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印刷業界におけるグラビアインキとは?

印刷業界における「グラビアインキ」(ふりがな:ぐらびあいんき、英:Gravure Ink、仏:Encre de Gravure)とは、グラビア印刷に使用されるインクのことを指します。グラビア印刷は、高精細で鮮やかな色再現が可能な印刷技術で、特にパッケージ、雑誌、ポスター、ラベルなどの大量印刷に適しています。グラビアインキは、速乾性や耐久性に優れており、さまざまな素材に高品質な印刷が可能です。


グラビアインキの概要

グラビアインキは、凹版印刷方式の一つであるグラビア印刷に使用されます。グラビア印刷では、シリンダーに彫られた微細な溝(セル)にインクを充填し、そのインクを紙やフィルムなどの基材に転写することで、精密な印刷を行います。このプロセスに対応するため、グラビアインキは非常に低粘度で流動性が高いのが特徴です。

グラビアインキには、溶剤型インキ、水性インキ、UVインキなどの種類があります。それぞれのタイプは、印刷対象の素材や環境に応じて使い分けられます。溶剤型インキは速乾性に優れており、フィルムや金属などの非吸収性素材に適しています。一方、水性インキは環境負荷を軽減するために使用され、主に食品包装などに利用されます。

グラビアインキの歴史と由来

グラビア印刷は19世紀後半にヨーロッパで発展し、当初は写真の印刷技術として使用されていました。その後、技術の進化により、精密な画像やパターンを大量に印刷できることから、広告や雑誌などの商業印刷にも応用されるようになりました。

グラビアインキの使用も同時期に進化し、特に20世紀初頭には、合成樹脂や溶剤を使用したインキが開発されました。これにより、より鮮明な印刷と耐久性が向上し、包装材やラベル印刷に広く普及しました。近年では、環境保護の観点から、水性インキやUVインキの利用が拡大しています。

グラビアインキの現在の使われ方

現在、グラビアインキは以下の分野で広く使用されています:

  • パッケージ印刷:食品、化粧品、医薬品のパッケージなど、耐久性と印刷精度が求められる分野で使用されています。
  • 雑誌・ポスター:高精細なカラー印刷が必要な雑誌の表紙や広告ポスターに適しています。
  • ラベル印刷:透明フィルムや金属ラベルへの印刷に使用され、耐摩耗性が求められる製品に最適です。
  • 産業用途:自動車部品や家電製品の装飾パネルに使用され、耐熱性や耐薬品性が重視されています。

また、環境規制の強化により、水性グラビアインキの需要が増加しています。これにより、従来の溶剤型インキに代わり、環境に優しい製品が選ばれるようになってきています。さらに、UVインキの普及により、速乾性と高耐久性を両立する印刷も可能になり、印刷業界全体の効率向上に貢献しています。

グラビアインキの利点と注意点

グラビアインキを使用することで、以下のような利点があります:

  • 高精細な印刷:微細なドットで表現されるため、写真のような滑らかなグラデーションや鮮明な色再現が可能です。
  • 速乾性:溶剤型インキやUVインキは速乾性に優れ、大量生産に向いています。
  • 耐久性:耐水性や耐摩耗性に優れているため、屋外広告や長期使用される製品にも適しています。

一方、以下の点に注意が必要です:

  • 環境負荷:溶剤型インキはVOC(揮発性有機化合物)を放出するため、使用には環境規制に注意が必要です。
  • 印刷設備のコスト:グラビア印刷には専用のシリンダーが必要であり、初期導入コストが高い傾向があります。
  • インキの管理:低粘度のインキは、印刷中に流動性が変わることがあり、精密な管理が求められます。

まとめ

グラビアインキは、鮮やかな色再現と耐久性を兼ね備えた印刷技術の要です。特にパッケージ印刷や雑誌、ラベルなど、品質が求められる印刷物において重要な役割を果たしています。環境規制が厳しくなる中、水性インキやUVインキの利用が進み、持続可能な印刷プロセスが求められる今後も、グラビアインキの技術は進化し続けるでしょう。

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