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印刷業界における標準光源とは?

印刷業界における「標準光源」(ふりがな:ひょうじゅんこうげん、英:Standard Light Source、仏:Source Lumineuse Normée)とは、印刷物の色を評価する際に基準となる光のことです。色の見え方は照明条件によって大きく変わるため、印刷物の色を正確に評価するためには、特定の基準光(標準光源)を使用することが求められます。標準光源は、色の再現性を向上させ、印刷物の品質を一定に保つために欠かせない要素です。


標準光源の概要

標準光源とは、色の評価や印刷物の検品において、一定の条件下で安定した光を提供する光源のことを指します。印刷物の色味は、使用する光源の種類や強さによって異なるため、色管理の一環として標準光源を用います。

一般的な標準光源としては、D50(5000ケルビン)やD65(6500ケルビン)が使用されます。D50は印刷業界で最も広く使われる光源で、自然光に近い光を再現し、印刷物の色評価に適しています。これにより、異なる場所や時間帯でも一貫した色の見え方を維持することが可能となります。

標準光源の仕組みと特徴

標準光源の役割は、特定のスペクトル特性を持つ光を提供し、印刷物の色を正確に再現することです。色の評価や検品を行う際には、標準光源の使用が推奨されています。以下は標準光源の主な特徴です:

  • 色温度:D50(5000K)やD65(6500K)など、特定の色温度に設定された光源を使用します。D50は特に印刷物の色確認に適しています。
  • 均一な光:標準光源は、光のムラがなく均一な照射を行うため、色評価に最適です。
  • スペクトル分布:光源のスペクトル分布が正確であるため、異なる光源下でも色の変化を最小限に抑えます。

このような特徴により、標準光源は印刷業界だけでなく、デザイン業界や写真業界でも広く利用されています。色の正確な再現が求められる場面では、標準光源の使用が欠かせません。

標準光源の歴史と由来

標準光源の概念は、20世紀初頭に色の測定基準として導入されました。1931年、CIE(国際照明委員会)が色の標準観測者モデルを発表し、それに基づいて標準光源が設定されました。

当初は、印刷業界での色再現の精度を向上させるために開発されましたが、その後、他の分野でも利用が拡大しました。D50やD65といった標準光源の導入により、異なる照明条件下でも色の見え方を統一することが可能になり、印刷物の品質管理が飛躍的に向上しました。

現在の標準光源の利用と進化

現在、標準光源は主に印刷工場やデザインスタジオ、写真スタジオで使用されています。例えば、印刷工程の検品や色校正の際には、必ず標準光源の下で色を確認します。これにより、製品の色味が顧客の要求に沿ったものかどうかを正確に判断できます。

また、LED技術の進化により、エネルギー効率が高く、長寿命な標準光源が登場しています。従来の蛍光灯やハロゲンランプと比較して、LED標準光源は消費電力が少なく、環境負荷も低減されているため、持続可能な印刷プロセスに貢献しています。

標準光源の利点と注意点

標準光源を使用することで、以下の利点が得られます:

  • 色再現の正確性:標準化された光源下で色を評価することで、印刷物の色味の一貫性が保たれます。
  • 品質管理の向上:印刷工程の各段階で色の確認が容易になり、不良品の削減につながります。
  • 顧客満足度の向上:顧客が期待する色味を忠実に再現することで、信頼関係が向上します。

一方で、以下の点に注意が必要です:

  • 光源のメンテナンス:長期間使用すると光源の劣化が生じ、色評価の精度が低下するため、定期的な交換が必要です。
  • 色温度の適切な設定:目的に応じてD50やD65など、適切な光源を選択することが求められます。
  • コスト:高品質な標準光源は初期投資が高いものの、長期的な品質向上のためには必要です。

まとめ

標準光源は、印刷業界において正確な色評価と品質管理を実現するために欠かせない要素です。20世紀初頭から導入され、技術の進化とともに使用範囲が広がっています。現在では、LED技術の採用により、環境に配慮したエネルギー効率の高い光源が登場しており、今後も持続可能な印刷業界の発展に寄与するでしょう。標準光源を効果的に活用することで、印刷物の品質と顧客満足度の向上を目指すことが可能です。

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