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印刷業界における紫外線硬化型インキとは?

印刷業界における紫外線硬化型インキ(しがいせんこうかがたいんき、UV-Curable Ink / Encre durcissable aux UV)とは、紫外線(UV)を照射することで瞬時に硬化し、印刷物に定着する特殊なインクを指します。このインキは、乾燥が速く、溶剤を使用しないため環境にやさしいことが特徴です。特にパッケージ印刷ラベル印刷、特殊素材への印刷において広く利用されています。


紫外線硬化型インキの歴史と背景

紫外線硬化型インキの起源は、1970年代の環境問題への関心の高まりとともに登場しました。従来のインキは溶剤を揮発させて乾燥させる方式が主流でしたが、これに伴うVOC(揮発性有機化合物)の排出が問題視されていました。

その解決策として開発されたのが、紫外線を利用して瞬時に硬化するインキです。UV硬化技術の進歩により、このインキは乾燥の速さや高い耐久性を持ちながらも環境負荷を軽減できる画期的な製品として評価されました。現在では、さらに改良が進み、多様な印刷ニーズに応える形で利用されています。

紫外線硬化型インキの仕組み

紫外線硬化型インキは、以下のような仕組みで硬化します。

1. 光重合反応: インキに含まれる光重合性モノマーやオリゴマーが、紫外線のエネルギーを受けて化学反応を起こします。この反応により、液体のインキが瞬時に固体化します。

2. 光開始剤の役割: インキには光開始剤が含まれており、これが紫外線を吸収して反応を開始する役割を果たします。光開始剤が化学反応を触媒し、硬化が促進されます。

3. 紫外線ランプの使用: 印刷工程では、UVランプやLEDランプを用いて紫外線を照射します。これにより、数秒以内にインキが硬化します。

印刷業界での紫外線硬化型インキの利点

紫外線硬化型インキは、印刷業界で以下のような利点があります。

1. 瞬時の乾燥: UV硬化技術により、インキが瞬時に乾燥するため、印刷速度が向上し、効率的な生産が可能になります。

2. 多様な素材への適用: やプラスチック、金属、ガラスなど、さまざまな素材に印刷できるため、パッケージ印刷や工業用印刷で広く利用されています。

3. 環境にやさしい: 溶剤を使用しないためVOCの排出がなく、環境に配慮した印刷が可能です。また、硬化の際にエネルギー消費が少ない点も魅力です。

紫外線硬化型インキの課題と対応策

紫外線硬化型インキには課題もありますが、技術の進歩により改善が進んでいます。

1. 初期コストの高さ: UVランプや専用装置の導入には高い初期コストがかかります。これに対して、LEDランプを使用した省エネルギー型の装置が普及しつつあります。

2. 光開始剤の制約: 光開始剤の種類や配合によって硬化特性が異なるため、印刷条件に合わせた調整が必要です。最近では、幅広い条件で使用できる汎用性の高いインキが開発されています。

3. 視覚的な仕上がり: 紫外線硬化型インキは、ツヤ感が強い仕上がりになることが一般的ですが、マット仕上げの需要に対応するための製品も登場しています。

紫外線硬化型インキの現代的な利用と未来

現在、紫外線硬化型インキは、パッケージ印刷、食品ラベル、工業用部品の印刷など、幅広い分野で活躍しています。また、UV硬化型3Dプリンター用の樹脂としても応用されており、その用途は拡大しています。

今後、さらなる環境配慮やコスト削減の観点から、低エネルギーで硬化可能なインキの開発や、リサイクル素材への対応が進むと考えられます。また、AIやIoTを活用した印刷プロセスの最適化により、UV硬化型インキはさらに効率的かつ効果的に利用されるでしょう。

紫外線硬化型インキは、印刷業界における技術革新を支える重要な要素であり、これからも持続可能な印刷技術として進化を続けていくことでしょう。

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