印刷業界におけるポストスクリプトプリンターとは?
印刷業界におけるポストスクリプトプリンター(ふりがな:ぽすとすくりぷとぷりんたー、英:PostScript Printer、仏:Imprimante PostScript)とは、Adobe Systemsが開発したページ記述言語である「PostScript」をサポートするプリンターを指します。PostScriptプリンターは、高解像度のグラフィックや複雑なページレイアウトを正確に印刷できるため、デザインや出版、商業印刷において広く利用されています。この技術により、コンピューター上で作成されたレイアウトを正確に紙に再現することが可能です。
ポストスクリプトプリンターの概要
ポストスクリプトプリンターは、PostScriptというページ記述言語を使用してデータを処理する仕組みを持っています。以下のような特徴があります:
- ・高精細な印刷:ベクトルデータやフォントのアウトラインを正確に処理し、滑らかな印刷結果を提供します。
- ・複雑なレイアウトの処理:テキスト、画像、グラフィックが混在する複雑なページレイアウトでも正確に再現可能です。
- ・プラットフォーム独立性:MacやWindowsなど異なるOS間でも一貫した印刷結果を提供します。
特に、出版物や広告のデザインでは、色の再現性や細部の表現力が重要視されるため、ポストスクリプトプリンターが活躍します。
ポストスクリプトプリンターの歴史と由来
ポストスクリプト技術は、1980年代にAdobe Systemsによって開発されました。当初、DTP(デスクトップパブリッシング)の需要が高まる中、コンピューターで作成されたデザインやレイアウトを正確に印刷するための方法が求められていました。
1985年にApple社が初のPostScript対応プリンター「LaserWriter」を発表し、この技術が印刷業界に広まりました。PostScriptの登場により、従来の印刷手法では困難だった複雑なレイアウトや高品質なグラフィックの印刷が手軽に行えるようになり、出版や広告業界に大きな変革をもたらしました。
その後、PostScriptは進化を遂げ、Adobe PDF(Portable Document Format)の基礎としても採用されるなど、デジタル印刷の標準技術として現在でも使用されています。
ポストスクリプトプリンターの現在の使われ方
現在、ポストスクリプトプリンターは以下のような分野で活用されています:
- ・出版業界:書籍や雑誌、新聞のレイアウトを正確に印刷するために使用されます。
- ・広告制作:ポスター、チラシ、カタログなどの高品質な印刷物を制作する際に利用されます。
- ・商業印刷:企業ロゴやブランドイメージを正確に再現するために重要です。
- ・グラフィックデザイン:デザインソフトウェア(Adobe IllustratorやInDesignなど)と連携し、高度なデザインを印刷します。
また、デジタル印刷機器やオンデマンドプリンターの中には、PostScript互換機能を備えたものが多く、効率的なデータ処理と印刷を実現しています。
ポストスクリプトプリンターの注意点
ポストスクリプトプリンターを使用する際には、以下の点に注意が必要です:
- ・フォント管理:使用するフォントが正しく埋め込まれていない場合、印刷結果に誤りが生じることがあります。
- ・色再現性の確認:CMYKとRGBの変換で色味が変わることがあるため、カラープロファイルの設定が重要です。
- ・コストの考慮:高品質な印刷を行うため、機器や消耗品のコストが高くなる場合があります。
まとめ
ポストスクリプトプリンターは、デザインや出版物の印刷において高精細かつ正確な再現性を提供する重要な技術です。その起源は1980年代に遡り、DTPの普及とともに印刷業界に広がりました。現在では、出版、広告、商業印刷をはじめ、さまざまな分野で活用され、デジタル印刷の品質を支える基盤技術となっています。適切な設定と運用によって、印刷物の仕上がりを一層向上させることが可能です。