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美術におけるイーゼルとは?

美術におけるイーゼル(いーぜる、Easel、Chevalet)は、キャンバスやパネルを支えるための画架(がか)であり、絵画制作や展示に使用される道具です。イーゼルは木製や金属製のものが一般的で、用途や制作環境に応じてさまざまな種類が存在します。アトリエ用、屋外用、テーブル用などのバリエーションがあり、高さや角度を調整できるものが多く、画家が快適に制作できるよう設計されています。美術教育の場やギャラリー展示でも広く活用されており、伝統的な技法から現代美術まで幅広い用途で使用されています。



イーゼルの種類と用途

イーゼルには、用途や制作環境に応じたさまざまな種類があります。それぞれの特徴を紹介します。

  • アトリエイーゼル – 室内で使用される大型のイーゼル。高さや角度の調整が可能で、安定感がある。
  • フィールドイーゼル – 屋外での制作向け。軽量で持ち運びしやすく、折りたたみ可能なものが多い。
  • デスクトップイーゼル – テーブルの上で使用する小型のイーゼル。水彩画や細密画に適している。
  • 展示用イーゼル – ギャラリーや美術館での展示に使用される。デザイン性の高いものも多い。
  • H型・A型イーゼル – 安定性の高いH型と、折りたたみ可能でコンパクトなA型がある。

イーゼルは、制作環境や作品のサイズに応じて適切なものを選ぶことが重要です。



イーゼルの歴史と発展

イーゼルの歴史は古く、絵画制作の発展とともに進化してきました。時代ごとの変遷を見ていきます。

1. 古代のイーゼル(紀元前3000年~紀元前500年)
イーゼルの起源は、エジプトやギリシャ時代にまでさかのぼります。

  • 古代エジプトの壁画制作 – 石碑や木板を立てかけるための簡易的な支えが使われた。
  • 古代ギリシャ・ローマ – 公共の場で絵画を展示するための台座が用いられた。

2. ルネサンス期の発展(14世紀~16世紀)
油彩画の発展とともに、現在のイーゼルの形が確立されました。

  • キャンバス画の普及 – 木製のイーゼルが一般的になり、大型の作品制作が可能に。
  • レオナルド・ダ・ヴィンチ – 角度調整可能なイーゼルを活用し、精密なデッサンを制作。

3. 近代以降の多様化(19世紀~現代)
イーゼルの素材や機能が進化し、さまざまな用途に対応するようになりました。

  • 折りたたみ式・持ち運び可能なイーゼル – 屋外制作に適した軽量モデルが登場。
  • アルミ製・メタル製のイーゼル – 現代美術や展示用に多用される。


イーゼルの使い方とメンテナンス

イーゼルを適切に使用し、長く使うためのポイントを紹介します。

1. 正しい高さと角度の設定
イーゼルの角度を調整し、快適な姿勢で制作することが重要です。

  • 直立の角度 – 油絵やアクリル画に適し、光の反射を抑える。
  • 傾斜のある角度 – 水彩画やデッサンに適し、絵具の流れをコントロールしやすい。

2. 安定性を保つ方法
イーゼルがぐらつかないよう、しっかり固定することが重要です。

  • H型イーゼル – 重量のある作品でも安定しやすい。
  • A型イーゼル – 折りたたみ可能でコンパクトだが、風の影響を受けやすい。

3. メンテナンスと保管
イーゼルを長く使用するためには、定期的なメンテナンスが必要です。

  • 木製イーゼル – 湿気を避け、乾燥した場所で保管。
  • 金属製イーゼル – 錆びないように適宜クリーニング。


現代美術におけるイーゼルの役割

イーゼルは、現代の美術制作や展示においても重要な役割を果たしています。

1. 絵画制作のスタンダード
イーゼルは、多くの画家にとって必須の道具となっています。

  • アトリエでの制作では、大型イーゼルが使われる。
  • 屋外制作では、軽量で折りたたみ可能なイーゼルが便利。

2. 展示用イーゼルの活用
ギャラリーや美術館、イベントなどで作品の展示用としても使用されます。

  • 作品の高さを調整し、観客が見やすい位置に配置。
  • モダンなデザインのイーゼルが、展示空間を引き立てる。

3. デジタル時代における新たな用途
近年では、デジタルアートやタブレットを使った制作にもイーゼルが応用されています。

  • タブレット用のイーゼルスタンドが登場し、デジタルアートの制作環境が向上。
  • AR(拡張現実)と組み合わせた新しい展示手法が試みられている。


まとめ

イーゼルは、絵画制作や展示に欠かせない道具であり、古代から現代まで幅広い用途で使用されてきました。アトリエ用、屋外用、展示用などさまざまな種類があり、用途に応じた適切な選択が求められます。

現代では、デジタルアートや新しい展示方法と融合し、より多様な表現の場を提供するツールとして進化を続けています。


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