印刷業界における色票とは?

印刷業界における色票(しきひょう、Color Chart / Nuancier)とは、印刷で使用されるインクや色の見本を表したツールを指します。色票は、デザインや印刷物の色を確認し、正確な色再現を行うための基準となる重要な役割を果たします。PANTONEやDICなどの標準化された色票が広く使用されており、色の選定や品質管理において欠かせないツールです。


色票の歴史と背景

色票の歴史は、印刷が手作業から機械化に移行した時代に遡ります。19世紀末から20世紀初頭にかけて、印刷技術の進化に伴い、色を統一して管理する必要性が高まりました。その中で、色の基準となる色見本帳が開発されました。

1963年には、アメリカのPANTONE社が「PANTONEマッチングシステム」を発表しました。このシステムは、特定のインクを使用して標準化された色を再現することを目的としており、現在でも業界標準として使用されています。同様に、日本ではDICが日本向けに特化した色票を提供しており、国内印刷業界で広く普及しています。


色票の特徴と役割

色票の主な特徴と役割は以下の通りです。

1. 標準化された色の基準: 色票は、特定のインクや印刷条件で再現される色を統一基準として提供します。これにより、色の再現性が向上します。

2. デザインの色選定: デザイナーが印刷物の色を選ぶ際、実際の印刷結果を想定して正確に色を選定できます。

3. 品質管理: 印刷工程で色のズレが生じた場合、色票を基準として修正や調整を行います。


色票の種類と活用方法

色票にはいくつかの種類があり、それぞれ用途に応じて活用されます。

1. PANTONE色票: グローバル標準として使用され、特にブランドカラーや広告印刷で利用されます。スポットカラーの指定に適しています。

2. DIC色票: 日本国内で広く普及しており、日本市場向けの印刷物でよく使用されます。

3. CMYK色票: 4色分解を使用したオフセット印刷向けに作成された色票で、プロセスカラーでの色指定に使用されます。

4. デジタル色票: デジタル印刷や画面上の色管理に適した色票で、RGBやHEXコードを基準にしています。

色票は、以下のような場面で活用されます。

カラープルーフ: 印刷前に色票を基準に色確認を行い、最終的な仕上がりを確認します。

色校正: 印刷工程中に色ズレが発生した際、色票と照らし合わせて色調整を行います。


現在の課題と未来の展望

色票には多くの利点がありますが、いくつかの課題も存在します。

1. 環境条件の影響: 印刷物の色は照明条件やの種類に依存するため、完全な一致を保証するのが難しい場合があります。

2. デジタル化への対応: デジタル媒体の普及により、物理的な色票だけでは対応が難しい場面が増えています。

未来の色票は、デジタルツールとの連携がさらに進化し、より正確かつ効率的な色管理を可能にするでしょう。例えば、AI技術を利用してリアルタイムで色の違いを検知・補正するシステムや、AR技術を活用した色票の視覚的なシミュレーションが期待されています。

これにより、印刷業界全体の品質向上と効率化が促進され、色票はますます重要な役割を果たしていくでしょう。

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