ビジプリ > 印刷用語辞典 > か行 > 【原紙寸法】

印刷業界における原紙寸法とは?

印刷業界における原紙寸法(げんしすんぽう、Raw Paper Size / Format du papier brut)とは、印刷物を作成する前の未加工の(原紙)の標準的な寸法を指します。原紙寸法は、印刷工程や用途に応じた加工を行うための基準となり、日本では主に「JIS規格」に基づく寸法が採用されています。代表的な寸法には、A判やB判があり、これらは印刷物のサイズ設計や用紙選択において重要な役割を果たします。


原紙寸法の歴史と由来

原紙寸法の基準は、効率的な紙の利用と印刷プロセスの標準化を目的に制定されました。現在の日本で使用される「A判」と「B判」の寸法は、20世紀初頭にドイツで提唱された「ISO216規格」が元になっています。A判は、基本サイズ(A0)が1平方メートルの面積を持ち、縦横比が1:√2(約1:1.414)になるよう設計されています。この比率は、半分に切っても縦横比が変わらないため、効率的な加工や印刷が可能です。

日本では、大正時代にA判が導入されましたが、それ以前は江戸時代から伝わる「菊判」や「四六判」などの寸法が主流でした。昭和初期には、印刷や出版の効率化のためにJIS規格としてA判やB判が正式に採用され、現在に至ります。


原紙寸法の種類と特徴

原紙寸法には、用途や目的に応じたさまざまな種類があります。代表的なものを以下に挙げます。

1. A判: 主に書籍やパンフレットポスターなどに使用される国際標準の寸法です。A4(210mm×297mm)は、日常的な文書サイズとして広く普及しています。

2. B判: A判より一回り大きな寸法で、日本国内で特に多く使用されます。書籍の単行本や学校教材、新聞などに利用されます。

3. 菊判・四六判: 伝統的な日本の寸法で、出版物に使用されることが多いです。四六判(788mm×1091mm)は特に書籍の印刷で一般的です。

4. その他特殊サイズ: ポスターや包装紙、建築図面など、特定の用途向けにカスタムサイズが使用されることもあります。


原紙寸法の用途と重要性

原紙寸法は、以下のような場面で重要な役割を果たします。

1. 印刷計画の基準: 原紙寸法を基に印刷物のサイズやレイアウトを設計します。これにより、紙の無駄を最小限に抑えることが可能です。

2. コスト管理: 用紙の選定や裁断の効率性を考慮することで、コスト削減につながります。例えば、印刷物のサイズを原紙寸法に合わせて最適化することで、紙の廃棄を減らすことができます。

3. 加工適性の判断: 原紙寸法によって、折り加工や裁断加工のしやすさが決まります。特に大量印刷の場合、標準的な寸法を使用することで工程がスムーズになります。


現在の原紙寸法の使われ方

現在、原紙寸法はJIS規格に基づくA判とB判が印刷業界の標準となっています。これにより、印刷機や裁断機などの設備も規格に合わせて設計されており、効率的な生産が可能です。また、デジタル印刷の普及に伴い、PDFなどの電子データもA4やA3サイズを基準として作成されることが一般的です。

さらに、環境問題への関心が高まる中で、原紙寸法を考慮したエコロジーな設計が進んでいます。例えば、裁断ロスを削減するために製品デザインを調整する取り組みが行われています。


原紙寸法の課題と未来

原紙寸法には以下のような課題があります。

1. 非標準サイズの対応: 特殊な用途やデザイン性を重視した場合、標準寸法に適さないことがあり、加工効率が低下する場合があります。

2. 環境負荷: 紙の使用量が多い場合、原紙寸法を適切に計画しないと廃棄物が増加する可能性があります。

3. グローバル化への対応: 国内と海外で異なる寸法規格が使用されている場合、輸出入において混乱が生じることがあります。

未来の原紙寸法の利用は、より環境に配慮した取り組みと密接に関連していくと考えられます。たとえば、AIを活用した印刷計画の最適化や、リサイクル紙の利用促進が進むでしょう。また、デジタル技術のさらなる普及により、電子データと物理的な印刷物の両方で標準寸法を活用した統一的な管理が進むことが期待されます。

▶印刷用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス