ビジプリ > 写真パネル(フォトパネル)印刷 > 最新の写真パネル制作技術と今後

【最新版】写真パネル制作技術と今後



現在では撮影するカメラの画素数に加えて、それを再現する印刷技術の発展により写真パネルはとても鮮明に色彩を表現できます。
そしてその色彩の表現のしかたは印刷面の素材や印刷方法によって大きく変化します。
そこで本記事では「写真パネルとは何か」という初歩的なところから、写真パネル製作に使われる技術の今後まで詳細に解説します。

本記事を読むと

・写真パネルとは何か
・写真パネルはどのように印刷されるか
・インクジェットプリンターの現在と今後の展望について


がわかります。

本記事を参考に「継続的に発注を考えるならこの素材に、この技術でお願いしよう」という答えに一歩でも近づいて頂ければ幸いです。

■写真パネルとは


一口に写真パネルと言っても、実は製造の工程や素材によって分類されます。
具体的には下記の3点です。

・フォトパネル
・キャンバスプリント
・メタルパネル


また、昨今の一般家庭では、印刷することなく撮影した写真データ(デジタルデータ)をそのまま飾ることができるデジタルフォトフレームもトレンドになっております。
それぞれ紹介します。


▶キャンバスプリント

「キャンバスプリント」とは、キャンバスと呼ばれる麻や綿などの天然素材(現在では合成繊維で作られているものもあります。)を平織りにした厚手の織物に、写真もしくはイラストの印刷を施し、木枠に貼り付けてパネルに仕上げたものです。
キャンバスは日本では、帆布(はんぷ)と言う言葉で親しまれ、本来は文字通り帆船の帆に使用されるためのものです。
キャンバスプリントの特徴は

・写真が絵画のような雰囲気に仕上がりになる。
・布地へのプリントとなるので紙よりも耐久性に優れており、しわになりにくい。

などが挙げられます。
そのためインテリアとしての雰囲気を強く出したいパネルや、人が触る可能性が高い場面などには最適です。具体的にはパーティーや結婚式などのウェルカムボード等にも人気があり、思い出の写真をプリントして利用されています。
また今日ではインクジェットプリンターの技術進歩によって、キャンバス地により写真を美しくプリントできるようになり、キャンバス地へのプリントサービスの人気が上がっています。


▶フォトパネル

一般的に布ではなく、印画紙をパネルに貼ったものはフォトパネルや写真パネルと呼ばれます。
貼り合わせる紙を

・光沢紙
・フォト光沢紙
・半光沢紙・合成紙

の中から選ぶことができ、用途や仕上がりから逆算してどれを選んだら良いか選択肢が多いのが特徴です。
写真屋さんで現像を依頼する用紙で一般的に使用される用紙はフォト光沢紙です。速乾性に優れた高級感のある写真用紙になります。
詳しくはこちらも参考にして頂ければ幸いです。
またいくらインクジェットプリンターの技術進歩があるにせよ、後述する銀塩プリントのような鮮明さまではキャンバスプリントにはなく、フォトパネルでないと難しいです。


▶メタルパネル

メタルパネルはキャンバスプリントとも写真パネルとも全く違った印刷方法です。
キャンバスもしくは紙をパネルに貼り付けるということは一切無く、軽量アルミパネルに写真を直接印刷するというシンプルな方法になります。
メタルパネルの特徴は下記の通りです。

・半永久的に色褪せることがない
・高い耐久性
・メンテナンスが手軽(水拭き、乾拭きだけでなく除光液の様な薬品を使用することも可能
・高発色・高光沢
・軽量で丈夫

こちらもインクジェットプリンターの進歩によって可能になった印刷方法と言えます。


▶-番外編-ご家庭での最新技術「デジタルフォトフレーム」

今日のご家庭ではデジタルカメラや液晶技術の発達によって、もはや印刷するという工程すらもカットした「デジタルフォトフレーム」というものが広く普及しております。
一般的な大体の使い方はデジタルカメラもしくはパソコンに保存済みの画像をメモリーカードに移し、そのカードをデジタルフォトフレームの本体に挿し込むと写真を見ることができるというもの。
大半の機種では、普通の写真立てのように同じ画面を移し続けることはもちろん、スライドショーや、カレンダーと写真を同画面で表示可能な機能などを持っています。

写真屋さんに現像を依頼しに行く手間が省け、撮影した写真をそのまま自宅で気軽に楽しめるデジタルフォトフレームは一家に一台あってもいいかもしれません。
商用パネルにおいてもデジタルフォトフレームの技術が低コストで多様に普及すれば、販促ツールや案内表示などに応用される可能性も否定できません。


■キャンバスプリントやフォトパネルの印刷方法


写真パネルの分類が分かったところで、次は印刷に使われる具体的な方法をお伝えします。
今日では写真パネルの印刷方式には

・インクジェット印刷
・銀塩プリント


の2種類が採用されています。
それぞれ説明します。


▶インクジェット印刷

1つ目の方法はインクジェット印刷です。
今日ではご家庭のプリンターでも、ポピュラーな印刷方式です。
仕組みとしては液状もしくは固体のインクを微粒子化して、加圧や加熱などにより微細孔から射出させるといったものになります。
従来の印刷機やプリンターのインクを「塗る」「押しつける」という工程を省き、「吹き付ける」工程に変えることでパネルのような厚みのあるものへの印刷はもちろん、プラモデルのランナー上のパーツなどにも印刷を可能としています。
またインクジェットプリンターはさらに

・UVインクジェット方式
・インクジェット昇華転写方式


に細分化されるのでそちらもそれぞれ解説します。


・UVインクジェット方式

UVインクジェットプリント方式は、多くの企業でキャンバスプリントに利用されています。
ゴムやポリエチレン、凹凸のある素材には使うことはできませんが、さまざまな面に接着できる印刷方法として知られています。
また、乾燥が早く、印刷後すぐに次工程に進むことができるので断裁までの後工程を請け負う写真パネル印刷業者にとっても便利な印刷方式です。


・インクジェット昇華転写方式

一方、インクジェット昇華転写方式は、熱活性化によりインク材料を蒸気にして、目的の写真印刷面に放出するものです。こちらはメタルパネルでの印刷によく利用されます。
上記のような工程のためにメリットは

・写真の発色が良い
・素材の風合いを活かせる
・印刷が落ちにくい
・印刷コストが安い(メタルパネルに直接印刷のため)

の4つが挙げられます。



▶銀塩プリント

銀塩プリントは厳密にいえば「印刷」ではありません。印刷とはインクを「塗る」にしても「吹き付ける」にしても基本的には「紙にインクがのること」を「印刷」と定義づけられます。
しかし銀塩プリントは紙自体に発色する薬品が塗られていて、照射することで紙に塗られた薬品が発色するというもの。
「インクがのる」とは全く違った技術になります。
具体的には写真屋さんがネガフィルムの画像をいわゆる「現像する」という行為がまさしく銀塩プリントです。


■インクジェット印刷/銀塩プリントのそれぞれの特徴比較


インクジェット印刷と銀塩プリントのそれぞれの仕組みがわかったところで、次はそれぞれの仕上がりやコストについて比較します。
作成する写真パネルに最適な方法を検討する際には役立つ情報になっておりますので参考にしてみてください。


▶写真の画質と色

どちらのプリント方式を採用した場合も、解像度は300dpi(1インチ(25.4mm)あたりの点の数)以上ということがわかっています。
また人間の目では、300〜400dpi以上の解像度を区別することはできません。

つまりかみ砕いてお伝えすると、人間の目ではどちらの方式の完成物を見ても理論上はその写真の鮮明さをジャッジすることはできないということです。

ただそれを踏まえても、得意な色や日被写体に違いがあります。
下記にてそれぞれ説明します。


インクジェット印刷

インクジェット印刷では6〜8色のトナーによる多数色の組み合わせが特徴です。今日の技術の発展により、噴射するインクの量や密度を細部まで調節することで疑似的にさまざまな色を表現しています。
銀塩プリントと比較した場合に、外側に印刷面があるので時間が経つと空気に触れて色あせやすい点はどうしてもあります。
また、得意な色は、赤などの鮮やかな色で、コントラストの高い被写体に向いている傾向にあります。


銀塩プリント

銀塩プリントはシアン・マゼンタ・イエローの3色の構造で、それぞれの色の層が賭け合わさることで、さまざま色に発色します。

・色の再現度・色馴染みが良い
・印画紙内部での発色なので、保存性に優れている

のが特長です。
淡い色が得意で、温かみや滑らかさの表現に向いている傾向にあります。


▶写真パネルのコスト

コスト面で比較をすると価格が安いのはインクジェット印刷になります。要因として挙げられるのは印刷に使用される「紙」です。

元々銀塩印刷はフィルムカメラの写真現像に使われていた技術。そのため銀塩印刷に使われる銀塩印画紙は、フィルムカメラの需要の減少と共に希少なものになり、価格が高騰します。今後も銀塩印刷は「開発が進む」というよりかはインクジェットプリンターの技術の進歩により「撤退する」流れになることが予想されます。

一方インクジェットプリンター用のフォト光沢紙や印画紙は、種類も豊富な上にサイズもバリエーションも豊富。インクジェットプリンターの開発は今後も進むことが考えられます。
したがってコスト面で言えば今後もインクジェット印刷が銀塩印刷よりも安価な流れは変わらないでしょう。


■インクジェットプリンターの他分野への応用


昨今ではインクジェットプリンターは「非接触でインク滴を正確に噴射できる」という特徴から単なる印刷に留まらずさまざまな研究が行われております。
具体例として挙げられるのは下記の3つです。

・回路基板製造
・3Dプリンタ
・ディスプレイ装置

それぞれ解説します。


▶回路基板製造

従来、電気回路基板の製造には写真の現像技術、すなわち銀塩印刷の技術が使われてきました。しかしインクジェットプリンターの技術により以下の点が改善されました。

・直接印刷なので版が不要→印刷の期間と工数の大幅削減
・直接印刷による多様なニーズへの効率的な対応
・版洗浄工程がなくなるので廃液削減で環境にも優しい。

また配線や抵抗のパターンのみならず有機半導体をインクジェットプリンタにより印刷し、TFT(液晶ディスプレイの一種)を直接作り出す技術も開発中です。
液晶ディスプレイをインクジェットプリンターで簡単に作り出せるとなると写真パネル製造にも新たに選択肢が生まれることになるでしょう。


▶3Dプリンタ

3Dプリンタは3DCADや3DCGなどで作成されたデータに基づき、3次元モデルを現実の立体物として作り出す装置です。
インクジェットプリンターの技術が応用された方式では、光硬化樹脂を噴射後に、ワックスを噴射する方法や短波長の光を照射して硬化する方法などがあります。
またインクジェットプリンターのカラーインクを使用してカラーの造形物を作ることも可能です。
3Dプリンタの普及が進めば「等身大パネル」から「等身大3次元パネル」に進化する可能性もあるのではないでしょうか。


▶ディスプレイ装置

FED(Field Emission Display)や有機EL(Organic Light Emitting Diode)などのディスプレイ技術では、ベースとなる部材に発光材料を均一に積層することが重要になります。

そこで活用されているのが、インクジェットプリンターの技術です。昨今ではプリンターメーカーとディスプレイメーカーが一体となって、これらの高度なディスプレイの活用を実現するための研究開発を進めています。
こちらも写真パネルの可能性や選択肢を広げる試みといえます。


■インクジェットプリンターの今後の展望


インクジェット印刷は、液体インクを紙に滴下することで、鮮明な画像を生成します。従来型に比べ、小型化、低価格化、軽量化、簡便化が図られています。
そのため、写真パネル以外にも書籍や看板、Tシャツ、食品のラベルなど、さまざまな用途に利用される印刷方式です。

さらに、昨今では豊富なカラーバリエーションと移動可能なプリントシステムにより、ポータブルインクジェットプリンターも誕生し、世界中でさまざまな用途に利用されています。
それに伴って印刷に使うインクへの要求の高まりは、印刷業界の急速な変化をもたらし、現在では溶剤系、水系、紫外線系のインクが使用されてます。
またLEDインキやUVと水性インキのハイブリッドシステムなどの知名度が上がっています。

一方で、インクの価格高騰は現在も続いており、技術発展は進んでいるものの、企業のアナログからデジタルへの移行は実は減速気味なのも事実。
アナログと比較するとインク価格は高止まりすると思われますが、やはり実装されてこそ技術発展が期待できるのでインクジェットプリンターとインクの価格の関係性は切り離せません。


■まとめ

最新の写真パネル制作技術と今後について解説しました。
銀塩印刷とインクジェット印刷のうち、現在はインクジェットプリンターの発展により後者が主流の流れになりつつあります。
ただ今後も発展していくには、インクの価格高騰の問題を解決する必要があります。

このような流れを理解し、貴社が写真パネルを作る際にも「今後も継続して発注するのであればこの方式がベストかな。」などの閃きにつながれば幸いです。


ポスター印刷のご注文・お見積もり(無料)
ご相談は24時間いつでもOK

お電話でのお問合せ

0800-91-91-910

エリア
直 通
(東京)
03-3974-8220
(大阪)
06-6533-7188

メールでのお問合せ

visipri@visia.co.jp

フォームでのご注文はこちら

注文する

↑ページの上部へ戻る