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印刷業界におけるロジンサイズとは?

印刷業界におけるロジンサイズ(ろじんさいず、Rosin Sizing / Encollage à la colophane)とは、の表面を加工して水やインクの吸収性を調整するために使用される処理方法の一つです。ロジン(松脂)を主成分とするサイズ剤を紙に添加し、特にオフセット印刷グラビア印刷でのインクの滲みを防ぎ、印刷適性を向上させます。この技術は紙の製造プロセスで一般的に利用されています。


ロジンサイズの歴史と背景

ロジンサイズは、19世紀中頃にヨーロッパで開発されました。当時、紙の製造技術が進化する中で、インクや水の滲みを防ぐ方法として注目されました。松脂(ロジン)を用いることで、紙に耐水性を持たせる効果が確認され、これが印刷用紙の品質向上に大きく貢献しました。

20世紀初頭には、ロジンサイズが紙の大量生産に適した技術として広まり、新聞や雑誌、商業印刷などで広く採用されました。その後、環境への配慮や技術革新に伴い、中性サイズ剤やアルカリサイズ剤の導入が進みましたが、ロジンサイズは現在も一部の用途で使用されています。

ロジンサイズの仕組みと工程

ロジンサイズは、紙の製造プロセスで以下のように適用されます。

1. ロジンの乳化: 松脂(ロジン)を主成分とするサイズ剤を水に乳化させ、紙パルプに均一に混ぜます。

2. アルミニウム化合物との反応: サイズ剤を安定させるために、硫酸アルミニウム(ミョウバン)を添加します。これにより、ロジンが紙の繊維に結合しやすくなります。

3. サイズ処理: サイズ剤が紙繊維に浸透し、乾燥工程で固着されることで、紙が耐水性を得ます。

ロジンサイズの特徴

ロジンサイズは以下のような特徴を持っています。

1. 耐水性の向上: 紙の繊維間にロジンが結合することで、水やインクの浸透を防ぎます。

2. インク適性の改善: 表面が均一になるため、インクが滲みにくく、鮮明な印刷が可能になります。

3. 経済性: 他のサイズ剤に比べて製造コストが低いため、大量生産品に適しています。

印刷業界におけるロジンサイズの利用例

ロジンサイズは、特に以下のような印刷物で使用されています。

1. 新聞用紙: 耐水性が必要な新聞用紙に利用されます。速乾性と印刷精度が求められる用途に適しています。

2. 商業印刷用紙: チラシパンフレットなど、大量生産される印刷物に適用されます。

3. 包装紙やラベル: 耐久性が求められる包装材やラベルにも利用されます。

ロジンサイズの課題と対応

ロジンサイズにはいくつかの課題がありますが、改良が進められています。

1. 酸性紙の問題: 硫酸アルミニウムを使用するため、紙が酸性になりやすいという問題があります。これを解決するため、中性サイズ剤やアルカリサイズ剤が導入されています。

2. 環境負荷: 製造過程で一部の化学物質が環境に影響を与える可能性があります。環境に優しいサイズ剤の開発が進行中です。

3. 用途の限定: 高品質な印刷物には、より高性能なサイズ剤が求められることがあります。これに対応するため、用途に応じた適切なサイズ剤が選ばれています。

ロジンサイズの未来と印刷業界への影響

ロジンサイズは、紙の印刷適性を向上させる技術として、今後も一定の需要が続くと考えられます。一方で、環境配慮型の製造プロセスへの移行が求められており、これに対応した改良が進むことが期待されています。

また、デジタル印刷特殊印刷の需要が増加する中で、ロジンサイズの技術を応用した新たな製品の開発も進められています。印刷業界の多様なニーズに対応するため、ロジンサイズは引き続き重要な役割を果たすでしょう。

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