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印刷業界における長網抄紙機とは?

印刷業界における長網抄紙機(ながあみしょうしき、Fourdrinier Paper Machine / Machine à Papier Longue)とは、長い金属製の網を使用して紙を製造する機械のことです。この機械は、液状の紙パルプを網の上に均等に広げ、水分を除去しながら乾燥させて連続的にを作り出します。主に新聞紙、印刷用紙包装紙など、多様な種類の紙の生産に用いられています。その生産効率と均質な仕上がりから、現代の紙製造業の基盤となっています。


長網抄紙機の歴史と起源

長網抄紙機の歴史は、19世紀初頭のヨーロッパに遡ります。1798年にフランスのルイ=ニコラ・ロベールが最初の抄紙機を発明しました。その後、この技術がイギリスに渡り、ヘンリーとシール・フォードリニエ兄弟によって改良が加えられました。この機械は兄弟の名前にちなんで「フォードリニエ抄紙機」と呼ばれるようになり、紙の大量生産を可能にしました。

それまでの手漉き製法では紙のサイズや品質が限られていましたが、長網抄紙機の登場により、均一で連続した紙の製造が可能となり、新聞や書籍の普及に大きく貢献しました。20世紀にはさらに改良が進み、現代の長網抄紙機は高速かつ精密な制御が可能な機械として発展しています。

長網抄紙機の現代における使用方法

現代の長網抄紙機は、製紙工場で幅広い用途に対応した紙の製造に使用されています。その主な用途は、印刷用紙(オフセット紙コピー用紙)、新聞紙、包装紙、特殊紙などです。この機械の優れた特性は、紙厚調整や紙幅調整が自由な点にあり、多様なニーズに応えることができます。

製造工程は、紙パルプを水と混ぜてスラリー状にしたものを長い金属網の上に流し込むことから始まります。この網は高速で動いており、水分が下部から除去される一方で、繊維が絡み合って紙層を形成します。その後、圧縮ロールでさらに水分を除去し、乾燥工程に進みます。最後に、カレンダー加工で表面を滑らかにし、巻き取りや裁断が行われます。

長網抄紙機の技術と仕組み

長網抄紙機の主な構成要素は以下の通りです。

1. ヘッドボックス: 紙パルプスラリーを均一に供給する部分で、紙の品質に直結する重要な役割を果たします。均一な流量と繊維分布が求められます。

2. 長網: 金属製または合成繊維の網で、水分を除去しながら紙層を形成します。この段階で紙の目付(グラムウェイト)が決定されます。

3. プレスセクション: 圧縮ロールを用いてさらに水分を除去し、紙層を固めます。ここで紙の密度や強度が向上します。

4. 乾燥部: ヒーターを用いて紙層の残留水分を蒸発させます。この工程は、紙の仕上がり品質に大きな影響を与えます。

5. カレンダー部: ロールで紙の表面を滑らかにし、均一な厚みと光沢を与えます。この仕上げ工程により、印刷適性が向上します。

長網抄紙機のメリットと注意点

長網抄紙機の最大のメリットは、高速かつ大量の紙製造が可能である点です。また、均質な仕上がりを実現するため、印刷や包装に適した紙を安定して供給することができます。さらに、製造過程での調整が容易であり、多様な紙種に対応可能です。

一方で、注意点としては、設備投資が高額である点が挙げられます。また、高速運転に伴う機械のメンテナンスや操作技術が求められるため、熟練したオペレーターが必要です。さらに、水資源の消費が多いため、環境への配慮が重要視されています。このため、廃水処理やリサイクル技術の導入が進んでいます。

長網抄紙機の今後の展望

長網抄紙機は、今後も製紙業界での中心的な役割を果たすと考えられます。特に、環境問題への対応が求められる中で、省エネルギー化や水資源の効率利用が重要な課題となっています。これに対し、最新の技術を活用したエコフレンドリーな抄紙機が開発されています。

また、デジタル印刷の普及により、特殊用途の紙需要が増加しており、長網抄紙機の多様性がさらに重要視されるでしょう。例えば、高度な印刷適性を備えた紙や、耐久性や機能性を強化した紙の生産が期待されています。これらの進化により、長網抄紙機は、未来の印刷業界を支える重要なインフラとして位置付けられるでしょう。

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