わせることで製品の付加価値を高めています。


磁気記録の歴史と言葉の由来

磁気記録の技術は、19世紀後半の磁性理論の研究に端を発します。1898年、デンマークの科学者ヴァルデマール・ポールセンが世界初の磁気録音装置「テレグラフォン」を発明しました。この技術が後に進化し、磁気テープや磁気カードとして実用化されました。

印刷業界での磁気記録の採用が進んだのは、1950年代から1960年代にかけてのことです。特に、銀行業界での磁気ストライプ付きカード(磁気カード)の普及が契機となり、この技術が印刷物にも応用されるようになりました。言葉の由来は、磁性体に情報を「記録」するプロセスを表しています。

磁気記録の仕組みと特徴

磁気記録の仕組みは、磁性体に磁場を与えることで情報を記録するというものです。記録された情報は、磁気ヘッドを用いて読み取ることができます。

1. 磁気ストライプ: クレジットカードや交通ICカードに見られる磁気ストライプは、微細な磁性体の層で構成され、データを記録します。

2. 記録方式: データは、磁性体の表面に高密度でエンコードされます。通常、ビット単位で情報が記録され、再生時には磁気ヘッドを通じて電気信号に変換されます。

3. 読み取りと書き込み: 磁気記録は、再書き込み可能なものと、読み取り専用のものが存在します。用途に応じて選択されます。

印刷業界における磁気記録の使用例

磁気記録は、印刷業界において次のような用途で広く利用されています。

1. 銀行カードやクレジットカード: 磁気ストライプに口座情報や認証データを記録し、安全で便利な決済を可能にします。

2. 交通カード: 電車やバスの乗車情報を記録するために、交通機関で使用される磁気カードに採用されています。

3. 商品管理用タグ: 商品の流通過程や在庫管理を行うためのタグに、磁気記録技術が組み込まれています。

4. 会員カード: ポイントカードや会員証に顧客情報を記録し、顧客サービスを向上させるツールとして活用されています。

磁気記録のメリットと課題

磁気記録には以下のようなメリットがあります。

1. 高いデータ密度: 小さな面積に大量のデータを記録できるため、省スペースで情報を管理できます。

2. 読み取りの迅速性: 読み取り機器を通すだけで瞬時にデータを取得できるため、利便性が高いです。

3. 再書き込み可能: 一部の磁気記録媒体はデータの更新が可能で、柔軟性があります。

一方で、以下の課題も存在します。

1. 耐久性の問題: 磁気記録は物理的な摩耗や強い磁場による影響を受けやすいため、データが消失するリスクがあります。

2. セキュリティの脆弱性: 磁気ストライプはスキミングなどの不正行為に対して脆弱であり、セキュリティ強化が課題です。

磁気記録の未来と展望

磁気記録技術は、データセキュリティの向上とともに進化しています。例えば、ICチップやRFIDと組み合わせたハイブリッドカードが一般化しており、印刷業界でも磁気記録を基盤とした新しいソリューションが登場しています。

また、環境配慮型の素材を使用した磁気記録媒体の開発が進んでおり、持続可能な印刷技術としての期待も高まっています。印刷業界における磁気記録は、データ管理と製品価値の向上を支える重要な技術として、今後も広範な用途で利用され続けるでしょう。

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