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印刷業界における紙の目とは?

印刷業界における「紙の目」(ふりがな:かみのめ、英:Paper Grain、仏:Fibre du Papier)とは、紙を製造する際に繊維が整列する方向のことを指します。紙の目は、印刷物の品質や加工性に大きな影響を与えるため、製本や印刷工程で重要な考慮事項とされています。具体的には、「縦目」と「横目」の2種類があり、用途に応じて適切な紙の目を選ぶことで仕上がりが向上します。


紙の目の概要

紙の目は、紙を製造する過程で繊維が流れる方向によって決まります。この方向は、紙の強度、折りやすさ、印刷適性に影響を与えるため、以下のような特徴があります。

  • 縦目: 短辺方向に繊維が流れる。製本部分に強度が必要な書籍などに適しています。
  • 横目: 長辺方向に繊維が流れる。折り加工が多い場合や特定の用途に適しています。
  • 加工性: 紙の目に沿った方向では折りやすく、目に逆らう方向では折りにくい。

紙の目は、印刷や製本における寸法の安定性や仕上がりに直結するため、用途に応じて選択されます。

紙の目の歴史と由来

紙の目に関する理解は、紙の製造が始まった古代中国に遡ります。手漉き紙の製造では、紙の目はそれほど顕著ではありませんでしたが、製造過程で繊維の向きにばらつきがありました。

18世紀に機械抄きの製法が開発されると、繊維が一方向に整列する傾向が生まれ、紙の目がはっきりと認識されるようになりました。この頃から、製本や印刷工程での品質を向上させるために、紙の目を考慮する必要性が高まったのです。

20世紀以降、印刷技術の進化とともに紙の目に関する研究が進み、特定の用途に応じた製紙技術が発展しました。現代では、高精度な製造プロセスにより、紙の目を自由に制御できるようになっています。

現在における紙の目の使われ方

現在、紙の目は印刷業界や製本業界で以下のように活用されています。

  • 書籍の製本: 縦目の紙を使用することで、背部分が強くなり、長期保存に耐える製本が可能。
  • 折り加工: チラシパンフレットでは、紙の目に沿った方向で折りを入れることで、仕上がりが美しくなります。
  • 特殊印刷物: ポスターや地図などの大判印刷では、紙の寸法安定性を保つために紙の目を適切に選択します。

また、近年では、紙のリサイクルや環境配慮型製品の普及に伴い、紙の目を考慮した再生紙の活用が増えています。

紙の目における品質管理と注意点

紙の目を適切に選択し、活用するためには、以下のポイントに注意する必要があります。

  • 使用用途の確認: 書籍や折り加工品など、用途に応じた紙の目を選びます。
  • 環境要因の配慮: 温度や湿度の影響で紙の伸縮が起こりやすくなるため、保管環境を整えることが重要です。
  • 印刷前の試験: 紙の目に沿った印刷や加工を試すことで、仕上がりを確認します。

特に高級印刷物や製本物では、紙の目を考慮した品質管理が製品価値を大きく向上させます。

まとめ

紙の目は、印刷物や製本物の品質に大きな影響を与える重要な要素です。その歴史は紙の製造とともに進化し、現代では用途や加工方法に応じて選択・制御されています。適切な品質管理と紙の目の選択を行うことで、仕上がりの美しさや耐久性を向上させることが可能です。紙の目を正しく理解し活用することは、印刷業界における基礎技術として欠かせません。

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