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トラッキング調整とは?

印刷業界における「トラッキング調整」(ふりがな:とらっきんぐちょうせい、英:Tracking Adjustment、仏:Réglage de l'Espacement des Caractères)とは、文字間のスペース(トラッキング)を調整して、視認性やデザイン性を向上させる工程です。トラッキング調整は、文字が読みやすくバランスの取れた印刷物を作成するために行われ、特に書籍や広告、ポスターなどのレイアウトにおいて重要な役割を果たします。


トラッキング調整の概要

「トラッキング」とは、文字間の全体的なスペースを指し、これを調整することで、文章やタイトルが読みやすくなると同時に、印刷物の美しいレイアウトが実現されます。トラッキング調整は、文字間の個別の間隔を調整する「カーニング」とは異なり、選択した文字列全体のスペースを一括で広げたり狭めたりする作業です。

例えば、トラッキングを狭めることで行間が詰まり、コンパクトな印象が与えられる一方、トラッキングを広げることで余裕のあるデザインに仕上がります。適切なトラッキング調整により、読みやすさが向上し、視覚的なバランスが取れたレイアウトが可能となります。

トラッキング調整の技術的特徴と仕組み

トラッキング調整では、文字間のスペースを微調整することで、全体の文字組みが整えられます。デジタルデザインソフトでは、トラッキングを数値で指定することができ、通常はポイント(pt)やパーセントの単位で数値を増減させて調整します。

印刷物のデザインにおいて、トラッキングの調整は、ページの見た目や読みやすさに大きく影響します。特にタイトルや見出し、広告など視覚的インパクトが重要な場合、トラッキングを広めに設定することで、文字が目立ち、デザインが強調されます。また、行間やページ内の余白ともバランスをとるため、トラッキング調整は慎重に行う必要があります。

トラッキング調整の歴史と発展

トラッキング調整の概念は、印刷技術の歴史と共に発展してきました。活版印刷の時代には、文字間の調整は手作業で行われ、文字ごとのスペース調整が難しく、レイアウトの自由度が限られていました。しかし、20世紀中頃からオフセット印刷や写真植字が普及することで、文字間のスペースを柔軟に設定できるようになりました。

さらに、デジタルデザインソフトウェアの登場により、トラッキング調整は数値指定で精密に行えるようになり、印刷業界におけるデザインの幅が大きく広がりました。現在では、Adobe InDesignやIllustratorなどのソフトウェアで簡単にトラッキング調整ができ、デザインの一貫性や品質を高めるための基本的な技術となっています。

現在のトラッキング調整の重要性と用途

現在、トラッキング調整は書籍、広告、ポスター、ウェブデザインなど、印刷およびデジタルデザインの両分野で欠かせない技術です。例えば、雑誌やパンフレットの見出しでは、トラッキングを広めに設定してデザインに余裕を持たせ、重要な情報を視覚的に引き立てることが一般的です。

また、長文のテキストにおいては、トラッキング調整によって文字が詰まりすぎず、スムーズに読めるようにすることが重要です。適切なトラッキング調整が施された印刷物は、読者にとって快適な読み心地を提供し、視覚的な美しさも向上します。

まとめ

トラッキング調整は、印刷およびデジタルデザインの分野で文字の間隔を整え、視覚的なバランスと読みやすさを追求するために欠かせない技術です。文字間のスペースを適切に調整することで、読みやすさとデザインの質が向上し、印刷物の見た目も一層美しく仕上がります。

今後も、トラッキング調整は印刷やデジタルメディアの両分野で重視され続け、特に視覚効果やインパクトが求められるデザインにおいて、その重要性は増すと考えられます。

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