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印刷業界における糊入れとは?

印刷業界における糊入れ(のりいれ、Adhesive Application / Application de colle)とは、印刷物やパッケージの製作過程で、部材同士を接着するために接着剤(糊)を塗布する工程を指します。この技術は、カタログ冊子、パッケージ製品など、多様な印刷物の製作において重要な役割を果たし、製品の耐久性や仕上がりの品質向上に寄与しています。


糊入れの歴史と背景

糊入れの技術は、古代エジプトや中国における書物や巻物の製作にまで遡ります。当時は、天然の樹脂やデンプンを用いた接着剤が使用されていました。印刷技術が発展し、活版印刷が普及した中世ヨーロッパでは、書籍の製本において糊入れが不可欠となり、動物性の接着剤(にかわ)やデンプン糊が広く用いられました。

20世紀に入ると、化学合成技術の進化により、より強力で速乾性のある接着剤が開発されました。これにより、印刷物の大量生産が可能になり、パッケージ業界でも糊入れ技術が広く採用されるようになりました。現在では、環境に配慮した水性接着剤やホットメルト接着剤が主流となっており、製品の安全性や持続可能性を重視する傾向が強まっています。


糊入れの特徴

糊入れには以下のような特徴があります。

1. 強力な接着力: 糊入れによって部材同士をしっかりと接着できるため、耐久性や耐摩耗性が向上します。これにより、冊子やパッケージの品質が長期間保持されます。

2. 多様な材料に対応: 、プラスチック、布、金属など、さまざまな素材に適用できるため、印刷物やパッケージの幅広い用途に対応可能です。

3. 環境に優しい選択肢: 近年では、水性接着剤や生分解性の接着剤が開発されており、環境負荷の低減が進められています。これにより、持続可能な製品設計が可能となっています。


糊入れの用途

糊入れは、印刷業界において以下の分野で幅広く活用されています。

1. 書籍やカタログの製本: 書籍やカタログの背を糊入れで接着し、ページがしっかりと綴じられるようにします。無線綴じ(パーフェクトバインディング)では特に糊入れが重要です。

2. パッケージ製作: 折りたたみ式の箱や紙袋の組み立てには、強力な接着力が必要なため、ホットメルト接着剤を使用した糊入れがよく用いられます。

3. ポスターラベル貼り: 広告用のポスターや製品ラベルなどでは、紙やフィルムの基材に糊入れを施して貼り付けることで、耐久性と美観を両立します。


糊入れの工程

糊入れのプロセスは以下の手順で行われます。

1. 接着剤の選定: 使用する素材や用途に応じて、適切な接着剤(ホットメルト、水性、溶剤系など)を選びます。食品包装には安全な水性接着剤が多く使用されます。

2. 糊の塗布: ローラーやノズルを用いて、基材の接着面に均一に糊を塗布します。厚さや乾燥時間は、製品の仕様に合わせて調整します。

3. 圧着と乾燥: 接着面同士を圧着し、糊がしっかりと硬化するまで乾燥させます。高速ラインでは、短時間で硬化するホットメルトが多用されます。


糊入れの課題と未来

糊入れ技術にはいくつかの課題もあります。

1. 環境問題: 溶剤系接着剤は揮発性有機化合物(VOC)の排出が問題となっており、環境規制が強化されています。これに対応するため、環境負荷の低い水性接着剤やホットメルトへの切り替えが進んでいます。

2. コスト: 高品質な接着剤を使用する場合、コストが上昇することがあります。特に、食品や医薬品包装においては、安全性を確保するために高価な接着剤が求められることがあります。

3. 接着強度の調整: 基材や用途によって、適切な接着力を得るために糊の種類や塗布量を調整する必要があります。過剰な糊の使用は、乾燥時間の延長や製品の美観を損なう原因となるため、最適化が求められます。

一方で、技術の進化により、糊入れのプロセスは効率化され続けています。AIや自動化技術を活用して、塗布量の最適化や品質管理が進んでおり、無駄の削減や生産効率の向上が期待されています。また、接着剤の技術革新により、再生可能な素材を使用したエコフレンドリーな製品開発も進んでいます。今後、糊入れ技術は持続可能な製造プロセスの一環として、さらなる発展が見込まれるでしょう。

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