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合成紙用インキとは?

印刷業界における合成紙用インキ(ごうせいしよういんき、Ink for Synthetic Paper / Encre pour Papier Synthétique)とは、プラスチック素材を基材とする合成紙に適した特殊なインキを指します。合成紙耐水性や耐久性に優れた素材で、通常のとは異なる特性を持つため、専用のインキが必要です。このインキは高い密着性や速乾性を持ち、ラベル、パッケージ、屋外広告など、幅広い用途で使用されています。


合成紙用インキの歴史と起源

合成紙は、20世紀中頃にプラスチック素材の加工技術が進化する中で開発されました。通常のと比べて耐水性や引き裂き強度に優れており、主に屋外広告や特殊用途の印刷物に利用されるようになりました。しかし、合成紙はその表面が非吸収性であるため、従来のインキでは密着性が不十分であり、印刷が剥がれやすいという課題がありました。

これに対応するため、合成紙専用のインキが開発されました。1970年代から1980年代にかけて、UV硬化インキ溶剤系インキが登場し、合成紙への印刷が安定して行えるようになりました。その後、水性インキや環境配慮型インキも開発され、より多様な印刷ニーズに対応する技術が確立されました。

合成紙用インキの特性と効果

合成紙用インキの特性は、高い密着性、速乾性、耐久性を兼ね備えていることです。合成紙の非吸収性表面に適応するため、特殊な樹脂や溶剤が配合されています。また、印刷後のインキが剥がれたり、にじんだりしないように、耐摩耗性や耐水性も重視されています。

合成紙用インキの主な効果には以下の点があります。

1. 優れた密着性: 合成紙の表面にしっかりと密着し、印刷物が剥がれにくく、長期間の使用にも耐えられるよう設計されています。

2. 耐久性の向上: 耐水性や耐候性が高いため、屋外広告や防水性が求められる製品ラベルなどに適しています。

3. 鮮やかな発色: 合成紙の特性を活かし、色再現性に優れたインキが使用されているため、印刷物が鮮やかに仕上がります。

現代における合成紙用インキの使用方法

現代では、合成紙用インキは多岐にわたる用途で利用されています。例えば、食品や飲料のラベルでは、耐水性や耐摩耗性が求められるため、合成紙と専用インキの組み合わせが一般的です。また、屋外広告や案内標識など、長期間にわたり雨風にさらされる印刷物でも使用されています。

さらに、パッケージ印刷においても、合成紙の特性を活かして耐久性とデザイン性を両立する印刷が可能です。最近では、環境意識の高まりを受けて、リサイクル可能な合成紙と低環境負荷型のインキの組み合わせが注目されています。これにより、エコロジーな印刷ソリューションとしての需要が拡大しています。

合成紙用インキの課題と今後の展望

合成紙用インキには多くの利点がありますが、いくつかの課題も存在します。まず、合成紙の特性に適応するための特殊な成分を使用することで、インキのコストが高くなる場合があります。また、環境負荷を軽減するための新しい素材や技術の開発が求められています。例えば、従来の溶剤系インキ水性インキに置き換える取り組みが進められていますが、同時に高い性能を維持する必要があります。

今後、合成紙用インキはさらなる技術革新が期待されています。特に、UV硬化インキの進化や水性インキの適応範囲拡大により、環境負荷を抑えつつ高品質な印刷が可能になるでしょう。また、デジタル印刷機との組み合わせにより、小ロット生産やカスタマイズ印刷でも合成紙用インキの活用が進むと考えられます。このように、合成紙用インキは印刷業界における重要な要素として、ますます多様なニーズに応える存在となるでしょう。

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