アイドルのスローガンとは何か?作り方と守るべきルールを解説
アイドルを応援するとき、どのようなグッズを使いますか?
日本のアイドルのファンであれば、写真や名前が書いてあるうちわを想像する方が多いのではないでしょうか?
しかし、K-POPを中心にうちわとは違う「スローガン」と呼ばれる応援グッズが使われています。この記事ではスローガンについて解説しています。スローガンという言葉をはじめて聞いた方や、スローガンを自分で作れず困っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
■アイドルファンの中で流行中の「スローガン」とは?
はじめにスローガンについて簡単に説明いたします。
▶スローガンの概要
スローガンとはアイドルのコンサートなどで、ファンがアイドルの応援のために使うハンドタオル程度のサイズ・形状をしたものです。
素材は紙、布、透明樹脂フィルムの三種類があり、スローガンにはアイドルの写真やメッセージが書かれています。
スローガンの入手方法は四つあります。
公式販売されているスローガンを買う
一つ目は公式販売されているスローガンを買う方法です。
コンサート会場や公式サイトで販売されているグッズを買うため、後述するような著作権に抵触するようなリスクがありません。
また、売上は事務所に入るためアイドルを(金銭的に)直接応援することになります。もっともアイドルのためになるのが、この方法でしょう。
コンサート会場で無料配布されているものをもらう
二つ目はコンサート会場で無料配布されているものをもらう方法です。
コンサート会場ではスローガンが無料配布(非売品)されている場合があります。配布されているものは公式グッズですので、著作権に抵触しません。
ただし、無料配布されているスローガンの中にはコンサートの中でも特定の場面での使用を想定しているものがあります。
裏面に使用する場面が書いてありますので、注意事項をよく読んで使い方を確認してみてください。
客席に一斉に掲げられたスローガンを目にするのは、アイドルにとってもうれしい瞬間の一つとなるでしょう。
自分で製作する
三つ目は自分で製作する方法です。
自作すれば材料費以外のお金はかかりませんし、自分の好きなように作るれます。
ただ、注意が必要なのはインターネット上にあるアイドルの写真やロゴを無断使用すると著作権違反になる可能性があります。
他人に販売するのはNGであることはもちろん、私的利用であっても利用する場所(コンサート会場など不特定多数の人が集まる場)によっては判断が難しいでしょう。
どうしても、アイドルの写真等を使用したい場合は本人や所属事務所に許可を取るか、予め使用を許可されている公式写真などを使用するしかありません。
中には「他の人もやっているから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、もし悪質だと判断されると、最悪の場合には処罰の対象となったり損害賠償請求をされる可能性があります。
個人的に撮影した写真であっても、本人や所属事務所に許可をもらってから撮影しないと肖像権を侵害する可能性があります。
マスターから買う
四つ目はマスターから買う方法です。
マスターとはファンの中でも影響力のある人を指し、独自に応援グッズを作り、他のファンに販売している方です。
ただし、マスターであっても無断での画像使用や写真撮影はできません。
そのため、本人や事務所に無許可で製作したスローガンは違法商品となり、それを購入することは犯罪に加担することになります。
マスターから安心してスローガンを買うには、本人や事務所の許可が取れていることを確認してから買うしかありません。
ただ、いずれにしても売上はマスターのものになります。金銭的にはアイドルを応援することにはならない点にも注意が必要です。
▶ボードとの違い
スローガンと似たものにボードがあります。違いは何でしょうか?
ボードとは大きなうちわにアイドルの写真や名前(文字)を書いたものです。90年代以降に日本のアイドルのファンが持っているのを見たことある方も多いのではないでしょうか?
しかし、ボードは目立つ代わりにその大きさにより、他のお客さんのコンサート鑑賞の妨げになる場合があります。そのため、最近ではボードより小さいスローガンが使われることが多いようです
また、スローガンの材質は紙、布、透明樹脂フィルムの三種類があるのに対して、ボードは樹脂などでできています。
■スローガン制作にはルールがある
スローガン製作にはいくつかのルールがあります。
▶そもそも持ち込めない会場がある
そもそも持ち込めない会場があることです。スローガンをはじめとする応援グッズの持ち込みを許可するのは、あくまでもコンサート会場やイベント主催者。現地に行く前にそもそもスローガンの持ち込みが可能なのか確認しましょう。
現地で販売されている公式グッズの持ち込みはOKでも、自作のグッズの持ち込みが禁止されている場合もあります。
ルールを確認し、そのルールに従うようにしましょう。
▶著作権・肖像権を守る
前述の通り著作点・肖像権は必ず守りましょう。これらを侵害する行為は人としてファンとして恥ずかしい行為であり、アイドルのためにならないことを覚えておきましょう。
違法グッズを持ち込んだり、ルールを無視してアイドルの写真撮影などをした場合にはチケットを没収されたうえで強制的に退場となる可能性があります。
▶コンサート開始前にSNS等にアップロードしない
コンサート会場で無料配布されるスローガンの中には、出演するアイドルへのサプライズのために用意されたものもあります。
コンサート開始前にSNS等にアップロードすると、出演するアイドル本人がそのスローガンを知ることになる可能性がありサプライズになりません。
主催者の意図を配慮し、目的達成の妨げにならないように注意しましょう。
また、そもそも他人の著作物を無断でインターネット上にアップロードしてよいのか、考える必要もあります。
▶肩幅を超えるようなスローガンは作らない
スローガンは胸の前に持ってアイドルを応援するものです。狭いコンサート会場の客席で大きなスローガンを持つと、隣の人に接触したり鑑賞の邪魔になってしまいます。
同じ理由で、スローガンを頭上で持つような行為もやめましょう。その場にいる全員がコンサートを楽しめるように、一人ひとりが配慮すれば素敵な時間を過ごせるはずです。
■ルールを確認したら素材とサイズを決める
ルールを確認したら、実際にスローガンを作ります。まずは素材とサイズを決めましょう。ここでは紙スローガンの作り方を解説します。
▶紙スローガンに使える素材
紙スローガンを作るには、いくつかの素材を選ぶ必要があります。
ここでは印刷業者にスローガンを作ってもらう手順を紹介いたします。
紙の種類
メインとなるのは紙です。紙には大きく分けて次の四種類があります。
一つ目はフォト光沢紙。
名前の通り光沢のある紙で、写真が鮮やかに見えます。アイドルの顔写真を使用したスローガンであれば、より綺麗に見えるでしょう。しかし、フォト光沢紙には印刷面に傷がつきやすいというデメリットもあります。この点については後述のラミネート加工により改善できます。
照明など強い光が当たった時に乱反射しやすいのもフォト光沢紙の特徴。
もちろんステージから見ているアイドルの目が眩むほどの光は反射しませんが、用意したスローガンに光が反射して見えづらいのはもったいないことです。
二つ目は半光沢紙。
一定程度写真を鮮やかに見せながらも、光の乱反射をおさえているのが半光沢紙です。写真の鮮明さと光の反射具合においてバランスの良い紙と言えるでしょう。
三つ目はエンボス紙。
エンボス紙とは、表面に凹凸があるように見える落ち着いたマットテイストの紙です。派手なイメージのスローガンにはあまり合わないかもしれませんが、黒を基調にしたシックなデザインなど落ち着いた雰囲気のスローガンに合うでしょう。
四つ目は合成紙/糊付き合成紙。
合成紙は「紙」という名が付いていますが、樹脂を原料とした紙です。そのため、水分に弱い紙とは異なり、汗などに対する耐久性があります。コンサート会場では応援に熱が入るあまり、スローガンを持つ手が汗ばむこともあるでしょう。そのような時でも、合成紙であれば耐久性に期待できるでしょう。
裏面に糊がついた糊付き合成紙はパネル等に貼り付ける際に使用します。ただ、スローガン用に印刷した紙(合成紙)をパネルに貼り付けてしまうとスローガンではなくなってしまいます。
ラミネートの種類
スローガンの印刷面を保護する加工が二つあります。
一つ目はグロスラミ(光沢)。
ラミネート加工とも呼ばれ、印刷面を汚れから保護する機能があります。ラミネート加工とは塩ビ(塩化ビニール)やPP(ポリプロビレン)でできた薄いフィルム(ラミネートフィルム)を紙に熱圧着するものです。
紙より表面の摩擦係数が小さい(ツルツルする)ため、汚れがついて落ちやすい性質があります。
また、表面に傷が付いても一定程度の深さであれば印刷面が直接傷つくことはありません。
二つ目はマットラミ(つや消し)。
マットラミネート加工とも呼ばれ、ラミネート加工と同等の機能を持ちながらも光の反射をおさえる特徴があります。
紙スローガンの種類
前述の紙の種類と加工により、四種類の組み合わせができます。
一つ目は屋内での使用を想定した片面印刷。
半光沢紙を使用しており、裏面は白くなっています。水性印刷のため水に弱く、屋内での使用を想定しています。半光沢紙が標準ではありますが、エンボス紙への変更も可能です。
落ち着いた雰囲気がほしいときはエンボス紙を使用すると良いでしょう。ただし、ラミネート加工等は行わないため、印刷面は保護されません。
二つ目は屋内での使用を想定した両面印刷。
両面印刷といっても実際に両面から印刷するわけでなく、片面印刷した二枚のスローガンの裏面どうしを貼り付けます。こちらも水性印刷のため水に弱い点には注意が必要です。
表に半光沢紙、裏に合成紙を使用するのが標準ですが、表をエンボス紙に変えることも可能です。合成紙は落ち着いた雰囲気のため、表を半光沢にすれば二つの雰囲気を楽しめます。
三つ目は屋外での使用を想定した片面印刷。
合成紙を使用しており、裏面は白くなっています。ラミネート加工等(マットラミネート加工を含む、以下同様)をして印刷面が保護されるため、屋外での使用も可能です。
ただし、ラミネート加工等は印刷面だけですので、裏面は保護されません。
四つ目は屋外での使用を想定した両面印刷。
ラミネート加工等を施した二枚のスローガンを貼り合わせたもので、表面は半光沢紙、裏面は合成紙を使用しています。ラミネート加工等により両面が保護されるため、屋外での使用に向いています。
▶紙スローガンのサイズ
最後に紙スローガンのサイズを決めましょう。サイズに厳密な規定はないものの、200mm×600mmを標準としている印刷業者もあります。
あくまでも周囲のお客さんの邪魔にならない大きさであれば問題ありません。
■素材が決まったら実際に作ってみる
素材が決まったら印刷業者に依頼してスローガンを作ってみましょう。注文フォームに従ってサイズや素材、ラミネート加工の種類などを選んでいきます。
このときデータ入稿が必要になります。データはスマートフォンのアプリなどでも簡単に作れますので、チャレンジしてみてください。
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■印刷を業者に依頼するときの疑問
ここで印刷業者にスローガンの印刷を依頼するときの疑問と答えを紹介いたします。
▶発注枚数が少なくても依頼できるか?
1枚から発注できる印刷業者もあります。個人のお客様にも丁寧に対応する印刷業者も増えてきましたので、安心してください。
▶デザインソフトで使用できなくても依頼できるか?
前述の通りスマートフォンアプリ等を使用してスローガンのデータ作成が可能です。
IllustratorやPhotoshopを使用できなくても問題ありません。ただし、出力するデータはPDFやJPEGなど一般的なデータ形式の方が無難でしょう。
▶アイドル本人の画像を使った紙スローガンの依頼ができるか?
アイドル本人や所属事務所に許可を得ていると確認できるものについては依頼可能です。印刷業者もトラブルに巻き込まれたくないため、確認できない限りは本人画像を使ったスローガンの印刷を受けてくれない可能性があります。
▶アイドルが使用する言葉など文字だけの印刷依頼はできるか?
文字そのものは印刷可能です。ただし、創造性のあるフォントを使ったデザインやロゴマークは著作物とみなされる可能性があるため、本人や所属事務所に許可を取る必要があります。
▶キャラクラーの印刷依頼はできるか?
自ら描いたイラストであれば著作権を保有しているため、誰にも許可を取る必要はありません。他人が作成したキャラクターは、作者に著作権があるため確認しましょう。
難しいのがスキルマーケットで依頼したり、フリーサイトからダウンロードしたイラストですが、これらは予め用途が限られている場合があります。スローガンへの使用が問題ないか確認してから印刷を依頼するようにしましょう。
▶マスターが販売するスローガンは安心して買えるのか?
マスターが販売するスローガンを安心して買えるかはマスターによります。きちんと本人や所属事務所に許可を取って販売しているスローガンであれば(それを証明できれば)安心して買えます。
しかし、悪質な場合は盗撮したアイドルの写真をスローガンに印刷して販売しているケースもあるようです。はっきりしない場合は、マスターからスローガンを購入しないことがベストでしょう。
▶販売しなければアイドルの写真を使った紙スローガンを作ってもよいのか?
著作権法では私的利用に限り著作物の複製が認められています。
しかし、その範囲は次のように規定されています(※1)。
”個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内”
コンサート会場が「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」に該当するかどうかは判断が難しいところでしょう。
ちなみに社内利用のために書籍を複製することは私的利用の範囲を超えていると判断されることがあるようです。
コンサートのような不特定多数の人が集まる場所を私的利用の範囲と簡単に判断するのは難しいかもしれません。
※1:e-Gov 法令検索「著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)」
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当社は「印刷業界の常識をお客様に押し付けない」ことをモットーとしております。そのため、他社であれば最低受注枚数が決まっていることもありますが、当社では一枚から受注いたします。少量の発注でもお気軽にご相談・ご注文ください。
▶屋内用/屋外用どちらも対応
コンサート会場などの屋内用から、野外ライブなど屋外用の両方に対応しています。紙の材質を変えたり、ラミネート加工等を組み合わせることによりどちらにも対応できますので、まずは用途をご相談ください。
■おわりに
この記事ではスローガンの制作について述べてきました。
スローガンとはK-POPアイドルのコンサートなどで使用される応援グッズであり、次の四つの入手方法があります。
・コンサート会場や公式サイトで購入する
・コンサート会場で無料配布されているものをもらう
・自ら製作する
・マスターから購入する
法律の心配が不要で、かつ金銭的にアイドルを応援できるのは公式な場所で購入することでしょう。自作の場合やマスターから購入する場合は著作権法をはじめとする法律に抵触していないか確認する必要があります。
スローガンのサイズに規定はありません。ただ、長すぎると隣のお客さんと接触するため、肩幅より少し広い程度におさえるのが良いでしょう。
また、頭の上で持つなど後ろのお客さんの鑑賞を妨害するような行為は控えましょう。
スローガンの紙の素材は次の四種類から選べます。
・光沢紙
・半光沢紙
・エンボス紙
・合成紙
それぞれ光沢が強い/弱い、水に強い/弱いなどの特徴があるため、用途に応じて選びましょう。グロスラミ(光沢)やマットラミ(つや消し)の加工をすることで、印刷面を保護することもできます。
自分で製作できない場合は、スローガン製作(印刷)を印刷業者に依頼することもできます。
ただし、入稿するデータは著作権法などの法律に抵触していないことが条件となります。
私的利用の場合でもコンサート会場で使用する場合は、著作権侵害にあたるケースも考えられます。自ら著作権を侵害しないように、また印刷業者を加担させないように細心の注意を払いましょう。
K-POPに限らずアイドルの応援をするのは楽しいものです。それが生きる希望となって毎日頑張っている方もいるでしょう。
しかし、アイドルやコンサートの主催者もあくまでもビジネスでやっていることです。本当にアイドルを応援したいのなら、著作権を侵害することなくきちんとアイドルにお金が落ちる方法で応援しましょう。
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