最先端のポスター印刷技術とは?今後の予想までご紹介。
ポスター印刷と聞くと、大判の紙に印刷する広告をイメージする方が多いのではないでしょうか。近年は、ポスター印刷技術の進化により、紙媒体だけでなく、新たな掲示技術も台頭してきました。
本記事では、最先端のポスター印刷技術と今後の予想について解説します。
この記事を読むと、
・ポスター印刷業界の現状や今後求められるスキル
・ポスター印刷手法の特徴や掲示技術の進化
についてわかります。
これから、ポスターの印刷を検討されている方、ポスター掲示技術の進化について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
■ポスター印刷業界の現状
まずは、ポスター印刷業界の現状について、外部環境の変化から読み解いていきましょう。
▶コロナ禍による広告需要の減少
2020年から新型コロナウイルスの感染拡大により外出の自粛が余儀なくされ、ポスターによる広告需要が低下しました。
街中の広告としてのポスターだけでなく、屋外イベントや展示会といった、人が集まるイベント自体がなくなったことも影響しています。
これは広告だけでなく、印刷業界全体がコロナ禍で需要が減少していることが伺えます。
▶デジタル広告の発達で紙媒体の需要が減った
デジタルサイネージの発展により広告のデジタル化が進んでおり、紙媒体でのポスター需要が減少しています。
デジタル広告は常に新しい広告を掲載できることや動画も活用することでさまざまな表現が可能になります。
デジタルサイネージ市場は拡大し続け、2025年には市場規模が2021年と比較し、約2倍にも規模が拡大すると見込まれています。
参考:CARTA HOLDINGS デジタルサイネージ広告市場調査を実施
▶環境への配慮が求められている
世界的にSDGsをはじめとして、環境への配慮が求められる世の中となり、広告の在り方についても検討されています。
紙媒体でのポスターは広告の期間が過ぎると廃棄することが多いため、環境資源を無駄使いしていると考えられています。
そのため、SNSやバナー広告、デジタル広告へ広告媒体が切り替わることとなり、ポスター印刷の需要は縮小の一途をたどっていると言えます。
以上、3つの外部環境要因の影響から、紙媒体でのポスター需要は低下し、それに伴い、ポスター印刷業界も縮小している現状にあります。
現に東京商工リサーチの2020年発表の調査で、コロナ禍でペーパーレス化が進みコロナ破たんする印刷会社が23件と、前年比で6割増加したことがわかりました。
■ポスター印刷業界に未来はあるのか
前章では、ポスター印刷業界の厳しい現状について解説いたしました。
それを踏まえ、今後、ポスター印刷業界はどのようになっていくのかについて考察していきます。
▶多くの人の目に触れる広告としてのニーズは顕在
コロナ禍で外出自粛が続いていましたが、現在は経済活動が少しずつ戻ってきており、街では人が歩く姿を見る機会が増えてきました。
ポスターは、街中や駅などで多くの人に見てもらえるところに掲示されることが多いです。不特定多数の目に入る広告として、今もニーズは顕在しています。
▶デジタル広告と比較すると低コストで需要はある
デジタル広告が増えてきていますが、導入コストや電気代といったランニングコストも必要になります。
一方、紙媒体でのポスターはデジタル広告と比較すると低コストであり、掲示できる壁や柱などが確保できればすぐに掲示することができます。
▶技術の移り変わりに対応するスピードが必要
ポスターのデジタル化に伴い、紙媒体では表現できない動画などの動きのあるポスターが出てきました。
今後もデジタルサイネージ市場の拡大が見込まれ、ポスターの技術が急激に変化していく中で、印刷業者はその技術の進化に対応できるスピード感を持ち合わせる必要があります。
■ポスター印刷業界が今後必要なスキル
ポスター印刷は需要が低迷しながらも、広告としての効果は根強く、ニーズが顕在していることが分かりました。
それでは、ポスター印刷業界で今後必要とされる4つのスキルについて解説します。
▶デジタル技術との融合
ポスター広告のデジタル化は、既に解説したとおり、デジタルサイネージの発展に伴って、市場規模が拡大しております。
従来の印刷技術に加え、デジタルサイネージ型のポスターを始めとした新しい掲示技術にも対応できると、依頼者の幅広いニーズにも応えることができるでしょう。
今後、ポスター印刷業界が必要なスキルの大前提として、デジタル技術との融合が重要になってきます。
▶マーケティングや企画力
ポスター印刷は紙媒体からデジタル化への切り替わりが避けられないと考えてよいでしょう。
そのような現状の中、今後ポスター印刷業界が生き残っていくためには、顧客需要を的確につかむマーケティングや付加価値の高い企画力が必要となってきます。
また、状況によっては、事業領域の拡大や事業提携などの経営基盤の転換に柔軟に対応できるか否かも重要になってくるでしょう。
▶トレンドや顧客の需要への対応スピード
ポスター印刷業界を取り巻く環境は驚くべきスピードで変化しており、トレンドや顧客の需要も著しく変化しています。
変化していくトレンドや顧客の需要に対して、いかに素早く柔軟に対応できるかが求められていきます。
そのためには、従来からの単一の技術のみならず、多様な需要に対応できるさまざまな技術も持ち合わせる必要があります。
▶低コスト化と環境への配慮
ポスター印刷の発注を依頼する企業を選択する基準の一つとして、やはり低コストは外せない項目の一つと言えます。
広告費はできるだけコストをおさえたいのが、依頼者の本音でしょう。
また、世界的に温室効果ガスの排出量ゼロを目指すカーボンニュートラルやESG経営(環境、社会、企業統治)が求められている今、印刷業界も環境に配慮した経営への舵取りが必要です。
印刷に使用する紙やインクを必要最低限にすることで、低コスト化・省エネ化につながります。
加えて、従来のオフセット印刷に比べ、デジタル印刷機の方がCO2の排出量をおさえることができます。
以上、今後のポスター印刷業界に必要な4つのスキルについて解説しました。
これから印刷業界が生き残っていくためには、デジタル化やトレンド・ニーズの変化に素早くかつ柔軟に対応していくことが重要になっていきます。
■ポスターの印刷手法と掲示技術の変化
次に、主なポスターの印刷手法と掲示技術の変化について解説していきます。
紙媒体の印刷手法も技術や印刷機器の進化によって、多様に変化を遂げています。
▶昨今の印刷手法とは
ここでは、下記の4つの印刷手法の特徴について詳しく説明します。
・オフセット印刷
・デジタル印刷
・デジタルオフセット印刷
・オンデマンド印刷
・オフセット印刷の特徴
オフセット印刷はポスターデザインをもとに版を作成し、そこにインクをつけて判子のように印刷する方法です。
固着性の高いインクを使用し、印刷データの再現性が高いため、キレイな仕上がりになります。
また版を作るため、大量印刷するもしくは、初回は小ロットでも今後大量に印刷する機会がある場合はオフセット印刷が適しています。
ただし、少量の印刷では割高になり、版を作ってから印刷するため、時間がかかるため、納期にゆとりが必要です。
・デジタル印刷の特徴
デジタル印刷はデザインデータをもとに紙へ直接印刷する方法です。
オフセット印刷のような版を作らないので、納期が短いものや小ロットの注文にも対応できます。
また、デザインデータの変更にもすぐ対応できるため、デザインがギリギリまで確定しない状況であればデジタル印刷が適しています。
必要な枚数の印刷が可能なので、環境負荷を抑える印刷技法とも言えます。
しかし、1枚当たりの単価がオフセット印刷と比較すると高いため、印刷量が多くなるとより費用がかかります。
・デジタルオフセット印刷の特徴
デジタルオフセット印刷は、デジタル印刷のように版を作らず、デザインデータから紙へ直接印刷する方法です。
加えて、オフセット印刷と同様に液体インクを使用しており、CMYKのほか白インクや透明インクなども使えるため、色彩豊かな仕上がりが可能です。
デジタル印刷の長所である短期納品と少量印刷、オフセット印刷の長所である仕上がりの良さのどちらも兼ね備えた印刷技法です。
・オンデマンド印刷の特徴
オンデマンド印刷は、デジタル印刷の手法の一つで、版を作らず、デザインデータから直接紙へ印刷し、必要な時に必要な分だけ印刷するという意味を持っています。
オフセット印刷と比べると、色の再現性には劣りますが、すぐに必要な分だけほしい場合に適しています。
最近のオンデマンド印刷機は性能がよくなってきているので、オフセット印刷と見分けがつかないほど、キレイな印刷になっています。
以上、4つの印刷手法について特徴と適している条件について解説いたしました。
それぞれの印刷手法にメリット、デメリットがありますので、印刷量や予算、納期に合わせて適切な印刷手法を選択するとよいでしょう。
▶ポスター掲示技術の進化
近年、デジタルサイネージの発展に伴い、ポスターの掲示方法が変化してきていることに皆さんも気付いているのではないでしょうか。
ここでは、紙媒体からデジタル化していくポスターの掲示技術の進化について説明します。
・紙に印刷して掲示
紙媒体のポスターとは、広告・宣伝するために図表や写真、文章などでデザインし、大判の紙へ印刷され、壁や柱などに掲示されたものです。
19世紀中頃のフランスで印刷技術の発展により、紙媒体のポスターが広告として使われるようになったことから始まりました。
紙媒体でのポスターは、市場規模が縮小してきてはいますが、低コストで導入しやすいため、今も採用している企業が多いことは否めません。
ポスターを貼るスペースさえ確保できれば掲示できるので、気軽に導入できる良さがあります。
・デジタルサイネージ型のポスター
日本でデジタルサイネージが普及し始めたのは、2000年頃に出てきたJR東日本のトレインチャンネルがきっかけと言われています。
その後、駅だけでなく街中の店頭ポスターや公共施設の掲示板にデジタルサイネージ型のポスターが採用されるようになってきました。
デジタルサイネージ型のポスターはデザインデータをすぐに反映することが可能なため、常に新しい情報を届けることができ、ポスターデザインに変更が生じても修正対応ができます。
また、静止画だけでなく動画も表示できるため、今までのポスターではできない、より豊かな表現が可能です。
ただし、デジタルサイネージ用のディスプレイを購入するための導入コストや、デザインデータを表示するため、ランニングコストとして電気代がかかるといった、紙媒体のポスターに比べ、費用がかかります。
そして設置できる箇所が限られるため、紙媒体のポスタ−よりも目に触れる機会が少なくなる可能性もあります。
今後も、ICTの促進化や5Gの普及によりデジタルサイネージ型のポスターが浸透していくと予想されています。
・動くポスター「変幻灯」
変幻灯は止まっている対象を錯覚的に動いて見せる光投影技術で、2015年にNTTが開発しました。
明るさの動き情報を対象に投影することにより、投影対象の色や肌理の見かけを保持したまま、その対象に錯覚的な動き印象を与えることができます。
2015年に世界で初めて「変幻灯」ポスターが登場したのは、池袋駅でTBSテレビが新ドラマのプロモーションで展示した出演者のポスターでした。
そのポスターでは出演者の表情が変化したり、タイトルロゴや衣装がまるで動いているように見えるパターンを使っていました。
他にも、まるで風が吹いているように見える風景画やろうそくの炎が動いているように見えるといった表現ができます。
静止画と思っていたポスターが変化する様子に注目が集まり、高いアイキャッチ効果を得ることもできます。
変幻灯は壁などに投影させるため、プロジェクターの設置が必要になることとプロジェクターと投影させる壁まである程度距離が必要になることを踏まえて導入しなくてはなりません。
参照:NTT 世界初!"動くポスター"が出現!! ~写真や絵に動きを与える不思議な照明『変幻灯』がTBS火曜ドラマ『結婚式の前日に』の広告に採用~
■時代と顧客ニーズの変化への対応力が肝心
ここまで最先端のポスター印刷技術について、ポスター印刷業界の現状と今後必要なスキルから多様化してきていることを解説いたしました。
ポスター印刷業界は、今後印刷技術の発展とトレンド、顧客ニーズの変化にいかに対応できるのか、そしてデジタル化や環境への配慮が重要となる中で、どこまで柔軟に対応できるのかが問われています。
今後ポスター印刷業界に関わろうと考えている方は、今までの背景から従来の印刷手法とデジタル化に対応した印刷手法の両方の技術を融合させ、より柔軟に対応できるスキルが求められています。
そして、ポスターを発注する際は、具体的に印刷内容を検討し、適切な印刷手法を選択して活用していきましょう。
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