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印刷業界における自発光顔料とは?

印刷業界における自発光顔料(じはっこうがんりょう、Self-Luminous Pigment / Pigment Autoluminescent)とは、光を吸収して蓄えたエネルギーを暗所で発光する特性を持つ顔料を指します。この顔料は、蛍光灯や太陽光などの光源によってエネルギーを蓄え、光がなくても自ら発光することが可能です。主に安全標識や装飾印刷、特殊用途のデザインに利用され、視認性を高めるための重要な素材となっています。


自発光顔料の歴史と由来

自発光顔料の起源は、20世紀初頭に発見された蛍光性およびリン光性の化学物質に遡ります。当初は、硫化亜鉛やラジウムを使用した顔料が開発され、時計の文字盤や航空計器の表示などに利用されていました。しかし、ラジウムの放射性が問題となり、より安全な材料が求められるようになりました。

現代では、アルミニウムストロンチウム系の非放射性材料が主流となっています。これらの材料は、光を効率よく吸収し、長時間発光する特性を持っています。「自発光」という言葉は、外部からの電力供給なしで発光する特性に由来しています。この技術は、印刷業界でも特殊効果を付加するための手段として採用されています。

自発光顔料の特徴

自発光顔料には以下の特徴があります。

1. 光を蓄えて発光: 太陽光や蛍光灯などの光を吸収し、蓄えたエネルギーを暗所で放出して発光します。

2. 長時間の発光: 高品質な顔料は、最大で10時間以上の発光が可能です。

3. 安全性: 非放射性で人体に害がないため、幅広い用途で使用できます。

4. 多用途性: 、プラスチック、金属などさまざまな素材に適用可能で、印刷インクコーティング材として活用されています。

自発光顔料の具体的な用途

自発光顔料は、以下のような用途で使用されています。

1. 安全標識: 非常口や避難経路を示す標識に使用され、暗闇でも視認性を確保します。

2. 装飾印刷: ポスターやラベル、広告物に利用され、暗所でのデザイン効果を高めます。

3. 工業製品: 時計の文字盤や電化製品のスイッチ部分に使用され、夜間でも操作しやすくします。

4. 建築用途: 壁紙やタイルに使用され、暗所でも視認性を保つ機能を提供します。

自発光顔料の製造プロセス

自発光顔料は、以下のプロセスで製造されます。

1. 基材の選定: アルミニウムストロンチウムや希土類元素など、光を吸収・蓄積する材料を選びます。

2. 化学処理: 材料を高温で焼成し、光吸収と発光の特性を強化します。

3. 微粒子化: 印刷インクやコーティング材に適用しやすいよう、顔料を微細な粒子に加工します。

4. 分散処理: 顔料をインクや塗料に均一に分散させ、使用可能な形状に整えます。

自発光顔料のメリットと課題

メリット: 自発光顔料は、視認性の向上と安全性の向上に寄与します。また、電力を使用せずに発光するため、エネルギー効率が高く、環境負荷が少ない点が評価されています。

課題: 顔料の製造コストが高いため、広範な用途への採用には価格が課題となる場合があります。また、発光時間や明るさの限界があるため、改良の余地が残されています。

自発光顔料の未来展望

自発光顔料の技術は今後、さらなる改良が進むと予想されています。特に、発光効率や持続時間の向上により、より広範な用途での利用が期待されています。また、環境に配慮した製品の需要が高まる中で、持続可能な素材や製造プロセスの採用が進むでしょう。

自発光顔料は、印刷業界において特殊効果を付加する重要な技術であり、視認性やデザイン性を向上させるために欠かせない素材です。その進化により、未来の印刷物に新たな可能性を提供し続けるでしょう。

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