横断幕の素材にはどのような生地が適しているのか?ターポリンとトロマットの違いとは?
横断幕にはどのような素材が使われているのでしょうか?横断幕に使われる素材はある程度決まっており、どのような素材でもよいわけではありません。
この記事では横断幕の使われる素材とその特徴、そして長く使えるようにするための加工方法についても紹介しています。ぜひ最後まで読んで、横断幕を制作する際の参考にしてみてください。
■横断幕の素材選びはなぜ重要か
なぜ素材選びが重要なのか
横断幕はサッカー観戦の演出に欠かせない大切な道具です。
しかし、素材選びを誤ると、せっかくの横断幕が台無しになってしまう可能性があります。使用環境に合わない生地を選んでしまえば、思ったような効果が得られなかったり、場合によっては危険な事態さえ招きかねません。
横断幕の素材選びは、十分に注意を払う必要があるのです。
素材の選び方のポイント
素材を選ぶ際の最も重要なポイントは、横断幕をどのように使用するのかということです。屋内で使うのか、それとも屋外で使うのか。この使用場所の違いで、求められる性能は大きく変わってきます。
屋外で使う場合は、強度や耐久性が求められます。また、雨に強い撥水加工がされていることや、発色の良さも重視されるべき要素です。鮮やかで美しい色合いがデザインを引き立てるからです。
さらに手作りで作るのか、業者に発注するのかによっても適した素材は変わります。自作する場合は扱いやすさが重要視されますが、プリントなら発色や印刷適性が重視されます。
代表的な屋外用素材とその特徴
サッカー観戦で屋外使用される横断幕の主な素材は、ターポリンとトロマットです。
ターポリンはポリエステル製の丈夫な生地で、長期間の使用に耐えられる強度と撥水性を兼ね備えています。
また、ターポリンには風を通すメッシュターポリンや両面印刷可能な遮光ターポリン、それに屋外用の光沢ターポリンなどの種類があります。一方のトロマットは、発色が良く鮮やかな仕上がりが期待できる手芸用の軽量生地です。
その他にも、デニムやナイロン製の生地を使用することもあります。耐水性や強度、質感など、様々なニーズに応じて選べます。
代表的な屋内用素材とその特徴
屋内ではさほど強度は求められないため、不織布やビニールシート、手芸用のフェルト生地などが活用されます。安価で入手しやすく、手軽に作れるのが利点です。短期間の一時的な使用に適しています。発色は良くないものの、コストを抑えられるメリットがあります。
特別な行事などで使う場合は、プリントされた布地やのれんのような高級な生地が使われることもあります。
代素材選びを怠ったために起こった失敗5選
雨で文字が滲んだ
雨に強くない生地を屋外で使用したため、文字やイラストのインクが滲んでにじんでしまいました。そのため、思ったようなインパクトを与えられなかったという失敗例があります。
風で破れてしまった
強度が乏しい生地を使ったため、風で破れてしまいました。大事な場面で使えなくなり、チームへの応援の機会を失ってしまったのです。
色あせが目立った
日光に弱い生地を長期間使い続けたため、色あせが目立つようになり、作成した当初の鮮やかな発色がなくなってしまいました。
重すぎて持ち運びが大変
重量のある生地を選んでしまったため、持ち運びが非常に困難でした。試合が遠方だと運搬に手間がかかりすぎ、また運搬する人が固定されて腰を傷めることもあったのです。
安全性が不十分で危険
ロープの強度が不十分なのに重い生地を使ったため、横断幕が落下しました。幸い、人的被害に至らずに済みましたが、大変危険な事象であり実際に大騒ぎになりました。
■屋外におすすめ!耐久性抜群の「ターポリン」
ターポリンの歴史
ターポリンは横断幕の材料としてよく使われますが、その歴史は意外に古く、17世紀後半のオランダに端を発しています。当時は船の帆に使われており、ターポリンの語源は「tar(タール)」と「paulin(小型の帆布)」が合わさった言葉だと言われています。
やがてターポリンは天幕や防水シートなど、様々な用途に活用されるようになりました。20世紀に入ると、トラックの荷台を覆うシートや仮設テントなどの分野でも需要が高まっていきます。強度があり、雨風に強いターポリンの特性が活かされた用途の広がりです。
近年ではサッカー観戦でも横断幕の生地として欠かせない素材となりました。屋外での使用に適しており、カラフルにデザインできる点が大きな利点でした。こうしてターポリンはスポーツ文化の一部ともなったのです。
ターポリンに使われる材質
ターポリンの主な材質は、ポリエステル繊維です。芯となる綿糸にポリエステル糸を巻き付けた複合繊維で、高い強度と伸縮性を備えています。この繊維を高密度に織り上げることで、ターポリンの耐久性と風雨に強いタフな生地が作り出されます。
生地の表面には、ビニロンやアクリルなどのコーティングが施されています。これにより撥水性や防水性が生まれ、雨に強くなります。さらに防炎加工を施すことで、火災時の安全性も高められています。様々な機能面での配慮がなされているのがターポリンの特徴です。
ターポリンのメリット
ターポリンには多くのメリットがあります。何よりも強度と耐久性に優れ、引き裂かれたり破れたりする心配がありません。しっかりとした生地なので長期間の使用に耐えられます。また雨に強い撥水加工がされているため、屋外での使用に適しています。
印刷との相性もよく、思い通りのデザインを再現できます。カラフルで鮮やかな発色が得られるのが大きな特長です。プロ仕様の横断幕に最適な生地と言えるでしょう。
ターポリンのデメリット
一方で、デメリットもあります。まずは比較的重量があり、大きなサイズのターポリンを持ち運ぶのが大変です。また、屋内での使用には不向きで、主に外部での用途に限られます。さらに生地自体のコストが高めなのも難点でしょう。
ターポリンの作り方
ターポリンという商品は工場での機械製造によって作られています。まず、原料のポリエステル繊維を精錬し、継ぎ足しながら糸に紡績していきます。そしてこの糸を高密度に織り上げ、ターポリンの生地となります。
その後、生地表面にビニロンやアクリルなどの樹脂コーティングを行い、撥水性や防水性を付与します。さらに防炎剤を散布することで、防炎性能も備えられます。最後に検品と品質チェックを経て、ターポリン製品が完成するのです。
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■屋内におすすめ!安価で持ち運びやすい「トロマット」
トロマットの歴史
トロマットは手芸用の布地として親しまれてきた素材ですが、その歴史は意外に古くさかのぼります。起源は17世紀のフランスで、当時は壁掛けの装飾織物として使われていました。名前の由来は「toileramate」つまり「粗い織物」が語源だと言われています。
その後、トロマットは敷物やカーテン、手芸用の生地として欧州中で利用されるようになりました。やがて19世紀頃から、ポリエステルなどの合成繊維が開発され、トロマットの材質も変わっていきました。現代ではポリエステルが主流の素材となり、手軽に手に入る生地に進化しています。
サッカー観戦の横断幕への利用は比較的新しく、1980年代頃から見られるようになりました。軽量で扱いやすく、鮮やかな発色ができることから、サポーターに広く普及していったのです。
トロマットに使われる材質
トロマットの材質は主にポリエステル繊維が使われています。ナイロンやアクリル、レーヨンなどが一部配合されていることもありますが、ポリエステルが中心となっています。シンプルな合成繊維で、安価に生産できるのが利点です。
生地の表面には撥水や防汚、防縮、防シワなどの特殊な加工が施されています。質感や風合いを高める工夫がなされているのがトロマットの特徴です。さらにデザイン性を重視して、様々な色や柄のバリエーションが用意されています。
トロマットのメリット
最大のメリットは軽くできており、扱いやすいことです。ターポリンなどに比べてかさばらず、持ち運びも楽です。場所をとらずに保管できるのも大きな利点です。手芸用に作られた生地ならではの、取り回しの良さがあります。
さらに鮮やかな発色と美しい印刷が可能なのも魅力的です。トロマットはデザイン性に優れ、インパクトのある縦断幕を作れます。コストも手頃で、比較的安価に入手できるのも大きなメリットといえます。
トロマットのデメリット
一方でデメリットもあります。強度や耐久性がトロマットの最大の課題です。ターポリンのような高い丈夫さはなく、長期間の使用には向きません。また、撥水性が低いのも難点で、長雨に弱いのが欠点と言えるでしょう。
さらに日光に弱いため、長時間の外気に曝してしまうと色あせの心配があります。この点がサッカー観戦の屋外使用において、大きな問題となっています。
トロマットとターポリンの決定的な違い
トロマットとターポリンでは、材質と機能性が大きく異なっています。ターポリンはポリエステルを芯とした丈夫な生地で、撥水性と耐久性に優れています。一方のトロマットは軽量でデザイン性の高い生地ですが、強度は劣ります。
用途も異なり、ターポリンは屋外で長期間使う製品に適し、トロマットは屋内用や短期使用向けと分けられます。価格面でもターポリンのコストが高めなのに対し、トロマットは手頃な値段が魅力です。こうした違いから用途を選んで使い分ける必要があるでしょう。
トロマットの作り方
トロマットという商品は工場で機械製造されています。まずポリエステルなどの原料繊維を精錬し、紡績工程で糸に加工していきます。この糸を高密度に織り上げることでトロマットの生地ができるのです。
その後、生地表面に撥水加工や防縮加工、さらに防汚加工などの特殊な機能を付与する工程があります。最後に検品と品質チェックを経て、様々な色やデザインのトロマット製品が完成するのです。
■長持ちさせるには素材に合った加工も必要
横断幕の加工の必要性
横断幕は、スポーツ観戦などのイベントで大活躍する大判の布製品です。しかし、単に生地を用意するだけでは様々な課題が残ります。使用目的に合わせた加工を施すことで、初めて本来の機能を発揮できるのです。
たとえば横断幕を掲げる際、外力によって破損したり劣化したりするリスクがあります。そこで強度と耐久性を高める加工が求められます。また、設置の手間を省くための工夫も欠かせません。このように、横断幕の用途に応じて適切な加工が不可欠なのです。
ハトメ加工
横断幕に施される代表的な加工の一つが「ハトメ加工」です。ハトメとは、生地の端に開けた穴に金属の輪っかを通す加工のことです。輪っかの一部が生地の表面に残り、丸い穴ができます。
この加工の目的は、横断幕の設置時に竿を通しやすくすることにあります。ハトメ加工された穴に竿を通せば、手間なく設置でき、応援の場で大きな力となります。また、強度が増すのも利点です。ハトメ部分が補強されるため、破れにくくなります。
ハトメがない場合、ロープの固定箇所から発生する力は、生地とロープが接する部分にかかります。そのため、一部分に応力が集中して破断、あるいは破損しやすくなるのです。しかし、ハトメがあることにより、その応力をハトメの円周で受けられます。そのため、同じ横断幕の生地を使う場合でも必要な強度を保てるのです。
ハトメ加工は比較的シンプルなプロセスで行えます。まず、生地の端に一定の間隔で穴を開け、その穴にハトメの輪っかを通し、プレスなどで打ち抜きます。最後に余分な輪っかの一部を切り落とせば完成です。
上下棒縫い加工
もうひとつの代表的な加工が「上下棒縫い加工」です。上下の端に丸い棒状の芯を縫い付ける加工方法です。
この加工を施すことで、横断幕の形状を保ちやすくなり、掲示したときキレイに広がります。また、耐久性が増し破れにくくなるのもメリットと言えます。竿を差し込みやすくなる点も大きな利点です。
上下棒縫い加工は、はじめに芯となる丸棒を上下の端に合わせて置きます。そして生地を丸棒に沿って折り曲げ、針と糸で縫い付けていきます。丸棒の表面が隙間なく縫い付けられれば完成です。
その他の加工
上記に加えて、横断幕には様々な機能加工が施されます。防水加工により雨に強くなり、防炎加工で火災時の安全性が高まります。
さらにUV加工を施せば日光による劣化を防げます。使用する現場の状況に応じて加工するようにしましょう。常設なのか仮設なのかによっても、条件が異なります。
■まとめ
この記事では横断幕の使わえる素材とその特徴、そして長く使えるようにするための加工方法について解説しました。
この記事が、横断幕をいつまでも大切に使いたい方の参考になれば幸いです。また、タペストリーやバナーの制作時にも参考になると思います。
これらを印刷会社に注文する前に一読しておくとよいでしょう。
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