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印刷業界におけるCIE表色系とは?

印刷業界におけるCIE表色系(しーあいいーひょうしょくけい、CIE Color System / Système de Couleurs CIE)とは、国際照明委員会(CIE: Commission Internationale de l'Éclairage)が定めた色の測定と表現の標準規格を指します。この表色系は、色を数値で定量化することで、色の正確な比較や再現を可能にします。特に、印刷業界では色管理や品質保証に欠かせない技術として広く採用されています。


CIE表色系の歴史と背景

CIE表色系の歴史は、1931年にCIEが「CIE 1931 色度図」として発表した標準規格にさかのぼります。この規格は、色を科学的に測定するための基準を確立し、三刺激値(XYZ)を用いて色を表現する方法を提案しました。

当時、照明や印刷などの分野では、色再現性が課題となっており、標準化された色の定義が求められていました。CIE表色系の登場により、異なる光源や観察条件でも一貫した色の測定が可能となり、産業界における色の標準化が進みました。

その後、CIE表色系は1964年に改訂され、より広い視野角を考慮した「CIE 1964 色度図」が追加されました。さらに、1976年には、均等な色の差をより正確に表現できる「CIE Lab表色系」が導入され、印刷業界をはじめとする多くの分野で使用されるようになりました。

CIE表色系の特徴

CIE表色系には以下の特徴があります。

1. 三刺激値(XYZ): 人間の視覚特性を基にした色の表現方式で、色を数値として定量化します。

2. 色度図: 色相彩度をグラフ化したもので、色の関係性や混色の範囲を視覚的に示します。

3. 均等な色差(CIE Lab): 色の違いを均等に感じられるよう設計された色空間で、印刷物の品質管理に適しています。

印刷業界におけるCIE表色系の用途

CIE表色系は、印刷業界で以下のような用途に活用されています。

1. 色の測定と管理: 印刷インクや用紙の色を正確に測定し、カラーマッチングを行います。

2. 品質保証: 印刷物の色が設計通りであることを保証するために、CIE表色系の数値を基準とします。

3. カラープルーフ: 印刷前の試し刷りで、CIE表色系を基にした正確な色再現を確認します。

4. デジタル印刷との連携: デジタル印刷機とオフセット印刷機の間で色の一貫性を保つために使用されます。

CIE表色系の課題と未来

CIE表色系には以下の課題もあります。

1. 視覚との差異: 人間の視覚的感覚と数値化された色との差異が発生する場合があり、完全な一致は難しいことがあります。

2. 高度な機器の必要性: 正確な色測定には、分光測色計などの専門的な機器が必要です。

3. 照明条件の影響: 照明の種類や光の角度によって、色の見え方が変わるため、統一された条件下での測定が求められます。

一方で、CIE表色系は新しい技術と融合することで進化しています。たとえば、AIを活用した自動色調整や、AR/VR技術での色管理への応用が進んでいます。また、環境に配慮したインクや素材の開発においても、CIE表色系が重要な役割を果たしています。

CIE表色系は、色を科学的に管理するための基盤として、印刷業界だけでなく、あらゆる分野で活用されています。今後も技術革新により、その応用範囲はさらに広がり続けるでしょう。

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