スチレンパネルとアルミ複合板の違いをわかりやすく解説
「同じような素材だけど、何が違うの?」店頭popや店舗の看板を作りたい。そんなとき、スチレンパネルとアルミ複合板のどちらがいいのかわかりにくいですよね。用途や素材が似ている材料は、選び方がむずかしいのではないでしょうか。
この記事では、スチレンパネルとアルミ複合板の違いをわかりやすく解説します。記事を読み終えると、作りたい広告に適したほうを迷わず選べるようになります。
この記事では以下の内容について解説します。
・スチレンパネルの特徴
・アルミ複合板の特徴
・スチレンパネルを使った広告
・アルミ複合板を使った広告
・スチレンパネルとアルミ複合板どちらがおすすめ
2つの材料の違いを知っていれば、用途ごとにうまく使い分けができるようになり、さまざまな広告に活用できます。
今回はそれぞれの特徴や広告、おすすめの状況について詳しく紹介していきます。
■スチレンパネルとは
発泡ポリスチレン素材のスチレンボードに、印刷した紙を貼り合わせたものです。簡単にいうと、発泡スチロールでできたパネルです。
サイズや厚みの展開も広く、3㎜・5㎜・7㎜の厚さのものがよく使用されています。種類も豊富で素材だけの「素板」表面に紙が貼られた「紙貼り」のりがついた「のり付き」のものが一般的に販売されています。スチレンパネルには、どのような特徴があるか、見ていきましょう。
▶価格が安い
3×6判の1枚あたりの販売価格が1,000円程度と、価格が安いのが特徴です。使い捨てのpopや広告に使用する場合、低価格で購入できるのは大きなメリットです。サイズや厚みなどで価格は変わりますが、あまりコストをかけたくない場合にもおすすめです。
▶加工しやすさ
発泡ポリスチレン素材のため、カッターナイフでカットできます。加工がしやすく、さまざまな形に切れるので自由度の高さが特徴です。
ただし、厚みがあると普通のカッターでは、切るのがむずかしい場合もあります。そのような場合は、専用のカッターを使うとカットしやすくなります。専用のカッターは周辺のホームセンターなどで販売されています。
また、きれいに仕上げたいときや大量にカットしたいときは、専用の裁断機の使用を、おすすめします。キメ細かい発泡スチロールを使用しているので、カットした断面が美しいのもスチレンパネルの特徴です。
▶重さが軽い
発泡ポリスチレンは、軽いという特性があります。たとえば、スチレンパネルで作った等身大パネルなら、サイズが大きくても軽量です。
大きめの看板、popや広告を大量に持ち運ぶときも、軽いと負担が少なく運べます。設置場所を頻繁に変えるときなど、パネルや看板を楽に移動できるメリットもあります。
■アルミ複合板とは
アルミ複合板とは、密度の高い発泡ポリエチレン樹脂を、薄いアルミニウムではさんだ板材です。アルミ板・発泡ポリエチレン樹脂・アルミ板の3層構造になっているのが特徴です。
スチレンパネルは、素材が「発泡ポリスチレン」でした。対してアルミ複合板は真ん中が「発泡ポリエチレン」です。どのような違いがあるのでしょうか。
以下が発泡ポリスチレンと発泡ポリエチレンの違いです。
発泡ポリエチレンのほうが柔軟性はありますが、アルミニウムの板で挟んであるため強度がありそうですね。次は、アルミ複合板の特徴を見ていきましょう。
▶経年劣化しにくい
表面に使われているアルミは、錆びにくい素材のため変色や変形など、経年劣化しにくくなっています。耐用年数は、屋外の使用で長くて4年~5年程度です。直射日光のあたり具合など、置かれている環境で年数が短くなる場合もあります。
また、ラミネート加工を施した場合も、耐用年数は変わります。比較的コストもかからず、1度製作すればこれだけ長く使えるのはメリットといえます。
ラミネート加工とは
・色落ちを防ぐ目的で印刷面に薄いフィルムを貼ったものです。
・光沢あり・なしを選べます。
・光沢ありはツヤ感がでるが反射してしまう可能性もあります。
※ビジプリではアルミ複合板の場合ラミネート加工必須です。
▶耐久性が高い
アルミ複合板の芯材には、樹脂が使われています。そのため、強い衝撃を受けても割れません。しかし、表面は素材が薄いアルミ板で作られています。傷がついたりへこみやすくなっているので注意が必要です。
また、耐熱温度(連続使用温度)は100℃とされていますが熱を使って曲げるなど熱加工はできません。アルミのみで作られた板の半分以下の重さであるのに、耐久性は十分高い材料となっています。
▶美しい仕上がり
表面がなめらかで仕上がりが美しく、加工性にすぐれています。通常だと厚さが3㎜程度と薄く、やわらかい材料となっているため、切断するだけならカッターナイフでカットできます。
ただし、表面がアルミ板のため、カットした際に鋭く尖った箇所がでやすくなります。素手で作業する際は、手を切らないように注意してください。カットした断面は、ヤスリでなめらかにしておくと安心です。
また、曲げ加工やパンチング加工も簡単にできます。表面にラミネート加工を施すと光沢感が増すので、デザインによってはおすすめです。
■スチレンパネルを使った広告
実際にどのような広告に使われているのでしょうか。使用されている広告がわかればイメージしやすいです。それぞれによく使用されている広告を、詳しく紹介していきます。ぜひ、参考にしてください。
よく使用されている広告には以下があります。
・等身大パネル
・店内POP
・建築模型
・展示パネル
・メニューパネル
厚みを持たせた立体感が出せる広告に適しています。
▶等身大パネル
立体感が出せるうえに軽くて丈夫なため、等身大パネルにはよく使用されています。人の身長とほぼ同じサイズで作られている等身大パネルは、店舗やイベントブースに置かれていると目を引きます。
集客のためのアイキャッチとして展示されます。身長ほどの大きさがあっても、軽量のスチレンパネルであれば持ち運びも簡単です。曲線にカットできる点も等身大パネルに適しています。
▶店内POP
軽いという性質を生かした広告です。店内popといえば特売の案内やポスターなど、さまざまな広告があります。店舗内に吊り下げ看板として使用する場合も、多いかと思います。厚みが薄く軽量のため、吊り下げがより簡単にできます。
また、店舗内に省スペースで設置できるので、店舗の広さに関係なく、幅広く展示ができます。一度きりしか使わない広告などは、低コストで作成できるのは嬉しいポイントです。
▶建築模型
作業が細かい模型の製作にも、よく使用されています。厚みやサイズの豊富さ、加工のしやすさからとくに建築模型に最適な材料です。また、本格的な建築模型を作るときは、両面に紙が貼られているタイプがおもに使われます。
建築模型製作用のパネルも販売されています。専用のパネルを購入する場合は取り扱いがある専門店で購入するといいでしょう。
▶展示パネル
展示会やショールームで使用される展示パネルにもスチレンパネルはよく使用されます。短期間で内容が変わることも多い展示パネルには安価なスチレンパネルは最適といえます。比較的長期間使用する際は、アルミフレームをつけて強化することも多い用途です。
▶メニューパネル
飲食店や美容室、サロンなどのメニューパネルにもスチレンパネルは使用されます。イーゼルに乗せたり、壁に貼ったり、紙製自立スタンドを付けて自立させて使用したりします。
■アルミ複合板を使った広告
次にアルミ複合板によく使われている広告を紹介します。薄くて比較的軽く、強度の高いアルミ複合板はどのような広告に適しているのでしょうか。
よく使用されている広告には以下があります。
・大型看板
・壁面看板
・不動産(空室)看板
・建築表記パネル
大きさや強度が必要な広告によく使用されています。
▶大型看板
比較的多くの種類の看板に使用できます。耐久性や強度があるため屋外のプレート状の看板やサイズが大きい平看板に、よく使用されています。湿気などにも強いため、プールや温泉施設の壁などの広告にも使用することができます。
比較的軽いアルミ複合板なら大型看板を設置するときの作業の負担も軽減されます。負担が軽いのは、作業する人にとっては大切です。
▶壁面看板
店舗の案内や宣伝など、街でよく見かける壁面看板にも適しています。比較的軽量で扱いやすいため、壁に直接設置することが可能です。また、防火性があるタイプの材質には建材用のものがあり、キッチンなどの内装や高層ビルの壁面にも使用されています。
▶不動産(空室)看板
駐車場やマンションの空室を表示するため、不動産業者の連絡先を記載して現地に掲出します。雨にさらされる事も多く、掲出期間も未定であることからアルミ複合板(アルポリ)が使用される事が多いケースです。
▶建築表記パネル
建築現場に求められる許可票などの標記看板はアルミ複合板が主に使用されます。1年近くに及ぶ場合が多い建築標記看板には最適な素材と言えます。
■スチレンパネルとアルミ複合板どちらがおすすめ
ここまで、スチレンパネルとアルミ複合板の特徴を紹介してきました。次は、状況によってどちらを選べばいいのか。それぞれのおすすめの状況をお伝えします。
おすすめの状況を知っていれば、用途や場所によってどちらを使えばいいのか即座に判断できるようになるでしょう。無駄なく最適な材料で、広告を製作できるようになります。
■スチレンパネルがおすすめの状況
発泡ポリスチレン素材のため、軽量で自由度が高く比較的丈夫という特徴があります。しかし、湿気に弱いなど発泡ポリスチレンゆえのデメリットもあります。どのような状況がおすすめなのか見ていきましょう。
以下がスチレンパネルがおすすめの状況です。
・大量発注の必要がある
・細かな加工をしたい
・屋内で使用する
▶大量発注の必要がある
大量に購入する場合におすすめです。1枚あたりの価格が安いので商業用など大量発注の必要があっても、コストを抑えられます。ホームセンターやオンラインショップで購入が可能です。
軽いので持ち運ぶのにも負担はあまりありませんが、オンラインショップであれば、大量に購入しても届けてもらえるので安心です。
▶細かな加工をしたい
固さがあり形成しやすいので、模型をはじめ細かな加工をするのにおすすめです。曲線なども容易にカットできるので、さまざまな形に加工できます。また、紙類を掲示するときにも、よく使用されています。
その際は、紙を貼ったままにしておくと湿気により紙が重くなり紙を貼っている側に、パネルが反ってしまう可能性があるので注意してください。
▶屋内で使用する
スチレンパネルの使用は屋内が適しています。湿気や水分に弱いというデメリットがあるため、天候などに左右される屋外での使用はあまりおすすめではありません。また、軽いため風で倒れたり、飛ばされたりする恐れがあります。
屋外では壊れやすくなってしまうので、ほとんどが屋内での一時的な展示に使用されています。大きなパネルを立てたままで使用を続けると、パネルの重さで変形してしまうこともあります。丈夫ですが、環境によっては壊れやすいので注意が必要です。
■アルミ複合板がおすすめの状況
経年劣化しにくく、耐久性もあるアルミ複合板のおすすめの状況を見ていきましょう。それぞれ適している状況が、全く異なっているのに注目してください。
以下がアルミ複合板がおすすめの状況です。
・屋外で使用
・湿度の高い場所での使用
・長期にわたっての使用
▶屋外で使用
天候に左右される屋外での使用がおすすめです。日差しのあたる場所や雨にさらされる場所であっても、劣化しにくく問題なく設置できます。また、気温など暑かったり寒かったりしても問題ありません。
さらに、長期間設置する場合はラミネート加工を施すと、もちがよくなるのでおすすめします。比較的軽いとされていますが、大型看板で使用する際は落下などの恐れがあるので、看板フレームを用いて設置するようにしましょう。
▶湿度の高い場所での使用
表面がアルミ板のため、プールや温泉施設など湿気の多い場所での使用もおすすめです。水に強く、湿気での反りにも強い素材です。そのため、屋外で雨にさらされたり屋内の湿気の多い場所に設置したりしても、形が変わってしまう心配はありません。
▶湿度の高い場所での使用
表面がアルミ板のため、プールや温泉施設など湿気の多い場所での使用もおすすめです。水に強く湿気での反りにも強い素材の為、屋外で雨にさらされたり屋内の湿気の多い場所に設置したりしても、形が変わってしまう心配はありません。
▶長期にわたっての使用
店舗の看板など長期にわたって使用したいときにおすすめです。一時的な使用が適しているスチレンパネルとは異なります。屋外に設置しても劣化がしにくく、耐久年数が長いアルミ複合板は長期の使用に最適です。
■まとめ
スチレンパネルとアルミ複合板の特徴や、おすすめの状況などをわかりやすく解説してきました。発泡ポリスチレンと発泡ポリエチレンという同じような素材で作られていても、適している場所や用途、環境は大きく異なります。
作りたい広告や看板によってうまく活用すれば、集客やコストダウンなど大きなメリットが得られるでしょう。どちらも、比較的簡単に加工ができる材料です。ぜひ、それぞれの最適を上手に利用して、素敵な広告作りに役立ててください。
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