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行送りとは?

印刷業界における行送り(ぎょうおくり、Line Spacing / Interligne)とは、テキストを配置する際に各行の間隔を調整することを指します。行送りは、文字サイズ行間のバランスを考慮して設定され、読みやすさやデザイン性に大きく影響を与えます。適切な行送りを設定することで、印刷物の視認性が向上し、読者にとって快適な読み心地を提供することが可能です。書籍や新聞、ポスターなど、あらゆる印刷物で重要な要素です。


行送りの歴史と起源

行送りの概念は、活版印刷が始まった15世紀に遡ります。当時の活版印刷では、文字を組み合わせたを作り、それをに押し付けて印刷する手法が用いられていました。この際、行間を空けるために鉛製の棒(スペーサー)が使用されており、これが行送りの原型となりました。鉛の厚みを変えることで、行間を調整することができました。

その後、活版印刷が発展し、オフセット印刷が普及すると、デザインの自由度が高まり、行送りの設定もより柔軟になりました。20世紀後半にデジタル印刷技術が登場すると、コンピュータ上で行送りを簡単に調整できるようになり、デザインの効率化と精度向上が実現しました。現在では、行送りはデジタルデザインソフトウェアでミリ単位またはポイント単位で細かく設定することが可能です。

行送りの現代における使用方法

現代の印刷業界では、行送りは主にデザインソフトウェア上で設定され、印刷物の内容や目的に応じて調整されます。例えば、書籍や新聞では、長時間読んでも目が疲れにくいように適切な行送りが設定されます。行間が狭すぎると文字が詰まりすぎて読みづらくなり、逆に広すぎると文章の流れが途切れたように感じられるため、バランスが重要です。

広告やポスターなどのデザイン性が求められる印刷物では、行送りは視覚的な印象を強調する要素として活用されます。行間を広く取ることで余白を効果的に使い、洗練された印象を与えることができます。一方で、情報量が多い場合には行送りを狭めてスペースを有効活用することもあります。行送りの設定は、文字サイズフォントの選択とも密接に関わっており、デザイナーが印刷物の目的やターゲット層に合わせて調整します。

行送りの技術と仕組み

行送りは通常、文字サイズを基準として設定されます。例えば、文字サイズが12ポイントの場合、行送りを14ポイントに設定すると、行間が適度に空き、読みやすいレイアウトが作られます。行送りの値は、文字サイズの1.2倍から1.5倍程度が標準的とされていますが、フォントや印刷物のデザインによって調整されます。

デザインソフトウェア(例:Adobe InDesignやIllustrator)では、行送りをポイント単位で数値的に設定できます。これにより、デザイナーは仕上がりをプレビューしながら最適な行間を調整できます。また、ソフトウェアでは自動行送り(auto leading)機能もあり、文字サイズに応じて行間が自動的に設定されるため、初期設定の手間を省くことができます。

行送りのメリットと注意点

行送りを適切に設定することで、読みやすさの向上とデザインの統一感が得られます。特に、文章量が多い書籍や新聞では、行送りが適切でないと目が疲れやすくなるため、読者に配慮した設定が求められます。一方、広告やポスターなどでは、行送りを工夫することで、視覚的なインパクトを強調したり、情報を効果的に伝えたりすることが可能です。

しかし、行送りの設定には注意も必要です。行間が狭すぎると文字が詰まった印象になり、可読性が低下します。また、行間が広すぎる場合には、文章が分断されてしまい、読者に不自然な印象を与えることがあります。行送りの適切な設定には、印刷物の用途やターゲット層を考慮しながら、文字サイズフォントの特性を十分に理解する必要があります。

行送りの今後の展望

行送りの技術は、デジタルデザインツールの進化により、さらに柔軟で直感的な設定が可能になると考えられます。特に、AIを活用したレイアウト補助機能が普及すれば、文字サイズや内容に応じて最適な行送りを自動提案するシステムが登場する可能性があります。また、電子書籍やデジタルコンテンツの普及に伴い、画面上での行送りの重要性も増しており、読みやすさを追求した新たな技術開発が期待されています。

さらに、環境配慮の観点から、やインクの使用量を抑えつつも視認性を確保するための行送り設定が研究されるでしょう。行送りは、印刷物品質を向上させるだけでなく、読者とのコミュニケーションを円滑にする重要なデザイン要素として、今後も進化を続けるでしょう。

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