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印刷業界におけるターポリン紙とは?

印刷業界におけるターポリン紙(たーぽりんし、Tarpaulin Paper / Papier tarpaulin)とは、ポリエステルやポリ塩化ビニル(PVC)を基材に使用し、防水性や耐久性に優れた印刷用素材を指します。ターポリン紙は、屋外広告や横断幕、タペストリーポスターなど、耐候性が求められる用途で広く使用されます。その特性から、長期間の使用や過酷な環境下でも品質を維持できる素材として重宝されています。


ターポリン紙の歴史と由来

ターポリンの起源は、16世紀頃のヨーロッパで、船舶の防水シートとして使用された素材に遡ります。「ターポリン」という名前は、英語の「tar」(タール)と「pallium」(覆い)に由来し、防水処理を施した布を指していました。この技術が進化し、やがてプラスチック素材を用いたターポリンが登場しました。

印刷業界におけるターポリン紙の利用が本格化したのは、20世紀後半です。ポリエステルやPVCの加工技術が進歩し、防水性や強度を備えたターポリン素材が開発され、これが印刷用メディアとして適用されました。インクジェットプリンタの普及により、大型印刷にも対応できるターポリン紙が広く普及しました。


ターポリン紙の特徴と構造

ターポリン紙の主な特徴は以下の通りです。

1. 防水性: PVCやポリエステルを使用することで、水分を完全に遮断し、屋外でも使用可能です。

2. 耐久性: 引っ張りや摩擦に強く、長期間の使用に適しています。風や雨などの過酷な環境にも耐えられます。

3. 印刷適性: インクジェット印刷に対応し、鮮やかな発色と高解像度のデザイン再現が可能です。

ターポリン紙の構造は以下のようになっています。

1. 基材: ポリエステル繊維やPVCが基材として使用され、強度を担保します。

2. 表面コーティング: インクの定着を高めるために特殊なコーティングが施されており、鮮やかな印刷が可能です。

3. 裏面加工: 防水性や耐久性を向上させるため、裏面にも追加の加工が施されることがあります。


ターポリン紙の用途

ターポリン紙は、以下のような用途で使用されています。

1. 屋外広告: 看板や横断幕、バナー広告など、耐候性が求められる屋外プロモーションに最適です。

2. 展示会ブース: 展示会やイベントのブース装飾として、目を引くデザインを大判で印刷する際に使用されます。

3. 店舗ディスプレイ: 店舗内外の装飾や宣伝用ポスターとして、視認性の高い素材として使用されます。

4. 防水ポスターやタペストリー: 屋外で使用されるタペストリーや耐久性が必要な装飾物に活用されます。


現在のターポリン紙の使われ方

現代のターポリン紙は、インクジェットプリンタやUVプリンタとの相性が良く、商業印刷の現場で多用されています。特に、環境に配慮した「エコターポリン」と呼ばれる素材が登場しており、従来のPVCに代わるリサイクル可能な素材が注目されています。また、軽量化や柔軟性を持たせた製品も増加しており、取り扱いや設置が容易になっています。

さらに、デジタル印刷技術の進歩により、色の精度や耐久性が向上し、ますます多彩な用途に対応できるようになっています。短期間のイベント用から長期間設置される看板まで、幅広いシーンで使用されています。


ターポリン紙の課題と未来

ターポリン紙には以下の課題があります。

1. 環境負荷: PVCを使用する場合、廃棄時に環境負荷が問題視されることがあります。これに対応するためのリサイクル技術や代替素材の開発が進んでいます。

2. コスト: 高性能なターポリン紙は、他の印刷用紙と比較してコストが高い場合があります。

3. 保管と輸送: 大型で重量のあるロール状で供給されるため、保管や輸送時に注意が必要です。

未来のターポリン紙は、環境に優しい素材や製造方法を採用することで、持続可能な印刷業界の発展に寄与すると考えられます。また、より軽量で高強度な素材の研究が進むことで、取り扱いやすさが向上し、さらなる普及が期待されます。印刷業界におけるターポリン紙は、その多機能性と高い耐久性から、今後も重要な役割を果たしていくでしょう。

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