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【徹底解説】印刷サイズの歴史は?誰が決めた?


私たちが普段から何気なく使っている用紙には、A4サイズやB5サイズなど多くの種類がありますが
「印刷サイズの用紙って、どんな歴史があって作られた?誰が決めたの?」
と疑問に思ったことはないでしょうか。

実は、印刷サイズにはそれぞれ意外に深い歴史があるのです。

私たちの生活の中でもよく目にするのはA4やB5サイズなど、A判B判の印刷用紙ですが、実は他にも用紙にはサイズが存在します。
現在、JIS(日本工業規格)では、A列本判・B列本判・四六判・菊判・ハトロン判の5種類について「紙の原紙寸法」が定められているので、今回はこれらの印刷サイズと、それぞれの歴史について詳しくご紹介しますね。

この記事の内容
・A判B判が出来るまでの歴史と現在のサイズ
・菊判、四六判、ハトロン判のサイズと歴史
・現在使われている各印刷用紙のサイズ
・各印刷サイズの主な用途


この記事を読むことで、各印刷サイズの歴史や現在の印刷サイズの種類について詳しくなれますよ。

■A判印刷サイズの歴史


私たちの生活の中でよく使われているコピー用紙や公的な文書などはほとんどがA判です。
サイズの比率はB判と共に「白銀比」と呼ばれる1:√2(1.4141)となっています。
この比率で作られた用紙は、どんどん半分に折っていっても縦横が1:√2のまま変わらないのが特徴です。
規格ではA0からA10まで規定されており、数字が1大きくなるごとに面積は半分になっていきます。

▶A判サイズはドイツ発祥

A判サイズはどこで生まれたの?と疑問に思われている方もいると思いますが、発祥は日本ではなくドイツです。
19世紀末、ドイツの科学者であるオストヴァルトは紙の縦横の比率が1cm×√2cm(1:√2)となる寸法を作りました。
この寸法では、用紙の長いほうの辺を半分にしても1:√2の比率が同じになります。

その後、彼の助手であるポルストマンが、オストヴァルトが提案した寸法を元に「DIN476」というドイツの工業規格となるものを作ります。
これはA判規格であるA0サイズを基本としており、現在でも世界中で幅広く使われている国際規格となりました。


▶ISO216で紙に関する規格を規定

1975年、「ISO216」で紙に関する規格が規定されました。
ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)とは、スイスのジュネーブに本部を置く団体で、モノやサービスの基準を世界で同じにしようという目的で設立されました。
この団体では、国際的な標準である国際規格を策定しています。
用紙のサイズに関する国際規格は「ISO 216 size」となっており、世界各国で使われています。
ちなみに、ISO規格でのB判と日本のJISで規定されているB判とではサイズが異なるので注意です。詳しくは後ほどご紹介しますね。


▶現在のA判サイズ

現在のA判サイズは、後で表にも示しますがA0サイズが1189mm×841mmの大きさです。
日本では1993年に厚生労働省から、すべての公的な文書の規格をA4にしましょうとの指針が出されたため、役所などの場でも書類はA4サイズを使うのが基本となりました。


■B判印刷サイズの歴史


B判サイズはA判サイズと同様、「白銀比」の1:√2の比率で出来ています。
BO版は面積が1.5㎡になる1030mm×1456mmの大きさとなっています。
日本で使われているB判は国際規格と同じものではなく、国内で使用されている独自の規格です。
B判は江戸時代の公用紙である美濃和紙を元に作成したため、ISO規格のBサイズと異なっています。

▶B判の始まりは美濃紙

B判サイズはその昔、江戸時代に生まれました。
当時、岐阜県美濃市で作られてきた「美濃紙」と呼ばれる和紙は、幕府御用達である公用紙のサイズ規格でした。
それが徐々に町人達の需要も高まったことで大量生産されるようになり、美濃紙が浸透します。
障子紙として多く使われるようになった美濃紙は「美濃判」として広まります。この大きさは273mm×395mmでした。


▶明治時代からは洋紙が使われる

長い鎖国を終えた日本は、明治時代になると外国との交流が盛んになり、積極的に西洋の発展した技術や文明を取り入れようとしました。
その際に、日本に洋紙が伝わったのです。
イギリスから輸入した「クラウン判」という規格は日本で出回っていた美濃判のほぼ8倍の大きさであることから、「大八ツ判」と呼ばれ広く用いられるようになりました。
大八ツ判のサイズは1091mm×788mmで、これは現在日本で使われているB1サイズにとても近い大きさです。

▶日本独自のJES規格制定

昭和4年(1921年)になると、日本の規格を統一しようと調査会が設置され、規格の制定が開始されました。
当時、日本で流通している書籍や紙の製品のサイズを調査してみると、菊判と四六判の2つのサイズが主に流通していることが分かりました。
菊判は外国から輸入されたサイズでA判とほとんど同じ大きさ、四六判は日本で美濃紙のサイズとほとんど同じだったことから、これを日本独自のB判と定めました。
(菊判や四六判については、後ほど詳しく説明します。)

1933年、この調査会の研究結果から、日本技術標準規格JES(Janpanese Engineering Standards)が交付されます。
JESは1941年までに520件の日本標準規格を制定しました。
ここで規定された紙に関する「標準規格92号P 紙の仕上寸法」の段階ではまだ、現行のものとは少し異なる原紙寸法A列「630㎜×880㎜」やB列「770㎜×1090㎜」が定められていました。

▶JIS(日本工業規格)が誕生

昭和16年までには日本工業規格が制定され、日本国内での規格が定まってきました。
しかし第二世界大戦を終えると、国内で統一されてきた規格を外国と合わせていく必要が出てきたため、戦前から戦時中までに使われてきた規格は戦後、見直され始めました。

そこで1946年に日本工業標準調査会(JISC)を経済産業省に設置。1949年には、工業標準化法が制定され、ここでようやく日本工業規格JIS(Japanese Industrial Standards)が現在も使われている統一規格となったのです。
1951年にはようやく、現在日本で使われている「JIS O 0138 紙加工仕上寸法」が制定されました。

ちなみに、身近な製品にJISマークが付いていれば、JISが定めているその製品のルールや基準を全てクリアしていることになりますよ。

▶現在のB判サイズ

明治政府は江戸時代からの美濃紙サイズ(B判)を引き継ぎ、戦後もJISでは帳簿や公文書はB判が原則と定めていたことから、1980年代までは国の文書のほとんどはB判でした。
しかし、1951年の「紙加工仕上寸法」により、現在のB判サイズが主流となります。

ちなみに、JIS規格であるAシリーズ(Aサイズ)は国際的な標準であるISO 216と同じですが、Bシリーズ(Bサイズ)は日本以外にも中国や台湾で使われている規格なので国際基準のISO 216とはサイズが異なります。
国際的な規格ISOのBシリーズはJISのB判よりも若干サイズが小さくなっているのが特徴です。

B判は現在何に使われているのか表にまとめていますのでご覧ください。

■菊判や四六判、ハトロン判のサイズと歴史は?

私たちの身近にあるA4サイズ、B6サイズなどAB判には馴染みがあると思いますが、実は他にも用紙サイズが存在しています。
それは日本の紙の原紙寸法であり、JISと呼ばれる日本工業規格により

・菊判
・四六判
・ハトロン判
・A列本判
・B列本判

の5つが定められています。
ちなみに原紙とは、仕上がり時の寸法に裁断する前の紙の大きさです。
日常生活ではあまり聞かない、菊判や四六判、ハトロン判について、サイズや歴史などを踏まえつつ解説しますね。

▶菊判


菊判はJISに定められる原紙サイズの一つで、大きさは636mm×939mmです。
菊判は、新聞用紙として使用する目的で明治時代にアメリカから日本に輸入されたものです。
輸入された新聞の大きさは当時のアメリカの一般的なサイズである25×38インチで、これが菊判が使われるきっかけとなりました。

現在は日本だけのサイズとなりましたが、菊判は印刷会社で「原紙」として使われています。 菊判の名前の由来は
・新聞の「聞」の字は「キク」と読めるから
・アメリカの商標であるダリアの花が菊に似ていたから
の二つの理由があるようです。

菊判はA列本判よりも少し大きいため、A列本判の代わりとして多く用いられ、A4やA5サイズの用紙を印刷する際に活躍しています。


▶四六判


四六判はJISに定められる原紙サイズの一つで、大きさは788×1091mmです。
四六判のサイズは、明治時代にイギリスから輸入された紙の規格「クラウン判」が元になっています。
クラウン判は、日本で昔から使われていた「美濃判」のおよそ8倍の大きさであったため、大八ツ判と呼ばれていました。
この大八ツ判を4×8で32分割すると横が4寸2分、縦が6寸1分(128mm×188mm)になることから、四六判と呼ばれるようになりました。
現在四六判は、B判系列より一回り大きいことからB列本判の代わりに使用されることが多いです。
また四六判は、模造紙のサイズとしてもよく使われています。

▶ハトロン判


ハトロン判はJISに定められる原紙サイズの一つで、大きさが900×1200mmのものです。
ハトロンという名前は、ドイツ語の「Patronenpapier パトローネンパピァー(弾丸の薬莢(やっきょう)を包む紙)」という意味に由来します。
日本では「ハトロン紙」と言う名称の包装紙の一種が第二次世界大戦頃まで作られており、その大きさが3尺×4尺(909×1212)であったためこう呼ばれるようになりました。
昔は一般包装紙や封筒などで使われていましたが、現在は地図や包装紙などで活用されています。

原紙のサイズ一覧表
用紙の種類寸法(mm)面積(㎡)
A列本判625×8800.55
菊判636×9390.597
B列本判765×10850.83
四六判788×10910.86
AB判(JIS規格外)880×10850.955
ハトロン判900×12001.08



■各印刷サイズの主な用途(表)

これまで紹介してきたA判、B判のサイズを表にしてご紹介します。
A9、A10、B9、B10サイズは小さすぎることから、ほとんど用途がないため、JISでも規格は0から10までとなっています。

▶A判サイズ

サイズ名大きさ(mm)主な用途
A0841×1189mmビジネス用広告、図面、展示パネル
A1594×841mm新聞紙の見開き1ページ
A2420×594mm新聞紙の片面
A3297×420mm選挙ポスター
A4210×297mmコピー用紙、履歴書、契約書
A5148×210mm本、手帳、教科書
A6105×148mm文庫本、卓上カレンダー
A774×105mmポケットメモ帳
A852×74mm AA大きめの付箋
A952×37mmほとんど用途なし
A1037×26mmほとんど用途なし


▶B判サイズ

サイズ名大きさ(mm)主な用途
B01030×1456mm公共機関でのポスターや宣伝、学会発表用の掲示物
B1728×1030mmポスター、地図
B2515×728mm展示会のパネル、ウェルカムボード
B3364×515mm電車の中吊り広告、折込チラシ
B4257×364mm400字の原稿用紙
B5182×257mmキャンパスノート、教科書、カタログ、週刊誌
B6128×182mm卓上カレンダー、手帳、青年漫画の単行本
B791×128mmパスポート、ポケットサイズの手帳
B864×91mmポップ、ショップカード
B964×45mmほとんど用途なし
B1045×32mmほとんど用途なし



■印刷会社は原紙から裁断している

現在は印刷会社が菊判や四六判などの原紙から裁断し、仕上がり寸法の用紙サイズに仕上げています。
私たちの身の回りにある印刷サイズは初めから存在しているわけではなく、このように原紙から裁断して作られているのです。
菊判はA列本判より少し大きいためA列本判の代わりに、四六判はB列本判より少し大きいため、B列本判の代わりに使用することがあります。

仕上がりサイズがA4のものを印刷する場合を例にあげると、印刷会社はA列本判よりひとまわり大きい菊判を準備し、その後に裁断して最終的に指定サイズに仕上げるといった流れです。

印刷会社は、仕上がり寸法に揃えるため、原紙サイズをひとまわり大きいものを使っていることが分かりましたね。

■まとめ

私たちが普段何気なく使っている印刷サイズの用紙には、長い歴史があることが分かりました。

・A判はドイツ発祥のもので、現在日本では国際規格のISO216と同じサイズのAサイズがJISでも定められ公的な文章から広く使われている。
・B判は国際規格のISO 216とは異なる日本独自のサイズが現在使われている。
・JISでは菊判、四六判、ハトロン判、A列本判、B列本判が原紙寸法として規定されている
・印刷会社では、仕上がり寸法のサイズによって原紙サイズを使い分けている


日本でも一般的に広く使われているA判は国際的標準であるISO 216に準拠していますが、B判は歴史的背景により世界と異なるため混同しないよう注意が必要です。

このように振り返ると、印刷用紙のサイズにはそれぞれ深い歴史があります。

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