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印刷業界における色の体系とは?

印刷業界における色の体系(いろのたいけい、Color Systems / Systèmes de Couleurs)とは、色を一定の基準に基づいて分類・整理する仕組みのことを指します。この体系は、印刷物における色の再現性を向上させるために必要不可欠であり、特定の色を正確に指示・管理するために使用されます。代表的な色の体系には、CMYKRGBなどのカラーモデル、PANTONE(パントン)などのカラーチャートが含まれます。


色の体系の歴史と由来

色の体系の起源は、17世紀にアイザック・ニュートンがプリズムを用いて光をスペクトルに分け、光の色を科学的に分類したことにさかのぼります。その後、19世紀にはヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが色の主観的な印象を基にした「色彩論」を提唱しました。

20世紀に入ると、色の客観的な分類と測定が進み、1931年には国際照明委員会(CIE)が「CIE 1931色空間」を定義しました。この色空間は、色を数学的に表現する基礎として、現代の色の体系に大きな影響を与えました。さらに、印刷業界においては、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)やPANTONEなどの体系が確立され、商業印刷の標準化が進められました。


印刷業界で使用される色の体系

印刷業界では、以下のような色の体系が使用されています。

1. CMYK: カラープリントにおいて最も基本的なカラーモデルで、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色を組み合わせて色を表現します。オフセット印刷デジタル印刷で主に採用されています。

2. RGB: ディスプレイやプロジェクタなどのデジタル媒体で使用されるカラーモデルで、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三原色を加算混合して色を再現します。印刷物とデジタル媒体の間で色を一致させる際に考慮されます。

3. PANTONE(パントン): 色見本帳として知られるPANTONEは、特定のインクで指定した色を再現するためのカラーマッチングシステムです。一貫した色を求めるブランドロゴや高級パッケージデザインで使用されます。

4. CIE Lab: CIEが定義したカラーモデルで、人間の視覚に基づいた色空間です。デバイスに依存しない色の表現が可能で、色の正確な測定や品質管理に使用されます。


色の体系の重要性と用途

色の体系は、印刷業界において以下のような重要な役割を果たします。

1. 色の再現性の向上: 特定の色を標準化することで、異なる印刷機やインクを使用しても一貫した色を再現できます。

2. デザイン指示の効率化: カラーモデルやカラーチャートを使用することで、デザイナーから印刷業者への色指定が容易になります。

3. 品質管理: 印刷工程での色のばらつきを減らし、顧客の要求に応じた正確な色再現を実現します。


色の体系に関する課題と展望

色の体系には、デバイスや媒体間での色再現の違いという課題があります。たとえば、ディスプレイ上のRGBカラーを印刷物のCMYKカラーに変換する際、色のずれが発生することがあります。この課題を解決するために、カラーマネジメントシステム(CMS)が導入され、色空間間の変換精度が向上しています。

さらに、デジタル印刷の普及により、印刷プロセスでの色の自由度が増してきています。これに伴い、既存の色の体系を補完する新しい技術や標準が求められています。また、環境に配慮した印刷インクやプロセスの導入も、色の体系に影響を与えています。

色の体系は、印刷業界においてデザインと技術を結びつける重要な役割を果たし続けています。今後も技術の進化とともに、色の表現力と再現性がさらに向上し、業界の発展を支える基盤となるでしょう。

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