パーパスとは?

販促(はんそく)・マーケティングにおけるパーパス(Purpose、フランス語表記:Objectif)とは、企業やブランドが存在する理由や社会的な使命を示す理念を指します。単なる利益追求だけでなく、社会的・環境的な貢献や、顧客や従業員に対する価値提供を目的とするもので、企業が「なぜ存在するのか」を明確にし、その信念に基づいたマーケティング活動を展開することが重要視されています。


パーパスの歴史と由来

「パーパス(Purpose)」という概念は、企業の存在意義や目的を強調する理念として、近年のマーケティングやビジネス戦略において注目されています。その起源は、1960年代から70年代のコーポレートソーシャルレスポンシビリティ(CSR:企業の社会的責任)の登場に遡ります。企業が社会に与える影響や倫理的な行動が評価されるようになり、これが「パーパスドリブン(目的主導)」な企業経営の基盤となりました。

2000年代に入ると、特にミレニアル世代やZ世代の消費者の間で、企業の倫理観や社会貢献に対する意識が高まります。これに伴い、単なる製品やサービスの提供にとどまらず、企業の存在意義を重視する動きが強まりました。こうした背景から、企業のパーパスは、ブランドの一貫性や消費者との信頼関係を築くための重要な要素となりました。

パーパスの現代における役割と重要性

1. ブランド価値の強化

パーパスは、企業やブランドの「軸」となる要素です。明確なパーパスを持つ企業は、製品やサービスを提供するだけでなく、顧客に対して共感を呼び起こすメッセージを発信し、ブランド価値を強化します。たとえば、「環境に配慮した持続可能な製品を提供する」や「多様性とインクルージョンを重視する企業文化を推進する」といった明確なパーパスは、消費者に対してブランドへの信頼感やロイヤルティを高める効果があります。

2. 顧客とのエンゲージメント向上

消費者は、製品やサービスの品質だけでなく、その背後にある企業の価値観や目的にも共感を求めています。企業が社会的使命やパーパスに基づいた活動を展開することで、消費者はその企業やブランドに対して深いエンゲージメントを感じ、長期的な関係を築くことが可能になります。現代のマーケティングでは、顧客の感情に訴える「パーパスドリブン」なアプローチがますます重要視されています。

3. 社会的責任とビジネスの両立

パーパスを持つ企業は、社会的な使命とビジネス目標を両立させることが求められます。環境問題や社会的課題に対する企業の取り組みは、消費者や投資家から高い評価を受けることが多く、長期的な成功につながります。例えば、持続可能な経営やエシカルな労働環境を追求する企業は、社会的信頼を得るとともに、競争力を高めることができます。

パーパスの具体的な活用例

1. Patagoniaのサステナビリティ戦略

アウトドアブランドPatagoniaは、環境保護をパーパスに掲げ、その理念に基づいたマーケティング活動を展開しています。同社は、「地球を救うためのビジネス」という明確なパーパスのもと、環境に配慮した製品開発や、リサイクルプログラムを実施しています。このような活動により、Patagoniaはエシカルブランドとしての地位を確立し、消費者の支持を集めています。

2. Unileverの多様性推進

消費財メーカーUnileverは、「ポジティブな社会的影響を与える」というパーパスを掲げ、多様性やインクルージョンを重視したキャンペーンを展開しています。例えば、同社の「Dove」ブランドは、すべての女性の美しさを讃える「Real Beauty」キャンペーンを展開し、社会的なメッセージを強く発信しています。このようなパーパスに基づくマーケティングは、消費者の共感を呼び、ブランドの信頼性を高める効果があります。

3. IKEAの持続可能性への取り組み

家具メーカーIKEAは、サステナビリティを企業パーパスの中心に据え、エコフレンドリーな製品やビジネスモデルを追求しています。再生可能エネルギーの活用や、リサイクル可能な材料を使った製品の開発を通じて、環境への負荷を軽減する取り組みを続けています。このような活動は、持続可能な生活を支援する企業としてのIKEAのブランドイメージを強化し、顧客との信頼関係を築いています。

パーパスのメリットと課題

パーパスを明確にすることは、企業に多くのメリットをもたらします。消費者や投資家に対して一貫したメッセージを提供することで、企業の信頼性が高まり、ブランド価値が向上します。また、従業員にとっても、パーパスを共有することは働くモチベーションや組織へのエンゲージメントを高める効果があります。

一方で、パーパスが単なるスローガンに終わらないよう、実際の行動と一致させることが重要です。パーパスに基づいた具体的な活動や成果を示すことで、消費者や社会からの信頼を得ることができます。また、パーパスが企業の利益追求と相反する場合、そのバランスを取るための戦略が求められます。

まとめ

販促・マーケティングにおけるパーパスは、企業やブランドが存在する理由や社会的使命を示す重要な要素です。歴史的にはCSRにルーツを持ち、現代では消費者や従業員に共感を呼び起こすための強力なツールとして活用されています。パーパスに基づいた企業活動は、ブランド価値の向上や顧客との長期的な関係構築に貢献し、持続可能なビジネスの基盤となることが期待されています。


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