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パネル印刷とは?最先端のパネル印刷技術と今後



印刷の技術の進化は留まることなく、日々可能性を広げています。
ただそんな中でも最新の技術の人気と、昔ながらの技術の人気が共に同居する市場がパネル印刷の市場です。
本記事では「パネル印刷とは?」というところから進化し続ける印刷技術である「インクジェットプリント」の詳細情報。また昔から根強い人気と温かみのある仕上がりの「銀塩プリント」について詳細に解説します。
本記事を参考にパネル印刷の技術や市場の現状や近未来を把握し、今後の発注方法などに活かして頂ければ幸いです。

■パネル印刷とは?


パネル印刷とは、一般的には「プリントした用紙などを発泡パネルに圧着し、指定の寸法にカットしたもの」を指します。
人によっては強度や補強などを目的として、ラミネートやアルミフレーム加工などをほどこすケースも多く見受けられます。

またこの際、プリントに使用される用紙は

・半光沢紙
・合成紙
・フォト光沢紙


の3種類です。さらにパネル印刷自体は

・直接印刷 
・貼り合わせ 
・アルミ複合板


といった3つの印刷方法に区別されます。

この3つについてもそれぞれ説明します。


▶直接印刷

直接印刷はパネルにデザインやテキストを直接印刷する印刷方法です。
瞬時に硬化・定着しやすいUVインクジェットプリンターなどで主にプリントされます。
用紙を貼り合わせることもなく瞬時に乾く工程なので他の2つの印刷方法より低コスト・短納期を実現しやすい方法です。


▶貼り合わせ

冒頭で紹介した一般的なパネル印刷の方法です。
つまり直接印刷とは対照的に印刷した用紙をパネルに貼るタイプの方法を指します。
先程紹介した3つの用紙を使うことが可能なので用途ごとに応じた特性の用紙を使い分けられます。
また短い期間でも繰り返し使うものなどは、紙だけ貼り替えれば良いのでそのような用途においてのコスパは優れています。


▶アルミ複合板

前述の2つのどちらとも違い、塩ビ板に印刷を行いアルミ複合板に貼り付ける工程が「アルミ複合板」です。
アルミ複合版発泡ポリエチレン樹脂を、アルミニウム性の薄い板2枚を使ってをサンドイッチのように挟んだ素材です。
こちらの素材は防水・防火などの耐久性に優れる他、軽量で発色が良いので屋内外問わず長期間の使用に適しています。


■最先端のパネル印刷技術


「パネル印刷とは何か?」がわかったところで、現状の最新のパネル印刷の方法について述べます。

パネル印刷は大きく分けて

・インクジェットプリント(印刷)
・銀塩プリント

の2種類に分けられます。
それぞれ説明します。



▶インクジェットプリント

インクジェットプリントは現在のパネル印刷において主流の印刷方法です。

コンピュータ内の画像ファイルからインクを微適化し、直接製品にインクを噴射する印刷方法になります。現在では約1億種類もの色の再現が可能であり、今も尚進化を続けています。

また、インクジェットプリントはさらに

・UVインクジェット方式
・インクジェット昇華転写方式


の2つの方法に分けられます。

こちらもそれぞれ説明します。


UVインクジェット方式

UVインクジェット方式は先程説明したインクジェット方式の印刷行程にUV照射を加えて、UVインクを使用した印刷方式です。

UVインク自体は、水に溶けないので

・多彩なメディアへの適応可能
・高い耐久性
・速乾性による短納期への対応可能


などのメリットがあり、出荷量が近年増加傾向にあります。
また何層も重ねてプリントする「厚盛り」やプリントする際の透明度調整、任意の場所に凹凸を出した質感などにも対応が可能です。


インクジェット昇華転写方式

昇華転写印刷とは、転写紙に専用のインクでデザインを印刷して、熱を加えてインクを製品に浸透させる印刷技術です。
インクジェットプリントと言えば、印刷物に対してインクを塗布する工程が一般的になるのでこちらの方法は例外的な方法といえます。
工程の特性上どうしても使える素材に限りがあったり、白色のインクを使用しないので濃色生地に白色を乗せることは不可だったりと制約が多い印刷方法になります。

ただし

・UVプリントで苦手とされるグラデーションに対応可能
・転写紙で生地にインクを染みこませていくので、素材の風合いを残すことができる
・記事に染色する技術なので印刷が落ちにくい

などの特徴があり、仕上がりに関しては後述する銀塩プリントに近いメリットを有しています。


▶銀塩プリント

従来からある印刷方法ですが、今も尚人気なパネル印刷の技術が銀塩プリントです。
イメージしやすい例で言うと「昔ながらのフィルムカメラの写真の現像」の方法がそのまま銀塩プリントの方法です。
具体的にはインクジェットプリントが「用紙にインクを吹き付ける」という工程であることに対して、「専用紙に光を当てて像を浮き上がらせる」というもの。

インクというものは使わず、紙に塗られた薬品が光を発色するので、銀塩写真はグラデーションに継ぎ目がなく、滑らかできれいな仕上がりになります。

また水に濡れてにじむということがありません。そのため台風や床上浸水などの被害にあってしまった写真でも、銀塩プリントのものの場合、ある程度復元できたというケースもあるほどです。


■インクジェットプリントと銀塩プリントの比較


現在のパネル印刷の技術である「インクジェットプリント」と「銀塩プリント」の両者の特徴を理解できたところで、次に両者の比較をして解説します。


▶印刷方法と仕上がり

印刷方法については先程の説明のように「インクジェットプリントがインクを吹き付ける」のに対して銀塩プリントでは「紙に塗られた薬品が光を発色」という方法の違いがあります。
そのためインクジェットプリントはグラデーションに継ぎ目があり、銀塩プリントではそれがないということになります。
言い換えると、インクジェットプリントはいわばすごく細かいドットの集合体なのに対して、銀塩プリントは細かく分解してもドットにならないということです。
ただし最近では、インクジェットプリントの技術が向上し解像度は300dpi(1インチ(25.4mm)あたりの点の数)以上までに到達しています。
実は人間の肉眼では300〜400dpi以上の解像度を区別できないので、理論上はインクジェットプリントでも肉眼で目をこらしてもドットに見えることはありません。
「ではどちらも仕上がりの違いが確認できないのか?」というとそんなことはありません。
銀塩プリントは、「ハロゲン化銀」という物質に、光を当てて画像を形成するのですが、このハロゲン化銀は強い光が当たるほどより大きくなり、光が弱いほどあまり反応しないという特性があります。
この「最も強く反応する部分(黒)」と「全く反応していない部分(白)」が隣り合うと、前者が後者を侵食する、いわゆるにじみが出るのが銀塩プリントの特徴です。

そしてこれは仕上がりに影響します。

コントラストの強い細い文字などではこのにじみが不利になり、インクジェットプリントのほうがきれいに見やすいです。
しかし写真や画像のような「やわらかい質感」が求められる場面では、やはり銀塩プリントの方が優れているということになります。


▶コスト

コストの面に関しては、大ロットの印刷ならばネットプリントや写真屋さんでの銀塩プリントが優れており、小ロットであればインクジェットプリンターが優れております。
ただしフィルムカメラの需要が減っていることもあり、国産の銀塩印画紙の入手にはこれからより価格高騰が見込まれます。
またインクジェットプリント用の印画紙やフォト光沢紙は、種類やサイズのバリエーションが豊富ですが、銀塩印画紙に関しては今後縮小傾向になる動きは否めません。


▶保存性・劣化

保存性と劣化の度合いに関しては、完全に銀塩プリントに軍配が上がります。

目安として

・インクジェットプリント:約40~50年
・銀塩プリント:約80~100年


と言われています。

特にインクジェットプリントの場合、紫外線に当たると色あせて薄くなってしまいますが、銀塩プリントは耐光性も高く、色あせしにくい特徴があります。


■インクジェットプリントの現状と今後


インクジェットプリントと銀塩プリントの特徴について比較したところで、それぞれの使い勝手などは把握できたでしょうか?
ここからは、それぞれの技術の今後について解説します。
まずはインクジェットプリントについてです。


▶「ナノインク」を用いた電子回路の印刷

3Dプリンターが自動車部品のような精密機器を成形可能なまでに発展をとげた現在では、「ナノインク」を用いた電子回路の印刷が注目を集めています。
従来までは「印刷物=紙の上の活字や模様」の固定観念がありました。
しかし技術が進歩した今、それ以外にも人々の生活にどっぷりはまっているものも印刷の対象になっています。
それがスマホやタブレットに使う「タッチパネル」です。
実はタッチパネルの正体は縦横に銅線が細かく編み込まれた電子回路。
この電子回路をそのままガラスに貼り込むと格子模様が見えてしまいます。
しかしナノインクにより肉眼では確認できないほど、極細線の金属をプリントすることにより、こういったことが起らずに快適にスマホやタブレットを使えているのです。

このように軽さや透明度を求めるモバイル業界で、インクジェットプリントが躍動することによりさらなる可能性が無限に広がっています。
フィルムに回路を刷る「プリンテッド・エレクトロニクス」という言葉は、世に急激な速さ定着しており、インクジェットプリントはもはや機能を付帯したものが常識になりつつあります。


▶最新のプリントヘッド

インクを吐出させる主な方式には、

サーマル方式:インクを加熱し、気泡を発生させることによりインクを噴射する。
ピエゾ方式:電圧を加えると変形するピエゾ素子の機械的な動きによってインクを噴射する。

の2つに分けられますが、

・電圧制御により、インクを噴射する量を細部までコントロール可能
・熱をかけないので、使用環境の影響を受けにくく耐久性に優れる

という点からピエゾ式の開発が進んでおります。

そんな中、エプソン社がマイクロピエゾプリントヘッドというプリントヘッドを開発し、高い着弾精度と1秒間に最大5万発の高速噴射の両立を実現しました。
これにより先ほど説明したような、ナノレベルでの印刷→グラフィック・ディスプレイなどの分野への進出が期待されます。


▶食品にも印刷可能になる?インクジェットプリント

インクジェットプリントの場合オフセット印刷機のように版を作成し、圧着させるという工程がないので多様なものへの印刷が可能になっています。

さらに近年では可食インクを使い食べ物に直接プリントすることも可能になってきています。

また、身体に取り込んでも問題無いので、もちろん医薬品などの錠剤やカプセルに直接識別用のナンバーなどを印刷することも可能です。

このように人間の体内に入れても大丈夫で、医薬品としても問題無く機能するという点から、次のステージとして人間の骨や臓器といったもののプリントも研究が進んでいるようです。
これが進めば、事故や病気などで臓器が必要な方がドナーを待ちつづける必要もなくなり、将来的には拒否反応を起こさない臓器をオーダーメイドで作るということも可能になるかもしれません。
もはやパネル印刷の領域は完全に超えていますが、今後インクジェットプリントは視覚的な広告効果に留まることなく発展していくことは間違いないでしょう。


■LEDパネル&有機ELパネル





▶目的に合わせた加工や用紙の選定

LEDや有機ELパネルなどのようなディスプレイ装置の製造では、発光体を基板上に対し均一に塗装する技術が必要です。
先程の説明のようにインクジェットプリントの技術は300dpi以上の解像度を誇るので、基板上に均一に塗装するというのは正しく得意な分野になってきます。
実際には各社プリンターメーカーがディスプレイメーカーと協力して、このような新世代ディスプレイの実用化に向けて研究や開発が進行中です。

また2021年には国内企業の株式会社JOLEDは、そちらの量産にまで成功しています。
同社は有機EL材料を印刷により塗布し、発光層を製造する印刷方式での有機ELディスプレイを世界で初めて開発しました。
前2つの例とも併せて、今後インクジェットプリントについては医療分野、ディスプレイに関して活躍の幅を広げることが予想されます。


■銀塩プリントの現状と今後


インクジェットプリントの最新技術を説明しましたが、従来から今も尚、活躍している銀塩プリントは今後どうなるのでしょうか?
どうしてもインクジェットプリントに対して技術進歩の面で遅れをとってしまうのが否めません。
ここでは、銀塩プリントの今後について解説します。


▶銀塩プリントはなくなってしまうのか?

まず、「銀塩プリントがなくなってしまうのか?」という疑問に関してですが、結論から言えばなくならないことが有力とされています。
確かに前述したようにインクジェットプリントは留まることなく進化を遂げ、その用途の幅には可能性が広がっています。
また単純に印刷の解像度という点だけでも、もはや銀塩プリントと遜色ない域にまで到達しており、さらにコスパの面でも衰退気味の銀塩プリントよりインクジェットプリントの方が優秀です。
しかしそもそも、インクジェットプリンターよりもハイコストで、理論上同じくらいの画質の銀塩プリントが今も廃れずに生き残っているということは根強いファンがいることの証明とも考えられます。

市場が隆盛するということは難しいかも知れませんが、映すものが写真で紙への印刷という選択肢がなくならない以上は、銀塩プリントがなくなることもないと予想されます。


▶銀塩プリントの今後

上記のように、銀塩プリントには一定数の根強いファンが存在しています。
また現在は実はフィルムカメラのブームが再来しています。機械をいじる操作感や不便さを楽しむというところで趣味にしている人も増えています。

実際に中古のフィルムカメラの価格相場は

上記のように比較的高値で取引されているようです。
またデジタルカメラで写真を撮っても銀塩プリントをしたい人や、必要な場面は現状まだまだたくさんあります。
インクジェットプリントはずっと進化し続けるので、レトロブームの流れは追い風になり、しばらく銀塩プリントが人気な時代も長く続くことでしょう。


■まとめ

最先端のパネル印刷技術と今後について解説しました。
インクジェットプリントは技術の幅を広げてパネル印刷の枠を超え、銀塩プリントは対照的にレトロブームや根強いファンによってその価値は残り続けるでしょう。
本記事に記載の情報を基に今後のパネル印刷の方法や、発注のコスト面などの検討などにお役立て頂ければ幸いです。


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