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印刷業界における打抜き機とは?

印刷業界における打抜き機(うちぬきき、Die-Cutting Machine / Machine de découpe)とは、板紙、プラスチックなどの素材を特定の形状に切り抜くための加工機械を指します。この機械は、パッケージ、ラベルポスター、グリーティングカードなどの製造において重要な役割を果たします。打抜き機を使用することで、製品に独自の形状や機能を付加することが可能となり、デザイン性や実用性を向上させることができます。


打抜き機の歴史と背景

打抜き機の起源は19世紀後半に遡ります。もともとは革靴や衣服の裁断用として考案されましたが、印刷業界に導入されたのは20世紀初頭のことです。紙や板紙の加工が求められる中で、手作業による切り抜きの効率化が課題となり、専用の機械が開発されました。

20世紀中盤には、パッケージ印刷の需要拡大に伴い、打抜き機が進化しました。手動操作から自動化が進み、高精度で大量生産が可能な機種が登場しました。現在では、レーザー技術やデジタル技術が導入され、複雑な形状や微細な加工にも対応可能な打抜き機が主流となっています。


打抜き機の種類と特徴

打抜き機には、用途や加工内容に応じて以下のような種類があります。

1. 平版打抜き機: 平らな型を使用して素材を切り抜くタイプで、主に厚紙段ボールなどの加工に適しています。高い精度と安定した加工が特徴です。

2. ロータリー打抜き機: 回転する型を用いて連続的に素材を加工するタイプで、大量生産に向いています。主にラベルやステッカーの製造に使用されます。

3. デジタル打抜き機: レーザーやカッタープロッターを使用して非接触で加工を行うタイプで、小ロットやカスタマイズ品に最適です。型を必要としないため、試作や特殊な形状にも対応できます。


打抜き機の使用例

打抜き機は、以下のような場面で活用されています。

1. パッケージ製造: 商品の保護とデザイン性を両立するパッケージの製造に使用されます。特に化粧品や食品の箱などで需要があります。

2. グリーティングカード: カードに特殊な形状や切り抜きを施し、付加価値を高めます。

3. ラベルやステッカー: 製品表示用のラベルやデザイン性の高いステッカーの形状加工に利用されます。

4. 紙工作や販促品: 折り紙やポップアップカード、販促用ディスプレイなどのクリエイティブな製品にも対応します。


打抜き機の操作と工程

打抜き機の加工工程は以下の通りです。

1. 型の準備: 加工する製品の形状に合わせた抜き型(ダイ)を設計し、打抜き機に取り付けます。

2. 素材のセット: 紙や板紙などの素材を正確に位置決めして機械にセットします。

3. 加工: 抜き型の圧力を加えて素材を切り抜きます。自動機では、加工後の廃材の排出も行われます。

4. 検品: 加工後の製品を検査し、形状や精度を確認します。


現在の課題と未来の展望

打抜き機には以下のような課題があります。

1. 高コストの機器導入: 高性能な打抜き機の購入や維持にはコストがかかるため、中小企業には負担となる場合があります。

2. 廃材の処理: 加工後に発生する廃材のリサイクルや処分が環境問題として注目されています。

3. 多品種少量生産への対応: カスタマイズ製品の増加に伴い、柔軟性の高い装置が求められています。

未来の打抜き機は、AIやIoTを活用した生産プロセスの最適化や、環境に優しい素材の加工対応が進むと期待されています。また、デジタル技術のさらなる進化により、型を必要としない加工や、より複雑で精密な加工が可能になるでしょう。これにより、印刷業界全体のクリエイティビティと生産性が向上することが期待されます。

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